株価で景気の先行きがわかる。ただし現在は株価だけでは判断が難しい
そもそも株価が高いと、景気もいいということになるの?
「一般的に株価は、景気に先行して動く傾向にあり、景気の先行指数と言われています。投資家は、世の中の先を予想し、業績がよくなりそうな銘柄に投資をする傾向にあり、株価が上昇する銘柄が多くなれば、景気の先行きがよいと考えることができます」と佐藤さん。
日経平均株価が一時期3万円を突破したとニュースになったけれど、コロナ禍であまり景気の先行きがよいとは思えない現在。それはどうして?
「新型コロナウイルス感染症による影響で業績が悪化している企業も少なくありませんので、景気の先行きは以前より不透明です。そのため、セオリー通りなら株価が下がると考えられます。しかし、今は国がETFという金融商品を購入するなど、市場に積極的に介入し、株価を下支えしています。例外的に今は株価だけでなく、国の株価政策も景気に影響を与えています」と佐藤さん。
今は緊急時で、株価が上がっているからといって景気の先行きがいいとは必ずしも言えないとのこと。
金利、為替、外国の経済動向などは株価の値動きを判断するヒントに
景気を予測というと難しそうだけれど、どんなものをチェックすると株価が動くことがわかるの?
「金利、為替、外国(アメリカ、中国)の経済動向などが影響して、株価が動くことが多いです。
例えば、一般的に金利が高くなると、企業が銀行からお金を借りにくくなり、個人にとっても住宅ローンの金利が上がるなど、消費にも影響があるので、株価が下がる一因になります」
為替と株価の関係は? そもそも為替ってなに?
「為替とは、ドルと円のように、異なる2国間の通貨を交換することを指します。例えば円高・円安というのは、日米でいえば、1ドルが110円のところ100円になれば円高、120円になれば円安ということですね。
そんな円高・円安いずれも、メリットとデメリットの両方があります。例えば、円高だと海外に物を売って利益を上げにくくなりますが、海外の物を買う費用が安くなります。
輸出が盛んだった昔は、円高は株価上昇、円安は株価下落と言われていましたが、今は昔ほど国際競争力が強いとは言えず、円高で海外に物を売って利益を上げにくくなるデメリットが大きいため、株価にはマイナスの要因となっています」
では、外国(アメリカ、中国)の経済動向が、日本の株価に影響を与えるというのはどういうこと?
「GDP世界1位のアメリカや2位の中国が好景気だと、日本も好景気になりやすく、その反対もまた同様です。そのため、アメリカや中国の金利や為替に関する政策や政治や経済の動向は、日本の経済や株価にも影響します。
つい最近までアメリカの大統領だったトランプ氏の気まぐれな発言で世界中の人々が右往左往していたのは、まさにその一例です。今はグローバル化が進んでおり、ひとつの国の経済の動きが他の国の経済に与える影響が大きくなっています」と佐藤さん。
初心者の投資は株価の変動のタイミングを狙うより積立で
株価が予測できるとすれば、投資信託や株を買いたいなと思ったとき、株価が下がるまで待ったほうがよいの?
「株価の未来の動きを考える判断材料として上記の点を参考にして、いくらか下がるまで待つ戦略もなくはありません。
ただ、長期での投資であれば、あまり株価を気にしない方がよいでしょう。
なぜなら、長期的に伸びるのであれば、投資する時点での株価は結果的に大きな差にはならないことが多いからです。とはいえ、投資をしてすぐに大きく下げた場合の心理的ショックは厳しいので、一度にまとめて購入せず積立で購入して、そもそもタイミングを計った投資を避けた方が無難です」と佐藤さん。
初心者にとって投資信託や株は、買うタイミングを考えるより積立で買う方が手堅い投資になるそう。
ちなみに、株価や景気の動きを資産運用以外に役立てることはできる?
「株価や景気の動きについて情報収集することは、資産運用以外にも役に立ちます。例えば、営業職の方であれば、景気の状況によってなにがどの企業に売れるか、営業のヒントになりますし、経営者や経営に携わる部署の方と接する機会のある方であれば、雑談のネタになります。また、転職を検討されている方であれば、どの業種で求人が多いか、また今後何が増えそうか考えるヒントになります」と佐藤さん。
株価や景気は身近な生活に役立てることも可能だそう。
この機会に、今まで興味がないと敬遠していた人も、景気や株価のニュースに関心を持ってみては?
教えてくれた人
佐藤彰(さとうあきら)さん
佐藤彰コーチングFP事務所代表。
ファイナンシャルプランナー。金融機関からの独立を経て情報提供する必要性を実感し、現在は金融商品や保険を販売しない独立系のFPとして活動している。
【マネー特集】働く女性のお金のハナシ
先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。