コロナ禍でおうち時間が増えて光熱費も増加
そもそも光熱費はみんなどれくらい使っているの?
「総務省の家計調査のデータによると、2人以上の世帯の2020年度の年間平均額は262034円(月平均:約21836円)で、単身世帯の年間平均額は140239円(月平均:約11687円)となっています。
内訳としておおまかには、電気代:50%程度、ガス代:20~26%程度、その他光熱(灯油代など):5~6%程度、水道代:20~24%程度。時期としては、暖房代がかさむ2月が、光熱費の負担が一番大きいようです。
2020年度の特徴は、前年度と比べて、金額(※)が1.9%も上昇しているところです。ここ10年はほぼ毎年減少していたので、これは大きな変化と言えるでしょう。新型コロナウィルス感染症による影響により、自宅で過ごす時間が長くなったことが、大きな要因のひとつと考えられます」と佐藤さん。
※物価上昇の影響を除去した実質費
4月から光熱費の値上げも
4月から光熱費が値上げするとニュースで見たけれど、これは本当なの?
「はい、実際に4月分の光熱費から、負担が上昇します。原因は、“燃料費の高騰”と“再生可能エネルギー買い取り価格の上昇”です」
具体的にどういうこと?
「日本は燃料からの発電に頼っているため、電力会社やガス会社などにとって、燃料費負担が大きい状況にあるのですが、液化天然ガス(LNG)などの燃料が高騰しており、その価格分が燃料費に反映されました。
また再生可能エネルギーで発電した電気は、電力会社が一定価格で買い取る仕組みになっているのですが、電気料金にはこの買い取り費用が含まれています。そのため、買い取り価格の上昇が光熱費の上昇につながっています」
使い方・プランの見直し、契約会社の乗り換えなどできることから節約をはじめよう
負担が増えている今こそ、水道光熱費を節約したいもの。すぐにできることはあるの?
「水道光熱費を節約するポイントは、大きく分類すると、使い方を見直す、新しい家電・器具・設備に買い替える、料金プランを見直すことの3点です。例えば、LED照明や新しい家電に買い替えたり、食器洗い乾燥機を購入してまとめ洗いにして節約するなどが考えられます。
さらに夜遅くに帰宅して電気を使う機会が多い方は、利用する時間帯を工夫したり、料金プランを変更することで節約できる可能性があります
例えば4人世帯(50Aで契約)で1カ月の電気代:15000円の場合、契約プラン見直しで年間4100円程度節約可能なケースも(※)」と佐藤さん。
料金プランといえば、最近は電気やガス会社を自由に選べるようになったとよく聞くけど、これはどういうこと?
「昔は電気もガスも、住んでいる地域によって会社が決まっていましたが、電気は2016年から、都市ガスは2017年から、自由に選べるように制度が変わりました。
そのため、今契約している電気やガスの契約プランを見直すだけでなく、契約している会社そのものを切り替えることで、光熱費を節約することができます。電気とガスを同じ会社にするセットプラン、通信会社によっては通信プランとのセットプランもあるのでチェックしてみましょう。
例えば4人世帯(電気:50A、ガス:都市ガスで契約)で1カ月の電気代15000円・ガス代7000円の場合、電気・ガスをセットで同じ会社に切り替えて、年間21000円程度も節約になるシミュレーション結果も(※)」(佐藤さん)
※住んでいる地域、契約会社、利用時間帯等によってシミュレーション結果は異なります
電気やガス会社を見直すポイントは3つ。手続きは新しい会社に連絡すればOK
では、会社を変更する手続きの方法は?
「電気もガスも新しく利用したい会社に変更の申し込みをすれば、今利用している会社に連絡をする必要はありません。ただし、手続きの際に現在の契約情報が必要になるので、検針票を手元に用意するなどの準備は必要です。
ガスの場合は、特に器具など切り替えの工事は不要ですが、電気の場合は、スマートメーター未設置であれば交換手続きが必要になります。ただこの場合も追加で料金がかかったり、停電したりすることはないので安心してください」と佐藤さん。
実際に契約会社の見直しをするときは、どこに気をつけたらいい?
「まず、本当に料金が安くなるかどうかという点です。業者が安くなると宣伝していても、商品券などのキャッシュバックを含めて金額を算定している場合など、実際には大差がないケースも。また、切り替えるときに工事費が不要でも、事務手数料がかかるケースもあるので、毎月の光熱費の金額だけで、お得かどうか判断しないように。
次に契約期間です。例えば、転勤など転居を伴うライフスタイルの方であれば、途中解約せざるを得なくなり違約金を支払う可能性もあるので、契約期間や違約金の有無に関して、チェックしておきましょう。
また、電力会社によっては、市場連動型の料金プランを採用している会社があります。そのような電力会社は選ばない方が無難です。市場連動型の料金プランでは、卸電力の取引所での取引価格に連動して電気料金が決まります。電気需要がそこまでではないときは比較的割安なのですが、需要がひっ迫している今は思わぬ高額請求となっており、社会問題となっています」
手数料や違約金など光熱費以外の費用や、料金プランのタイプのチェックも大事だということ。
ステイホームが続くゴールデンウィーク。時間をとって、水道光熱費の見直しをしてみては?
教えてくれた人
佐藤彰(さとうあきら)さん
佐藤彰コーチングFP事務所代表。
ファイナンシャルプランナー。金融機関からの独立を経て情報提供する必要性を実感し、現在は金融商品や保険を販売しない独立系のFPとして活動している。
【マネー特集】働く女性のお金のハナシ
先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。