スイーツ芸人が教える“甘いもの” vol.017
【毎週水曜日 10:00 更新】
よろスィーツ! スイーツ芸人・ナカノタカフミです。年間500軒以上食べ歩くスイーツマニアの僕が本当においしいと思ったナイスィーツを厳選して紹介します。10月は、今が旬のマロンスイーツをピックアップ。第3弾は、わざわざ行きたい芸術的なパフェです。
更新日:2016/10/19
この秋、必ず食べたい和栗パフェ!15種類のパーツで表現された秋物語
今回ご紹介するのは、秋にぴったりのスイーツです! なんと、菊の節句の「重陽の節句」とお月見「中秋の名月」をイメージした和栗パフェなのです。
「ん!どゆこと!?」と思った方もいると思います。ただ、まさに言葉通り、見事に「秋」をスイーツで表現しているのです。
そんな素敵なパフェがいただける「シンフラ」は、埼玉の中でもちょっとマニアックな志木駅にあります。
「遠いなぁ・・・」と思った方! 最後まで読めば、足を運ぶ価値があるとわかってくれるはず!
では、パフェの概念を覆す圧倒的なビジュアルからどうぞ。
まず目につくのが、黄金色に輝く真ん丸の蓋ではないでしょうか。
こちらは飴で作られた蓋で、お月見の“満月”をイメージしています。
んー、なんてロマンチック!
“満月”を飾るのは、栗の花の蜂蜜、栗の渋皮煮、きな粉のクランブル(そぼろ状のお菓子)、ほうじ茶パウダー、ヘーゼルナッツのローストなどなど盛りだくさん。菊の花びらにはヘーゼルナッツのオイルが絡めてあり、細部へのこだわりがナイスィーツ!
次は、横からのアングルをどうぞ。
パフェの中は、蓋があることで外部と遮断された静寂な世界のようです。秋の儚さすら伝わってくるよう。
この静かな空気感とは違い、器をに手をあててみると温もりを感じます。この温もりの正体は・・・また後ほど!
さて、気になる食べ方ですが、まずこの飴の蓋をスプーンでパリンと割っちゃいます。美しいものを割っちゃうのは惜しいですが、これもおいしさのため。
そして!そして!この蓋を割った中に、スープをかけていきます!
たらーんと、シェフ自らかけてくれるこちらは、栗の甘露煮のスープ。
こんなパフェの食べ方、もはやエンターテイメント!
熊本県産の和栗を使ったモンブランのほっくりした甘さに、栗の甘みが凝縮されたスープが絡みあいナイスィーツ!
そして、先程の温もりの正体は、茹でたての白玉!
生キャラメルを包み、ほろ苦い甘さが味わえるキャラメル風味の白玉で、お月見のお団子を表現。ヒンヤリしたアイスと、アツアツでモッチリした白玉の組み合わせは、もぉーすばらスィーツ!
口どけがよいアイスクリームには、和栗味とキャラメル味の秋らしいコンビの2種類。
栗の甘みなど秋の風味が何層にも重なりあい、口の中を多次元の世界に導きます。
楓の葉との美しい色合い。
栗の花の蜂蜜の芳醇な香り。
器から伝わる温もり。
口で聞こえるパリっしたの飴の音。
栗の渋皮煮のホクホクしたくちあたり。
まさに、五感で楽しめるパフェ。食べなかったら後悔しまスィーツ!!!
「ジョエル・ロブション」、「ナリサワ」など高級レストランで経験を積んだシェフは、発想がとてもユニークです。
なかでも「スイーツを通して作り手と食べ手の間で感謝の気持ちを通わせられたら」という言葉が印象的でした。
たとえば、「食材」への感謝。
このパフェに使われる食材にも、ひとつひとつ意味があるのです。
豆には邪気を払う縁起の良さがある、鹿の子豆。栗には、実りの秋、豊作など商売繁栄を意図して用いているのです。
食べる人のことを想い、そのひとくちを通し、おもてなしの気持ちを発信しています。
四季を通じ、食文化の大切さや食材の意味を求め、日本人のパティシエだからこそできるスイーツ作りをしていきたいと力強くおっしゃって頂きました。
常に新しいことを考え、食べる人を楽しませたいというシェフの熱い想いに、心が揺さぶられました。
多くの人に、このパフェと出会ってほしい!
ぜひたまには足を延ばしてひとくちに込められた気持ちを、噛みしめに行きましょう!
シンフラ
TEL:048-485-9841
埼玉県志木市幸町3-4-50
営業時間:11:00~20:00
定休日:月曜日・不定休
席数:2席(店内)8席(テラス席)
アクセス:東武東上線 志木駅より徒歩15分
カード:不可
予約:可
文/スイーツ芸人 ナカノタカフミ
東京NSC16期。早稲田大学第二文学部卒業。特注オーダーしたというBigなパンケーキ帽がトレードマーク。「三度の飯よりスイーツが好き!」という芸人の中ではいちばんのスイーツマニアで、特に好きなのはチョコレート。年間500軒以上を食べ歩き、今までに巡ったスイーツショップは2000店以上にものぼる。よしもとクリエイティブ・エージェンシー所属。日本スイーツ協会認定スイーツコンシェルジュ会員。
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WRITING&PHOTO/ナカノタカフミ ILLUSTRATION/HONGAMA