「アートな町へ」特集のサイドストーリーその1
このページでは、毎号のオズマガジン制作の編集後記のような、こぼれ話のような、誌面に載せきれなかったサイドストーリーを編集部員が少しずつご紹介しています。今回はタキセがお届けします。
更新日:2017/08/09
間もなく発売! アート特集
毎年恒例のアート特集の季節が、今年もやってきました。8月10日に発売となる今回の特集のタイトルは「アートな町へ」。ちょっと遠くの旅先から、ご近所の都内の町まで、たくさんの「アートな町」を集めてお届けします。
そもそもですが、「アート」はお好きですか? 私は今では迷いなく「好き!」と答えられますが、編集部に入った頃は、特に現代アートに関してはほとんど門外漢でした。理由は、なんだかよくわからないから。
例えばマルセル・デュシャンというアーティストの有名な「泉」という作品は、本物の便器にサインのような文字を少々入れただけのもの。約100年前に発表した当時も物議を醸しましたし、現在でも多くの鑑賞者に「?」を与え続けています。これは極端な例としても、現代アートには、一見して意味がわからないどころか、ギョッとする作品も多くあります。逆に、かわいらしいものもいっぱい!
そのうち、わからないままでもいい、ということに気付きました。わからないなりにも想像と妄想が膨らみ、飽きることがありません。デュシャンの例に戻ると、作者はどうしてこんな作品を作ったんだろう? 泉は水が湧く場所で、水は恵みのシンボル? ・・・などなど。
もちろん、作家の真意を知ることで、作品への真の理解を深める喜びもまた、あります。でもまずは、現代アートはわからなさを楽しむことから始められると思うと、ずいぶん気持ちがラクになるのではないでしょうか。
アートは旅の道しるべになる
まだ雪が残る今年の3月に、青森県十和田市を訪れました。いちばんの目的は「十和田市現代美術館」。こちらの常設作品は、世界を舞台に活躍する人気の現代アーティストたちが手がけたものばかり。しかもいずれもカラフルだったり、巨大だったり、体験できたり、子供もアート初心者も誰もが一瞬で心を奪われます。チェ・ジョンファ作のカラフルな花をまとった高さ5.5メートルの馬の像『フラワー・ホース』、来場者が願いごとを書いて木に吊るしていくオノ・ヨーコの『念願の木』、天井にくり抜かれた穴に頭を突っ込んで鑑賞する栗林隆の『ザンプランド』などなど、わくわくの連続です。
さらに十和田のアートは美術館の中だけに留まりません。通りのベンチも実は作品だったり、美術館の向かいには「アート広場」が広がり、草間彌生のかぼちゃもここにあります。
アートの後は、近くの商店街へ。“アートの後”と言いながら、昭和レトロな雰囲気漂う商店街は、まるでアート。商店街にある「大昌園」で、ご当地グルメのバラ焼きをいただきました。甘辛い秘伝のタレにつけ込んだ牛肉とタマネギの焼肉は、白いごはんが進みます。さらにご近所には、安藤忠雄や隈研吾設計の公共施設もあって、建築さんぽも楽しめました。
こんなふうに、来てみれば美術館以外にもお楽しみいっぱいで、いい1日が過ごせました。でも、まず美術館というきっかけがなかったら、十和田を詳しく知ることも行くこともなかったかもしれません。アートが旅の道しるべになってくれました。
本気で行き先を決める気持ちで読んでみる
つい、十和田のことばかり語ってしまいましたが、今回の特集には、ほかにもたくさんの「アートな町」が集まっています。そして「オズマガジン=よりみち案内帖」を自負する編集部ですから、まず道しるべとなるアートを紹介しながら、よりみちスポットや必食グルメをどの町でもたっぷり紹介しています。
なのでぜひ、実際にこの町に行ったら、アートを見た後にどこで食事をしようとか、どんなおみやげを買おうとか、リアルに行く目線でページをめくってみてください。自然と、旅のスケジュールができあがっていくはずです。
ちなみに私は、夏休みに、富山に旅することに決めました。表紙にもなった富山県美術館の屋上のシロクマの彫刻に会いたいからです! 巻頭特集でもたっぷり紹介している富山。アート以外にも、レトロな喫茶店などおもしろそう&おいしそうな場所がいっぱい載っているので、これを参考に行ってこようと思います。みなさんも、アートな町でいい1日をお過ごしください。
OZmagazine 9月号「アートな町へ」特集
発売日/2017年8月10日(木)
価格/593円+税
販売場所/全国の書店、コンビニエンスストア、駅売店などで発売中
雑誌OZmagazineは、日々の小さなよりみち推奨中。今日を少し楽しくする、よりみちのきっかけを配信していきます。