タイプの異なる「インデックスファンド」の組み合わせが基本
まず投資初心者が最初に押さえておきたいポイントを教えて。
「『卵をひとつのかごに盛るな』という有名な投資の格言があります。これは、ひとつの投資先に集中投資をすると、その投資先が暴落した時にすべての資産を失うことを意味します。そのため、投資では、タイプの異なる複数の資産へ『分散投資』をすることが基本となります」(氏家さん)
タイプの異なる資産に分散するとはどういうこと?
「『国内』と『海外』を組み合わせる、『株』と『債券』を組み合わせて持つように、値動きが異なる資産を組み合わせると、資産全体の価格変動を抑えられると考えられます」と氏家さん。
ではどのように投資信託を選べばいいの?
「経済指標に連動する『インデックスファンド』を使って、複数の投資信託を組み合わせて持ってみましょう。インデックスファンドは、システムを使って自動売買されているため、保有期間中のコストが低めに抑えられているという利点もあります。
具体的には、日経平均株価やTOPIXなどの日本株の指標に連動するインデックスファンドと、米国株式(ニューヨークダウ工業株価平均)に連動するインデックスファンドを組み合わせて持つのが、分散投資と低コストの面ではおすすめです」(氏家さん)
戦略に従って運用する「アクティブファンド」
投資信託にはほかにどういうものがあるの?
「投資信託には、インデックスファンドのほかに、アクティブファンドがあります。アクティファンドは、独自の投資戦略にしたがって運用している投資信託です」(氏家さん)
独自の投資戦略とはどういうこと?
「例えば、『成長企業に投資する』『株価が割安な企業に投資する』『IT企業に投資する』『発展途上国に投資する』というような基準を設け、基準に沿った投資先を手間暇かけて選別していきます。そのため、インデックスファンドよりはコストが高めの傾向がありますが、経済指標を上回るリターンを目指した運用がされています」と氏家さん。
ではアクティブファンドを選ぶときはどういうことに注意すればいい?
「アクティブファンドを選ぶ際には、どんな基準を設けて、どんな投資先を選ぶのかという戦略のチェックが重要になります。この戦略は、『目論見書』という書類に書かれています。投資信託の目論見書は、インターネット上でも公開されているので、見比べてみるといいでしょう。
また、アクティブファンドを選ぶ際には、過去の運用成績や投資にかかるコストのチェックが欠かせません。類似の戦略を持つ投資信託と比較して選びましょう」(氏家さん)
最近注目されている「ESG投資」ってどうなの?
独自の戦略に従って運用するアクティブファンドの中でも、近ごろ注目されているのが「ESG投資」だそう。
ではESG投資とはどういう投資なの?
「ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字からなっています。企業が持続的に成長するためには、地球環境や温暖化への配慮、女性従業員の活躍や人権問題への配慮、法令遵守などの視点が欠かせません。こうした視点に配慮した企業は、優良企業というだけでなく、成長を続けて、投資家に対しても経済的な利益をもたらすと考えられています。
そのため、私たちの公的年金資金を運用するGPIFも、このESGの分野に資産の一定割合を投資しています」と氏家さん。
ESG投資に興味を持ったらどうすれば投資できるの?
「私たちがESG分野に投資をするには、ESGファンドへの投資が便利です。投資信託の名前にも『ESG』と入っていることが多いので、見つけやすいと思います。
資産運用会社によってESGに配慮した投資先が選別されているESGファンドを選んで継続的に購入を続けることで、私たちは、環境・社会・ガバナンスの点で優れた企業の成長に貢献していることになります」(氏家さん)
教えてくれた人
氏家祥美(うじいえよしみ)さん
ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。
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