非課税投資枠が増えるから、できるだけフルで埋めたい!
「つみたて投資枠は年間120万円あるので、毎月10万円を積立で投資をすれば、フルで利用できます(成長投資枠でも積立すれば、さらに金額を上乗せできます)。実際にSNS等を見ると、そのように利用しようと計画している人もいます。
しかし、余裕資金として出せるお金は、人それぞれ違います。無理して非課税投資枠を埋めても、日々の生活資金などが不足してしまえば元も子もありません。余裕資金で毎月10万円以上積立できるならそれでもいいのですが、そうではない場合は、無理して年間の非課税投資枠をフルで利用する必要はありません。
なお、現行NISAでは年間投資枠を翌年に持ち越しできないので、毎年の非課税投資枠をフルで利用することが、トータルの非課税投資枠をフルで利用することに繋がりました。しかし、新NISAでは翌年以降に持ち越しできるように変わります。言い換えれば、2024年以降は非課税投資枠を自分のペースで埋めていっても、非課税投資枠をフル(最大1800万円)で利用できます」(佐藤さん)
新NISAでは一気に投資するのもアリかも?
「新NISAでは、成長投資枠を使って、まとまった金額を一括で投資することもできます。ただ、毎月のお給料のうち、余裕資金としてしばらく置いておける金額を毎月コツコツ買っていくのがよいでしょう。まとまった金額で一気に投資をしようとすると、どのタイミングで買うか考える必要があります。そのタイミングを図るのは難しいですし、考えるのに手間もかかります。
一方、毎月一定の時期にコツコツ買っていけば、平均すれば極端に安く買うことはできませんが、極端に高いタイミングで買うことを防ぐこともできます。そして、大切な時間を投資以外のことに使いやすくもなります」(佐藤さん)
きちんと勉強しないと損をしそうで手が出せない・・・
「内容を理解しないで投資をするのはもちろん問題です。ただ、いくら勉強しても頭の中だけではイメージがつきにくいのも投資の特徴です。最近は体験学習やアクティブラーニングという言葉もありますよね。できることなら、ある程度勉強をしたら、数百円など無理のない少額で投資をまず始め、投資を実践しながら学びを深めていくのがおすすめです。
投資でお金が減るのがこわいという意見もいただきますが、現金で資産を持っていても、実質的にはお金が減るおそれがあります。今のように、銀行の預金金利以上に物価が上昇し続ければ、さらにその傾向は強まります。投資ばかりするのも問題ですが、現金だけで資産を持つことも問題です。これからは、資産を現金と金融商品の両方で持つことがますます重要になってきます」(佐藤さん)
新NISAでは短期売買もできるからチャレンジしたい!
「新NISAでは無理な金額を投資をしないことに加えて、短期間での売買を控えることも大切なポイントです。現行のNISAでは非課税投資枠の再利用ができませんでしたが、新NISAでは可能になります。
例えば、昨年つみたてNISAで40万円の投資信託を買っている場合、今年それを売っても40万円分の非課税投資枠は復活しません。しかし、新NISAでは復活します。例えば、2024年に40万円の投資信託を買って2025年に売却すれば、一度使った40万円の非課税投資枠の再利用が可能となります(枠が復活するのは翌年2026年になる点は注意してください)。これを利用して、短期の売買を繰り返して資産を作っていくことも理論上は可能です。
しかし、投資は長期投資が原則で、投資が短期になればなるほどその投資はギャンブルに近づきます。投資初心者には、短期での売買はおすすめできません」(佐藤さん)
教えてくれた人
佐藤彰(さとうあきら)さん
佐藤彰コーチングFP事務所代表。
ファイナンシャルプランナー。証券会社の人材育成部門を経て独立。金融商品や保険を販売しない独立系FPとして活動。FP以外に米国のコーチ資格を持っており、お金だけでなく、こころにも配慮した対応を大事にしている。個人の方向けの相談・セミナー業務に加え学生向けの金融教育および企業研修にも取り組む。2023年1月に『“こわい”がなくなる投資1年生の教科書――マネトレ投資法で始める資産形成』を出版。
【マネー特集】新・ライフスタイルのお金と暮らし
先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。