転職市場はしばらく厳しい状況が続く
今、転職するのはおすすめできないってホント?
「図は、厚生労働省の統計より、過去の離職率(仕事を辞めた人の割合)と、入職率(新たに仕事に就いた人の割合)の推移を示したグラフです。
近年はずっと青色の入職率が赤色の離職率を上回っていましたが、これは平成24年の12月に安倍政権がスタートして『アベノミクス』といわれた好景気が始まって以降のこと。その前に目をやると、リーマンショックが世界を襲った平成20年からの4年間は、離職率が入職率を大きく上回っていました。
このように過去を振り返ると、コロナ禍で大きなダメージを受けた業界では特に、一度仕事を離れるとなかなか次の仕事が見つかりにくい状況が今後数年間続くと予想されます」(氏家さん)
辞める場合には生活費の確保が重要
そうは言っても、会社の状況や、個人的な諸事情によって辞めざるを得ない場合もあるもの。そんな人はどうすればいい?
「可能であれば退職前に次の仕事を見つけて、ブランクを空けずに転職することをおすすめします。離職してから仕事を探す場合、離職期間が想定以上に長引く可能性があるからです。
次の仕事が見つかる前に辞める場合には、手元資金をなるべく多めに確保しておきましょう。コロナ禍で次の仕事が見つかるまでに時間がかかると思われるので、最低でも6カ月分の生活費は手元で確保しておきましょう」と氏家さん。
自己都合で退職する場合に気を付けた方がいいことはある?
「会社都合で退職する場合には、離職後すぐにハローワークで手続きすれば、1カ月以内に最初の失業給付がもらえます。ただし、個人的な理由によって自己都合退職する場合には、3カ月の待機期間が加算されるため、最初の失業給付を受け取るまでに4カ月近くかかります。自己都合退職の場合には、待機期間3カ月分の生活費もあわせて、少なくとも9カ月分の生活費を確保しておきましょう。
手元資金が少ないほど、たとえやりたくない仕事であっても、生活のために早期に働く必要性に迫られます」(氏家さん)
コロナ禍で失業給付期間が延長に
「仕事が見つかりにくくなっていることを考慮して、コロナ禍の影響で仕事を失った人に向けて、雇用保険から支給される『失業給付(基本手当)』の給付期間が延長されています」と氏家さん。
失業給付の金額は、「6カ月間の給与の合計÷180×50~80%」となるけれど、正確な金額はハローワークに問い合わせてみて。
図は、通常時に会社都合で離職する場合の失業給付の支払い上限日数。例えば30歳以上35歳未満で、雇用保険に加入した期間が10年以上20年未満という人の場合、会社都合で退職すると最長で210日間失業給付を受け取れる。
「ただし、新型コロナウイルスの影響で会社都合退職を余儀なくされた人を対象に、失業給付の日数が60日延長される措置(※)(35歳以上45歳未満の方で措定給付日数が270日の方、45歳以上60歳未満で所定給付日数が330日の方は30日)が出ています。そのため、該当すれば通常よりも失業給付を長く受け取れるようになっています。
やめなくて済むなら今の状況では会社に残ることをお勧めしますが、やむを得ない場合にはこうした制度を活用しつつ、手持ち資金を確保してから退社しましょう」(氏家さん)
※新型コロナ感染症等の影響に対応するための雇用保険法の臨時特例等に関する法律
教えてくれた人
氏家祥美(うじいえよしみ)さん
ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。
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