副業用の口座を用意しよう
副業とはいえ、新たに事業を始めるとなると、お金の出入りが発生するもの。始めた当初はちょっとしたお小遣い稼ぎでも、売上が増えて一定以上の所得を得ると「雑所得」、事業として継続的な収入を得るようになると「事業所得」として、税金の申告が必要に。
「こうした税金の申告には、口座の入出金の内訳についても帳簿に記録して税務署に申告することになります。私的なお金の出入りが混じっていても事業主貸、事業主借という費目を使えば会計処理はできますが、副業に関わる収入と支出だけが1つの口座にまとまっている方がわかりやすく、確定申告もスマートに行えます。副業でこれから継続的に収入を得たいという人は、専用口座をいまから用意するといいでしょう」(氏家さん)
副業に関わる支出は経費になる
氏家さんによると、最初に覚えておきたいのが「売上-経費=所得」という方程式。モノやサービスを販売して得る「売上」ではなく、売上を得るためにかかった「経費」を差し引いて、残った「所得」に対して税金がかかる。
「例えば、ハンドメイド作品やイラスト、インテリア小物や洋服などをネット上で販売する物販では、商品の仕入れ代金、原材料費、配送費、ウェブサイトの運営費や広告費などが経費になります。
また、ライターやカメラマン、占い師、講師業やコンサルティング業のように、知識や技術を販売する人の場合、機材の購入費、知識や技術習得のための研修費や書籍代、交通費、対面でサービスをするならその場所代なども経費になります」と氏家さん。
「『いずれは開業届も出してしっかり稼げるようになりたい』という目標はあるけれど、いまはまだ開業もしていなくて、資格取得や技術習得の勉強中という人もいるでしょう。その講座受講料も将来的に「開業費」という項目で経費にできる可能性があります。とりあえず、領収書をもらって保管しておきましょう」(氏家さん)
会計ソフトを使えば確定申告は難しくない
確定申告が必要だと聞いたけれど、どのように手続きをすればいいの?
「まず、副業でも継続的に事業としてやる場合には、開業届を税務署に提出して個人事業主になりましょう。その場合、毎年1月1日から12月31日までを1年として、その間の売上とかかった経費を翌年の2月16日から3月15日の間に、税務署へ確定申告することになります」(氏家さん)
開業届を提出するときの注意点は?
「『青色申告承認申請書』を合わせて提出しておきましょう。複式簿記を使って帳簿をつけ、貸借対照表と損益計算書を作って確定申告時に提出すること等の条件がありますが、青色申告特別控除を利用すると所得から55万円を控除できて、節税ができます。
確定申告というと、なんだか難しそうと心配な人もいることでしょう。でも大丈夫。確定申告は、会計ソフトを使って売上や経費を入力すると、仕分けなどの知識がなくてもわりと簡単にできます。さらに、e-taxという仕組みを使ってオンラインで確定申告を行うと、青色申告特別控除が通常の55万円から65万円に拡大して、税金面でのメリットが増します」と氏家さん。
ちなみに、会社員などの給与所得者が「知り合いに1回だけ講演を頼まれて、謝礼をもらった」「エッセイコンクールに応募して10万円分の賞品をもらった」など、たまたま臨時収入を得た場合は雑所得とみなされるそう。
「雑所得が年間20万円以下であれば、基本的に確定申告は不要とされています。ただし、後日税務署から問い合わせが入ったときに、売上と、かかった経費の内訳を示せるように、領収書などを保管しておく必要があります」(氏家さん)
教えてくれた人
氏家祥美(うじいえよしみ)さん
ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。
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