子供がいるともらえる遺族基礎年金
まず、国民年金の加入者が亡くなると、遺族に支払われるのが遺族基礎年金。誰が対象になるの?
「遺族基礎年金をもらえるのは、亡くなった人によって生計を維持されていた『子のある配偶者』もしくは『子』です。該当する子どもがいない配偶者は、遺族基礎年金をもらうことができません」と氏家さん。
ではどれくらいの金額をもらうことができるの?
「遺族基礎年金額額は、『781700円+子の加算』(令和2年4月~)です。基本となる金額781700円に、第2子までは子ども1人につき224900円が加算されます。3人目以降の子は、1人当たり75000円が加算されます。
詳しくは日本年金機構『遺族基礎年金』を見てみてください」(氏家さん)
会社員や公務員などは遺族厚生年金の対象に
他にもらえるお金はあるの?
「会社員や公務員など厚生年金の加入者が亡くなると、遺族には、遺族基礎年金と遺族厚生年金の両方が支払われます。対象となる遺族は、生計を維持されていた『妻』、『子・孫』、55歳以上の『夫・父母・祖父母』です。
ただし、夫の死亡時に子どもがいない30歳未満の妻に対しては、遺族厚生年金は5年間しか支払われません。
会社員共働きで子どもがいる家族の場合、夫と妻どちらが亡くなっても、遺族基礎年金と遺族厚生年金が支給されます。しかし、万が一の場合には、残された方が、仕事と子育てをひとりで担うことに。遺族年金だけで不足する分は、生命保険や収入保障保険等で補っておきましょう」(氏家さん)
では遺族厚生年金はどれくらいもらえるの?
「遺族厚生年金の金額は『老齢厚生年金額×3/4』。ただし、老齢厚生年金額は、加入中の平均給与と加入期間によって決まるため、若くして亡くなった人は加入期間が短く年金額が少なくなってしまうことに。そんな保障不足を防ぐため、遺族年金の計算では、加入期間が短い人でも、300カ月(25年)加入したものとして年金額が計算されます。
なお、長年会社員をしていた人が、脱サラをして厚生年金から外れてから亡くなった場合でも、厚生年金の受給資格期間が25年以上あれば遺族厚生年金が支払われます。
その他、中高齢寡婦加算や経過的加算といった制度もあります。詳しい制度の内容は、日本年金機構『遺族厚生年金』をチェックしてみてください」(氏家さん)
葬儀費用の補助も。遺族に対するその他の支給
亡くなった人の働き方や家族構成によっては、それまで年金保険料を払ってきたにもかかわらず、遺族基礎年金、遺族厚生年金の要件に当てはまらない場合も。
「そんなときには、死亡一時金や寡婦年金が支払われます。
死亡一時金は、国民年金の保険料を3年以上納めた人が、老齢基礎年金、障害基礎年金のどちらも受けずに亡くなって、かつ、遺族が遺族基礎年金を受けられないときに支払われます。例えば、亡くなった人が独身の場合や、子どもがいない場合などに、遺された遺族に対して支払われます。
寡婦年金は、国民年金に10年以上加入していた人が老齢基礎年金や障害基礎年金を受け取らずに亡くなり、婚姻期間が10年以上あった妻が残された場合に、妻が60歳から65歳になるまで支払われます」と氏家さん。
他に受け取れるお金はある?
「葬儀費用等の費用補助として、『埋葬料』や『葬祭費』といった名称で5万円前後の一時金が支払われます。加入する健康保険制度によって、名称や金額が異なりますが、葬儀が終わった後に、加入する健康保険の窓口に申請手続きをすると支払われますので確認してみてください」(氏家さん)
教えてくれた人
氏家祥美(うじいえよしみ)さん
ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。
【マネー特集】働く女性のお金のハナシ
先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。