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円安ってどういうこと?日々の暮らしにどんな影響があるの?

更新日:2022/07/31

最近ニュースでよく話題になる円安。昔から円安とか円高という言葉は耳にするものの、ここ数カ月は急激に「円安」になっているということが気になる点。今話題になっている円安の原因や海外との関係、私たちの生活にどんな影響があるのかなどについて、ファイナンシャルプランナーの佐藤彰さんがわかりやすく解説。

円安とは、円の価値が低くなっている状態のこと

円安とは、円の価値が低くなっている状態のこと

円安というのはどういう状態のこと?

「他通貨に対して円の価値が低い状態のこと、例えば、米ドルに対して円が安いという状態です。円安が最近ニュースになっているのは、この円安が急速に進んでいるからです。2022年3月には1ドル115円程度だったのが、4月には122円程度、5月には129円程度、7月中旬には24年振りの円安水準である138円台になりました」と、佐藤さん。

こんなに急速に円安が進んでいるのはどうして?

「日本の金利が上がらない一方で、アメリカなどの海外で金利が上がっているからです。その結果、低金利の円が売られ、米ドルなどの海外の通貨が買われています。
海外の金利が上がっているのは、海外の中央銀行が、物価上昇を抑えるために政策金利を上げているからです。一方で、日本の中央銀行である日銀は、金利を上げると経済に悪影響があるという理由から政策金利を上げておらず、海外との金利差が広がっています」(佐藤さん)

円安になることのメリット・デメリットは?

円安になることのメリット・デメリットは?

「このまま円安が続けば、海外からの日本へのインバウンド客が増える可能性があります。反対に、日本からアメリカに旅行に行こうとした場合、今までより買い物がしにくくなります。
例えば、ハワイに旅行に行き買い物をするために1万円をドルに両替するとします。為替相場が1ドル115円なら約87ドル、一方で1ドル135円なら約74ドルです。1ドル135円の場合は、1ドル115円の場合と比べて手に入るドルが少なくなります。

なお、円安になると、海外に輸出する製造業にとって有利と最近まで言われてきましたが、今後このメリットが大きいかはわかりません。近年は、製造業も海外現地での生産比率が上がっていること、海外現地法人も海外で原材料を仕入れることもあることから、昔ほど円安が有利とはいえなくなってきています」(佐藤さん)

外貨を持っている人は円安の時に円に換金するとお得、という話も聞いたことがあるけれど・・・

「確かに、円安のときに外貨を円に換金した場合、今までより多くの円に換金できますが、基本的におすすめしません。なぜなら、投資をした資金を換金する原則基準は、『投資の目的を達したとき』と『想定していた相場が悪い方向に変わると考えるとき』だからです。
ですので、外貨に投資して100万円まで増やそうと考えていて、今の為替水準で100万円に達する場合や、今後急速に円高が進みそれが長期間続きそうと考えるのであれば、円に換金するのはアリです。しかし、一時的に円安になった理由だけで換金しようと思っているなら、やめた方がいいでしょう」(佐藤さん)

円安が進むと、日本ではさらなる物価上昇に!?

お米が救世主!?円安が進むと、日本ではさらなる物価上昇に

私たちの生活にはどんな影響があるの?

「これもまた今社会問題になっている、物価上昇につながる可能性があります。日本は海外からさまざまな原材料や食料などを輸入しているので、円安になるとそのコストが上がってしまいます。
例えば、小麦です。小麦自体の値上がり、原油価格の上昇による輸送費の高騰に加え、円安になることで、パンやパスタなど小麦を原料とする食料が今後も値上がりする可能性があります」

円安が続く今、私たちはどのように対策したらいい?

「為替自体は私たちで動かすことはできませんが、日々の生活で支出を抑えることで対策を取ることはできます。
支出を抑える方法としては、円安の影響の少ないものに注目して日々の買い物をすることが挙げられます。食料品で一例を挙げると、お米です。お米はここのところずっと需要が減少していたことやコロナ過で外食需要が減ったことなどで、今後も急激に価格が高騰する可能性は低いです。ここから、価格上がっているパンなどに比べ、お得感が強まっていると考えることもでき、最近注目する動きもあります」(佐藤さん)


また、長い目でみれば、支出の削減には限度があるので、収入アップも重要、と佐藤さん。支出の見直しに加えてキャリアの見直し、資産運用を始めるなどといったことも、検討するべき時期なのかも。

教えてくれた人

佐藤彰(さとうあきら)さん

佐藤彰コーチングFP事務所代表。
ファイナンシャルプランナー。金融機関からの独立を経て情報提供する必要性を実感し、現在は金融商品や保険を販売しない独立系のFPとして活動している。

【マネー特集】働く女性のお金のハナシ

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先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。

※記事は2022年7月31日(日)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります