【FP監修】知っていれば得する!?控除・減税・給付に関する制度をわかりやすく解説

【FP監修】知っていれば得する!?控除・減税・給付に関する制度をわかりやすく解説

ふるさと納税や医療費控除、不妊治療の助成金など、日本にはさまざまな控除・減税・給付に関する制度がある。申請して初めてもらえる給付金制度もあり、知らないと損をしてしまうかも? そこで、いざというときのために知っておきたい控除・減税・給付に関する制度について、ファイナンシャルプランナーがくわしく解説。

更新日:2021/03/11

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知っておきたい控除・減税の制度

今から始めるふるさと納税

ふるさと納税とは、自分の選んだ自治体に寄附をすると、寄付額のうち2000円を自己負担するだけで、原則として残りの全額が所得税と住民税から差し引かれるという制度のこと。所得や家族構成などによって一定の上限がある。

名前に「ふるさと」と付いているけれど、生まれ育った自治体でなくても寄付先は、全国どこの地域でも選ぶことができる。ふるさと納税のお礼として、地域の特産品などの返戻を送る自治体も多く、ネット通販感覚で、返戻品目当てでふるさと納税をする人がたくさん。また、近頃では、大きな自然災害があった被災地をふるさと納税という形で支援するなど、さまざまに利用されている。

医療費控除とセルフメディケーション税制

医療費がかかりすぎた年は、確定申告をして払った税金を取り戻すことができるふたつの制度がある。

ひとつめが医療費控除。医療費控除とは、1年間(1月1日~12月31日)に支払った医療費の自己負担額が10万円を超えた時に、所得税の一部が払い戻される制度のこと。
ふたつめがセルフメディケーション税制。定期健康診断や予防接種を受けるなど健康の保持や予防の取り組みをしている人で、スイッチOTC市販薬を自分・家族の分を含めて年間(1月1日~12月31日)12000円以上購入した人が対象になる。

年末調整で受けられる控除の種類

年末調整では、勤務先に各種申告書を提出することで、さまざまな控除が受けられるように。

会社員の所得税は、3つのステップで計算する。
(1)年収-給与所得控除額=給与所得
(2)給与所得-各種控除額=課税所得
(3)課税所得×所得税率=所得税額

つまり勤務先から同じ給与をもらっていても、控除額が多い人ほど、納める所得税が安くなる。年末調整の制度を理解して、利用できる控除は最大限に利用しよう。

「扶養」っていったいなんのこと?

扶養とは、収入が多くない家族を養っている場合に、税金などを少し軽くしてあげますよ、という制度のこと。所得税の場合は、16~18歳は38万円、19~22歳は63万円、23歳以上38万円(いずれも収入の条件等があるので注意)の控除が受けられる。住民税の場合は、16~18歳は33万円、19~22歳は45万円、23歳以上は33万円の控除が受けられる。

また妻が出産や育児休暇中の場合、条件を満たせば夫の扶養に入ることも可能。詳しくは税理士さんや管轄の税務署に確認して。

確定申告をやった方が得するのはどんな人?

会社員の人は、通常、給与からの源泉徴収で税金を納めているし、過不足についても年末調整で調整しているので、確定申告をする必要はない。しかし、以下のような人は、自分で確定申告をすると税金の払い戻しを受けられる可能性があるので、当てはまる場合は、確定申告を検討してみて。

・年度途中で退職をした人
・年間10万円以上の医療費を支払った人
・昨年住宅を購入して住宅ローンの返済を始めた人
・台風や洪水、空き巣などの被害に遭った人
・ふるさと納税を6自治体以上にした人

ローン残高の1%を控除する「住宅ローン減税」

住まいに関するお金の制度のなかで、有名なのが住宅ローン減税。マイホームを購入時の金利負担を軽減する目的で、ローン残高の1%を10年間、所得税額や住民税額から控除するという制度のこと。

令和3年度の税制改正大綱で、令和4年(2022年)12月末までに入居すると、住宅ローン控除を13年間利用できることに。さらに、これまで住宅ローン控除の対象物件は床面積が50m2以上だったが、今回の改正では、合計所得が1000万円以下の人に限り、床面積が40m2以上あれば対象となっている。

知っておきたい給付・助成制度

学びや資格取得には「教育訓練給付」

社会人にとって、多くの人が利用できる可能性が高いのが、資格取得などの学びに使える「一般教育訓練給付」。厚生労働大臣が指定する対象講座を受講して、期間内に修了した場合に、本人が負担した受講料等の一部が払い戻されるという制度のこと。

対象者は、受講開始時に雇用保険に加入して3年以上(初めての利用の場合には1年以上)の人、離職したから1年以内の人で、前回の利用から3年以上たっている人。講座の受講等にかかった費用の20%(最大10万円まで、4000円以下なら対象外)のキャッシュバックが受けられる。

失業給付(基本手当)

失業給付の金額は、「6カ月間の給与の合計÷180×50~80%」となるけれど、正確な金額はハローワークに問い合わせてみて。

通常時に会社都合で離職する場合の失業給付の支払い上限日数は、例えば30歳以上35歳未満で、雇用保険に加入した期間が10年以上20年未満という人の場合、会社都合で退職すると最長で210日間失業給付を受け取れる。
ただし、仕事が見つかりにくくなっていることを考慮して、コロナ禍の影響で仕事を失った人に向けて給付期間が延長となっている。

不妊治療に使える、国と自治体の制度

国や自治体には、保険が適用できない高度な不妊治療を受ける場合の経済的負担を緩和するために、さまざまな制度が用意されている。

「特定不妊治療助成制度」は、特定不妊治療(体外受精・顕微授精等)を受けた場合、1回の治療につき15万円を助成する制度。この制度では、男性に対する顕微鏡下精巣内精子回収法の治療にも同様に15万円を助成している。
また、不妊の検査や、一般不妊治療(タイミング法、薬物療法、人工授精等)を対象とする助成制度を設けている自治体も多数ある。

子育て中にもらえるお金

産休中には、健康保険から出産手当金がもらえる。もらえる金額は「標準報酬日額×2/3×日数分」になる。このほか、出産費用の補助として、同じく健康保険から、出産育児一時金が子ども1人につき42万円支給される。

また育休中には、雇用保険から育児休業給付金が支給される。金額は、育休スタートから半年間は、賃金日額×67%で、その後は標準報酬月額×50%となり、2カ月分ずつまとめて口座に振り込まれる。通常の給料に比べて、かなり減ってしまうのではと心配になるが、育休中は、健康保険料や厚生年金保険料の支払いが免除され、所得税も引かれないので、「心配していたほど生活費は困らない」という感想を持つ人が多いよう。

病気やケガで働けなくなったときの公的保障「傷病手当金」

病気やケガの療養で働けない間は、傷病手当金として標準報酬日額の3分の2の金額を、休業4日目から最長1年6カ月の間で、休んだ日数に応じて受け取ることができる。ただし、会社から給料が支払われている日は対象外となるため、有給休暇取得中については傷病手当金をもらうことができない。

傷病手当金を利用できるのは、会社員や公務員など、健康保険組合や協会けんぽに加入している人たち。派遣社員でも健康保険制度に加入していて雇用期間などの一定要件を満たしていれば、対象になる。

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※記事は2021年3月11日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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