株主優待は投資家への贈り物
そもそも株主優待とはどんな制度なの?
「お中元やお歳暮など、定期的に贈り物を送る文化がある私たち日本人には、株式投資においても、決算期に株を保有していた投資家に対して、お礼の品を送る文化があります。その品物が株主優待です」と氏家さん。
株主優待として送られる商品は、メーカーなら自社製品、飲食店なら食事の優待券、レジャー施設なら施設利用券というように、自社の商品を知って利用してもらう機会としている企業が多いそう。そのほか、クオカードやカタログギフト、お米など家計に優しいうれしい商品を送ってくれる企業も。
どの企業も株主優待があるの?
「株主優待がある企業は、上場企業の4割程度とすべての企業で実施されているわけではありません。優待の代わりに配当に注力する企業や、利益を再投資して企業の成長という形で投資家の期待に応える企業があるためです。
とはいえ、株主優待目当ての投資銘柄選びはとても楽しく、今まで知らなかった企業、気に留めなかった企業に注目するきっかけとなります。気になる投資先の幅を広げてくれるでしょう」(氏家さん)
株主優待をもらうためには、日付に注意!
では株主優待をもらうためにはどうすればいいの?
「まず証券口座を開き、株主優待制度のある企業の株を購入し、『権利確定日』に株主としてその企業の株主名簿に載る必要があります。
気をつけたいのは、購入したその日には株主名簿に名前は載らないということ。権利確定日に株主と認められるには、少なくともその2営業日前(土日や祝日はカウントされません)の権利付き最終日までにその株を購入しておく必要があります」(氏家さん)
権利が確定したら、すぐに株を売ってしまってもいいの?
「はい、売ってしまっても株主優待をもらえます。そのため、仮に1銘柄分の予算しかなかったとしても、毎月売買をして保有銘柄を変えていけば、毎月何かしらの株主優待を受け取ることもできます。
ただし、株価は常に動いていますし、権利確定日が近くなると株価が上がりやすくなることも。株価の動きを見ながら、スケジュールの余裕をもって購入するといいでしょう」と氏家さん。
10万円以下の投資でもらえる株主優待もある
どれくらい株を買えば株主優待がもらえるの?
「株式の売買は、『株価×単元株数』で行います。単元株数とは、その株の最低購入単位です。100株単位で売買されることが多くなっていますが、1株単位、1000株単位のものもあり、銘柄ごとに決まっています。ただし、株主優待をもらうための基準が別途設けられている場合もあるので、最低何株購入する必要があるのかチェックしておきましょう。
たとえば、ある百貨店の株価は、この記事を執筆した時点での株価は810円でした。単元株数は100株なので、購入予算は81000円に証券会社の手数料を加えた金額になります。こうしてそのまま権利確定日まで株主でいたら、後日、株主優待としてグループ百貨店での10%割引券が送られてきます。対象百貨店でよく買い物をする人なら、うれしい優待でしょう」(氏家さん)
どの企業にどんな株主優待があり、いくらで買えるの?
「表のような株主優待の情報は、yahoo!ファイナンスなどのサイトや、各証券会社のサイトにログインすると銘柄検索機能を使って探すことができます。先ほどの例のように、10万円以下の投資でもらえる株主優待もあるので、ぜひ気になる銘柄を見つけてみてください」(氏家さん)
教えてくれた人
氏家祥美(うじいえよしみ)さん
ハートマネー代表。
ファイナンシャルプランナー・キャリアコンサルタント。家計の見直し相談や講演活動を通じて、お金の基礎知識を伝えている。お金だけじゃない『幸福度の高い家計づくり』を総合的にサポートしている。zoomなどを使ったオンラインでの家計相談も受付中。
【マネー特集】働く女性のお金のハナシ
先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。