世の中的に「リスキリング」推奨の流れで、資格取得のチャンス!
今、リスキリングが注目されている理由は?
「昔と働き方が変わってきたためです。人生100年時代の今は、学校教育から離れた後も生涯にわたって学び続け、必要に応じて仕事と学習を交互に繰り返すことが大事になっています。
転職は今では当たり前ですし、同じ会社の中にいても新規事業などで急に経験したことのない職務を担当する可能性もあります。また、政府が掲げる「人への投資」の観点から、企業が従業員に投資することの1つにリスキリングが挙げられます。実際に、技術革新やビジネスモデルの変化に対応するため、従業員に新しい知識やスキルを学ばせることが大切になっています。プログラミングなどIT技術の資格等を新たに学習する人が増えているのもその一環です」(佐藤さん)
では、リスキリングとしてどんな資格を取ったらいい?
「取る資格を選ぶときは、3つの視点で考えるのがおすすめです。
1つ目は、今のお仕事に役立つかどうかです。仕事の効率が上がる、昇進に有利になるなど、実益のある資格は勉強を頑張るモチベーションにもつながります。
2つ目は、今後のキャリアに役立つかどうかです。今とは違う仕事をしたい、転職をしたい、と思った際は、資格取得を通じて新しい仕事で使うスキルを身につけるのも有効です。転職をする場合なら、資格取得したこと自体がご自身の意欲を伝えるアピール材料にもなります。
3つ目は、楽しく学べるかどうかです。今すぐに役に立たなくても、新しいことを学ぶこと自体が楽しくなったり、生活にハリが出そうだなと思ったりしたら、やってみてもいいでしょう」(佐藤さん)
資格取得に向けて、自分に合った方法で効率よく勉強しよう
いざ資格を取ろうと思ったらどんな勉強法があるの?
「資格取得のための勉強法も主に3つあります。
1つ目は、資格学校に通うことです。ある程度費用がかかるのがデメリットですが、試験合格のノウハウを知ることで効率よく学習できること、一緒に学ぶ仲間もできて学習を継続しやすいこと、などのメリットがあります。
2つ目は、通信教育の利用です。資格によっては通信教育でも費用がある程度かかる場合があること、通学がないのでサボろうと思えばサボれてしまう点はデメリットですが、試験合格のノウハウを得ながら効率よく学習でき、なおかつ、通学時間や費用をある程度抑えながら学習できる点はメリットです。
3つ目は、市販の教材やYouTube等での独学です。辞めたいと思ったらすぐに辞められるので、継続が大変というデメリットがありますが、費用があまりかからないことや自分のペースで学習できるメリットがあります」(佐藤さん)
雇用保険や福利厚生を利用して、リスキリングの費用をサポート
資格取得や学び直しに興味はあるけれど費用面がネック。何かいい方法は?
「雇用保険の教育訓練給付制度(※1)を利用して給付金を受け取る方法があります。これは、失業中の方だけでなく会社勤めをしている方も含めてキャリアアップを支援してくれる制度です。
この制度を利用すれば、講座の受講費用の一部(原則として受講費用の20~50%)を国からサポートしてもらえ、国家資格を含む幅広い講座で利用することができます。利用条件は、初めて利用する場合なら、1~2年以上の雇用保険の加入期間があること、厚生労働大臣が指定する講座(※2)を受けることなどが条件です。2回目以降も3年以上経過すれば再度利用できます。ハローワークで条件を満たしているか確認できるので、利用する場合は事前に問い合わせをしてみてもいいでしょう。
他にも、勤務先の福利厚生として資格取得のサポートがある可能性があります。今そのような制度がなくても、リスキリングの観点から今後補助制度ができる可能性もあります。人事部等からの通知には今以上にアンテナを張っておくとよいでしょう。
雇用保険も福利厚生も、資格取得のサポートで利用できる可能性があることはあまり知られていない印象があります。ただ、メリットは大きいので、ぜひ活用してみてください」(佐藤さん)
リスキリングが推奨されている今、自分の将来を考えて資格取得を検討してみては? 学習方法や費用面の工夫もぜひ取り入れてみて。
<参考サイト>
※1 厚生労働省:教育訓練給付制度
※2 厚生労働大臣指定教育訓練講座検索
教えてくれた人
佐藤彰(さとうあきら)さん
佐藤彰コーチングFP事務所代表。
ファイナンシャルプランナー。証券会社の人材育成部門を経て独立。金融商品や保険を販売しない独立系FPとして活動。FP以外に米国のコーチ資格を持っており、お金だけでなく、こころにも配慮した対応を大事にしている。個人の方向けの相談業務に加え企業研修にも取り組む。2023年1月に『“こわい”がなくなる投資1年生の教科書――マネトレ投資法で始める資産形成』を出版。
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