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従業員持株制度ってお得なの?メリットやデメリットについてFPがわかりやすく解説

更新日:2020/12/20

給与天引きで自社株を積立購入する「従業員持株制度」とは、いったいどんな制度なのでしょうか。この制度を利用するメリット、デメリットについて、ファイナンシャルプランナーの氏家祥美さんに、解説してもらいました。

従業員持株制度とは?基本を解説

従業員持株制度とは?基本を解説

従業員持株制度とは、毎月の給与から一定額を天引きして、勤務先企業の株式(自社株)を積立購入する制度のこと。勤務先にこの持株会の制度があり、すでに自社株を積立購入しているという人もいるのでは?

「従業員持株会を利用するメリットのひとつに、会社から付与される奨励金があります。多くの会社では、給与天引きする自社株の購入代金に対して、5~10%程度の奨励金を出しています。仮に10%の場合、例えば毎月1万円を自社株に拠出すると、会社から毎月1000円分が上乗せされて、11000円分の株式を積立できることになります。

従業員持株会を通じて、従業員が自社株を積立購入するということは、企業にとっても株価の安定が期待できるというメリットがあります」(氏家さん)

従業員持株会の3つのメリット

従業員持株会の3つのメリット

氏家さんによると、従業員持株会には主に3つのメリットがあるそう。順番に詳しく考えていきましょう。

(1)奨励金があるため、お手頃に株式を購入できる
上場企業の場合、持株会といえども市場価格で株を購入することになりますが、会社からの奨励金があることで、実質的には割引価格で株を購入できていることになります。

(2)給与天引きで手軽に資産形成ができる
給与を受け取るよりも前に、株の購入代金が差し引かれる「天引き」の仕組みをとっているため、手間がかかりませんし、購入代金を支払っている感覚すらないでしょう。知らず知らずのうちに資産形成ができます。

(3)会社の成長とともに自分の資産も成長が期待できる
会社の業績がいい時には、一般的に、ボーナスや給与も上昇傾向になります。あわせて株価も上昇傾向になることが多いため、コツコツと積立購入してきた自社株も値上がりが期待できます。

従業員持株会の3つのデメリット

従業員持株会の3つのデメリット

では逆に従業員持株会のデメリットは?

(1)売却しにくい
証券会社を通じて、一般的な上場株の売買をする場合には、株価の値動きを見ながらタイムリーに売買ができます。株価が順調に値上がりしたタイミングを見計らって「売り」「買い」の注文を出したり、希望価格を「指値(さしね)」で指定することもできます。

一方で、共同購入の仕組みをとる従業員持ち株会では、売却には事前の届け出が必要です。自社株を売って現金化したいという場合には、時間の余裕を持って早めに手続きをしておく必要があります。

(2)会社の業績悪化時には、資産もダメージ
会社の業績が下がった時には、通常、ボーナスや給与が下がります。多くの場合、株価も下落するため、それまで積み立て購入した自社株の資産が目減りすることになります。給与と資産が同時に減ってしまうリスクがあります。

(3)株主優待はもらえない
株式投資の楽しみのひとつに、投資先企業から株主に対して贈られる「株主優待」があります。しかし、従業員持株会で自社株を購入しても、株主名簿に個人名が載らないことから、株主優待は贈られません。

「3つのデメリットの中でも、一番注目すべきなのが、(2)会社の業績悪化時には資産もダメージ、という部分です。従業員持株会は奨励金もあってお得な制度ではありますが、業績悪化時のリスクも知って、大きな金額を投じすぎないように気を付けましょう」(氏家さん)

教えてくれた人

氏家祥美(うじいえよしみ)さん

ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。

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※記事は2020年12月20日(日)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります