自由に使えるお金が増える分、散財には注意
子供を持たない夫婦の場合、最近は共働きというケースも多いはず。子供がいる家庭に比べると、教育費などにお金がかからないということもあって、家計には比較的ゆとりがあると言えそう。
「ただ長い人生、そのゆとりがいつまでも続くかどうかはわかりません。例えば、ケガや病気などによって、どちらかが仕事を続けていけなくなる場合もあるかもしれません。また、学び直したり、留学をしたりといった挑戦をしたくなることもあるでしょう。ゆとりがあるときこそ貯蓄をしておけば、人生のいろいろな局面を乗り越えられますし、楽しめることも増えます」と西山さん。
夫婦で貯蓄の習慣を身につけておこう
貯蓄が必要なことはわかるけれど、どれくらい貯めればいいの?
「生活費に比較的ゆとりがある夫婦ですと、家計管理や貯蓄について後回しにしがちです。今持っているお金をどんどん使う習慣が身につき、生活レベルが上がっていくと少々危険。一度上がった生活レベルを下げることは難しいため、早いうちから貯蓄の習慣を身につけ、生活費を少し絞っておくことをおすすめします。
まずは、夫婦それぞれが『手取り月収の1割以上』を目安に、毎月確実に貯めていきましょう」と西山さん。
西山さんによると、貯蓄のコツは、手軽にできる方法を選び、長続きさせることなんだそう。
「勤務先に財形貯蓄があれば、ぜひ第一優先にしたいです。給与天引きで貯められるので、銀行に振り込まれた口座をすべて使い切る生活をしていても、いつの間にか貯まっていきます。
勤務先に財形貯蓄の制度がなければ、銀行で自動積立定期預金を選ぶのもおすすめです。普通預金から、毎月決まった日に、自分で決めた金額が定期預金に振り替えてもらえる仕組みです。こちらも自動的に貯まっていくので、忙しい人にもおすすめです」(西山さん)
ほかにおすすめの貯蓄法はある?
「ネット銀行の一部で行われている『自動入金サービス』を利用するのも手です。毎月決まった日に、自分で決めた金額を、自分のメガバンクなどの口座から自動的に移してくれるサービスです。無料でできますので、試してみてください。
ネット銀行を貯蓄専用口座にすれば、メガバンクなどよりも少し金利が高いので、少しずつふやすことができます。ボーナスシーズンはキャンペーンで定期預金の金利が少し高くなる場合もあるので、その時期に定期預金に移し替えるのもよいでしょう」(西山さん)
少し先の老後についても考えておこう
ほかに子供を持たない夫婦が気を付けた方がよいこととは?
「子供を持たない夫婦の場合、老後に面倒をみてもらう人がいないことを念頭におきましょう。子供がいれば、病院への送り迎えや入居施設の見学や手続き、費用の一部負担など、なにかしらサポートをしてもらえることも。ところが、子供を持たない夫婦の場合は子供のサポートを得られないため、老後のために多めに貯蓄をしておくことが大切です」(西山さん)
西山さんによると、子供のいない夫婦の場合、老後のための貯蓄目安は3000~4000万円程度。ただし、賃貸住まいの人やもらえる年金が少ない夫婦ほど、より多めに準備しておく必要があるそう。自営業の期間が長かったり、働いていない期間が長い場合、将来もらえる年金が少ないことが予想される。誕生月に送られてくる「ねんきん定期便」を確認して、将来夫婦でどれくらい年金をもらえそうか、チェックしておこう。
老後資金として、預貯金を準備しておくとつい使ってしまいそうな場合、どうすればいい?「そんな方は、個人型確定拠出年金(iDoCo)や貯蓄性の保険を使うというのも一案です。個人型確定拠出年金は、投資性商品を選んだ場合は相場によって値段の上がり下がりはありますが、長期間積み立てていけばリスクが抑えられます。原則的に60歳まで引き出しができないので、老後資金として準備するのに向いています」と西山さん。
教えてくれた人
西山美紀さん
出版社で編集・マーケティングを経験後、独立してファイナンシャルプランナーの資格を取得。単に貯蓄額を増やすのではなく、うるおいのある毎日になるためのお金の貯め方・使い方について女性誌やWEB等で発信中。著書『お金が貯まる「体質」のつくり方』(すばる舎)。男女の子を持つ二児の母。
【マネー特集】働く女性のお金のハナシ
先行き不透明な時代、多様化するライフスタイル。お金に関して、漠然とした不安は感じるけれど、分からないことだらけ。みんなどうしてるの? 気になるけれど、聞きづらい。情報も多すぎて、どれが私に合っている話なのか、見分けもつかない。そこでOZmallが女性たちに、これから先も“私らしく”過ごしていくために必要なお金の新常識を提案します。