若い世代でも健康を気遣い、お酒を飲まない傾向が
ここ数年、欧米各国では20代など若い世代を中心に、あえてお酒を飲まない生活を楽しむ「Sober Curious(ソーバーキュリアス)」という考え方がひとつの潮流になっているのだとか。これはガマンしてお酒を断つというよりは、自分のためにポジティブにお酒を飲まないという考え方。また、イギリスでは「Dry January(ドライ・ジャニュアリー)」と呼ばれる、毎年1月はお酒を飲まずに過ごそうというキャンペーンが実施されている。
ホームパーティなど大勢で集まることを好んだり、日常的にバーやパブで飲む習慣がある欧米では、お酒を飲み過ぎてしまうこともしばしば。こうした健康への配慮が“あえて飲まない”選択を尊重するようになっているという。
お酒を飲まない人にも、お気に入りのバーがある
一方で、欧米ではバーやパブは親しい人と語り合う上で欠かせない場所。“あえてお酒を飲まない”人たちも気軽にバーやパブに足を運んでいるそう。
「日本ではお酒を飲まない=お酒を出す場所に行かない、という考えになりがちですが、そもそも海外ではバーはお酒を飲むだけのために行く場所ではなく、“社交場”なんですね。お酒の代わりにコーヒーやソフトドリンクではなく、モクテル(ノンアルコールカクテル)を楽しむ人も多いんですよ。お酒の持つ深く複雑な味わいをお酒以外の素材で表現するのは難しく、バーテンダーは日々研究をしています」(宮澤さん)
お酒に代わる新感覚のノンアルコールドリンクが続々登場!
「アルコールフリーのスピリッツや、お酒に代わる“オルタナティブ・ドリンク”も色々な国で作られています」と宮澤さん。ロンドン生まれの「シュラブ」もそのひとつで、欧米諸国で話題を集めているのだとか。
果物やハーブを漬け込んだビネガーに、さらに果物やスパイス、ハーブなどボタニカルな要素でフレーバーを付けたもので、さっぱりとした味わいと、さまざまな素材を組み合わせることで生まれるふくよかな香りが印象的。もともとはアメリカの禁酒法時代に飲まれていたものを復刻させたのだとか。
オレンジやレモンのフレッシュな香りにフェンネルやアニスを組み合わせた「シュラブ オリジナル」をはじめ、フレーバーは4種類。日本でもレストランやバーなどで提供するところが少しずつ増えている。
ロー/ノンアルコール専門のバーならお酒が飲めない人でも楽しめる
シュラブとの出会いをきっかけに、ロー/ノンアルコールバー「Low-Non-Bar」を開いた宮澤さん。長年、バーテンダーとして活躍する一方で、健康を気遣い、4年前からお酒を一切飲んでいないのだとか。
「お酒は飲みませんが、バーの雰囲気や空間が好きなので今でもよく行きます。でもお酒を飲まない人にとって、お酒やシガーを楽しんでいる人が多いようなバーは、居づらいと感じてしまいますよね。そんな方にもバーの魅力を知ってもらえたらと思っています」
こちらでは、シュラブを使ったオリジナルカクテルがいただけるほか、通常のバーと同じように、好みの味わいを伝えておすすめのノンアルコールカクテルを作ってもらうことも可能。
今後はお酒が飲めなくても大人の時間を楽しめる場所が、日本でも増えていくのかも。
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PHOTO/AYA MORIMOTO WRITING/MINORI KASAI