お腹が空く本 Gooooooo Books vol.009
【毎週土曜10:00配信】
コミック、エッセイから、絵本、レシピ本まで、ページを読み進めると思わずグーーッとお腹が鳴ってしまう、食欲刺激系の本を、“食”にまつわる本棚プロデュースやイベントなどを通じて、いろんなおいしいを提案・表現する〈COOKCOOP〉のブックディレクター・鈴木めぐみさんがピックアップ!
更新日:2016/10/01
COOKCOOP 鈴木めぐみさん選
『キャベツ炒めに捧ぐ』
あさりのフライ、さつまいもと烏賊の炒め煮、秋鮭の南蛮漬け・・・。作品に登場する料理がなにしろおいしそうで、ページをめくるたびに胃袋を刺激される。
東京の私鉄沿線にある惣菜屋「ここ家」を舞台に、店を切り盛りする還暦前後の3人のワケあり女性が物語を繰り広げる人間ドラマ。みんな、離婚や最愛の息子、夫との死別を乗り越えて、いまを不器用なほど必死に生きています。その原動力は、それぞれの心のなかにしまいこんでいる思い出と深く結びついているごはんの記憶。おいしいものを作って食べて、働いて。目の前の現実をしっかり受け止め、楽しみながら毎日を生きている様子には、どことなく元気づけられたりもします。
そんな人たちが作る「ここ家」の惣菜、食べてみたいな。こんなお店が家の近くにあったらいいな。ひと品ひと品を味わうようにゆっくりと読み進めたい一冊です。
選者
鈴木めぐみ
食を中心とした雑誌の編集者を経て、料理本専門書店〈COOKCOOP〉のブックディレクターに。現在、実店舗は持たず、ブックセレクトや食関係のイベントの企画運営に携わっている。