リモート蒸溜所ツアーは大きく分けて2種類。ひとつは無料の「360°フリーツアー」で、WEBサイトにアクセスすれば、24時間いつでも見ることが可能。ところどころに赤や緑のポイントがあり、気になったところでクリックすると音声ガイドや詳細情報が見られるので、気軽にマイペースで楽しみたい人はこちら。
もうひとつは有料で予約制の「オンライン・ライブ」。ウイスキーのテイスティングキットが事前に送られるもので、当日は画面を通じて蒸溜所見学をしながら、ガイドがリアルタイムで案内してくれるもの。今回は山崎蒸溜所のオンラインライブツアーに参加してみました。
今まで白州の蒸溜所は何度か訪れたことがあるのですが、山崎は初めて。関東圏からはなかなか行きづらいので、オンラインで体験できるのは楽しみです。
モニターの向こうに見えるのは、豊かな水に囲まれた山崎蒸溜所
山崎蒸溜所は1923年着工、日本初のモルトウイスキー蒸溜所で、日本のウイスキーづくりの歴史を語るのに欠かせない場所。山崎が選ばれた理由としては、千利休も茶室をかまえた名水の里であるということ。3つの川が合流する湿潤な自然環境の中にあり、ウイスキーづくりには絶好の条件だったそう。
映像は山崎駅を降りたところからスタート。歩くのと同じ早さと目線で蒸溜所までの道を進んでいき、建物が近づいてくるのにワクワクしてきます。到着するとナビゲーターが登場し、今回のツアーの案内をしてくれます。Zoomの投票機能を使って、その場でアンケートに答えたり、簡単なクイズが出題されるなど、ただ見ているだけでなく、参加している感じが楽しい!
「山崎」をはじめとするシングルモルトウイスキーの製造工程を見学
まずは仕込室へ。ここは二条大麦の麦芽と山崎の名水を混ぜて、麦汁をつくるところ。ピートの煙で麦芽を乾燥させて独特のいぶしたような香りが付いた麦芽を使ったりと、ウイスキーの個性はここからすでに始まっています。
次に発酵室へ。「発酵由来の甘酸っぱい香りが広がります」など、五感に訴えるコメントをするので、臨場感がある一方、やっぱり足を運んでその香りをかいでみたいという気にもなります。発酵槽の中で、泡がブクブクと立っている様子をカメラ越しに見られるのはオンラインならでは。ここでアルコール度数7%のもろみが出来上がります。
蒸溜室では様々な形をした釜がウイスキーの原酒を生み出す
ウイスキーと言えばこの形を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか。ポットスチルと呼ばれる巨大な銅製の釜で、もろみを熱します。水とアルコールの沸点の違いを利用して、香りや味わいの成分をアルコールと一緒に凝縮してとりだすため、このような形になっているそう。全部で16基もある釜の形や大きさ、首の角度がそれぞれ違っていて、それによってできる原酒の味わいも変わってくるのだとか。
2度の蒸溜を経て生まれたウイスキーは「ニューポット」と呼ばれ、アルコール度数70%の無色透明の液体が出来上がります。
樽の中で静かに眠る時間が味わいを豊かにする貯蔵室
そしていよいよその透明な液体を琥珀色へと変える熟成の段階へ。こちらの貯蔵庫は、一切温度管理をせず、自然の気候にウイスキーづくりを任せているそう。樽の大きさや素材もまちまちで、熟成する年数や置かれる位置によっても違いが出るのだとか。
大きなサイズのパンチョン(ホワイトオーク)樽はバニラのような香り、小さいサイズのワイン樽はフルーティで甘酸っぱい香り。シングルモルトウイスキー山崎(ノンエイジ)は、この2種類の樽で熟成したウイスキーを中心にブレンドされて作られているのだそう。
プロのブレンダーと同じ手順でテイスティング
ウイスキーづくりの工程がわかったところで、お待ちかねの試飲タイム。ここではプロのブレンダーが行っているテイスティングの方法を教えてくれます。事前に送られた「山崎」のミニボトルとテイスティンググラス、そして自宅で常温の水を用意。
まずはグラスのふくらみの部分まで山崎を注いだら、色をチェック。光にかざしたり白い紙にかざすとよくわかるそう。次に香りをチェック。グラスをくるくると回して広げてから鼻を近づけます。アルコール43%とかなり高いのでツンと来るかもしれません。そこで常温の水を同量プラス。アルコールが和らぎ、さらに別の香りが広がる。そして味わいをチェック。舌の上に広げるようにじっくりと、のどや鼻に抜ける余韻もかみしめます。
ブレンダーはこれをすべて言葉で表現し、原酒をブレンドして最高のウイスキーを作るというのだから、神の舌と鼻、センスを持っているに違いありません。
充実のツアーを満喫。今度はぜひ実際に訪れてみたい!
その後もおいしいハイボールの作り方をレクチャーしてくれたり、ウイスキーの様々な飲み方やフードとのマリアージュを教えてくれたりして、60分のツアーは終了。ツアー途中もチャット機能を使って質問したことに答えてくれたり、臨機応変に対応してくれて、参加者みんなの一体感もありました。
そして何よりも、画面に集中しているため、リアルな見学よりも理解が深まった気がします。とはいえ、ウイスキーが作られる香りや空気感を体験してみたい、という気持ちも募ります。自由に旅行ができる機会が来たら、実際に足を運んで、現地で改めてウイスキーを味わってみたくなりました。
サントリーウイスキーのリモート蒸溜所ツアーは、山崎蒸溜所と白州蒸溜所で実施中。フリーツアーとオンラインライブもそれぞれあるので、お好みの楽しみ方でウイスキーの故郷を訪ねてみるのもいいかもしれません。
>>サントリーウイスキーリモート蒸溜所ツアー
サントリーウイスキー リモート蒸溜所ツアー
- スポット名
- サントリー山崎蒸溜所
- オンライン・ライブツアー参加費
- 1名3300円:シングルモルトウイスキー山崎(180ml)1本と山崎ロゴ入り特別テイスティンググラスの事前送付セミナー用ツール(非売品)を含む・送料込み
- 申し込み方法
- オフィシャルサイトより希望の日時を予約、決済後メールとセミナー用ツールが届くので、ツアー当日Zoomから参加
- 問い合わせ
- factory@suntory.co.jp( 9:30~17:00 年末年始(臨時休業あり)を除く)
※お返事までお時間をいただく場合がございます
- ※20歳以上から参加できます。
※サントリー白州蒸溜所でも同様のツアーを開催しています。(セミナーツールは白州のセットになります)
※新型コロナウイルスの影響を鑑み、当面の間、工場見学および場内の全ての見学施設(ショップを含む)を休止しています。現地での見学はできません。
- ホームページ
- サントリーウイスキー リモート蒸溜所ツアー
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