わたしの偏愛グルメ ~パクチー編~ vol.007
【第2・4土曜21:00更新】
唯一無二の個性を放つのに、世界各国のさまざまな料理と相性抜群。そんな素晴らしい食材パクチーを愛してやまない編集部が、夜な夜な食べ歩いて見つけた“パクチー愛”にあふれるお店をご紹介します。
更新日:2016/10/08
“人との縁を大切にしたい”との想いで地元に根付く呑場「マルコ」
ドキドキしながら初めてのお店に入ったとき。常連さんばかりだったりして、居心地の悪さを感じたことはないですか?
この“呑場”は、その真逆。初来店でも席に着いた瞬間から、自分がすっと空気に馴染めた気がして心地よいんです。それはきっと和食を中心とした落ち着くメニュー構成と、店主・河内亮さんを始めとするほどよくカジュアルな接客のおかげ。
メニューには河内さんの故郷である新潟の鮮魚、地酒、特産品が並ぶ一方、商店街の八百屋さんから仕入れた野菜や、向かいのフライ屋さんのメンチカツもラインナップ。また店舗で使用するお米は、同級生が育てている岩船産のコシヒカリ。
「店名のマルコは“人がつながっていく”円を意味するマルから来ているんです」と言うように、店舗のオープンを機に新しく繋がった人も、昔からの知り合いも大切にする。そのように縁を尊ぶ店主の人柄が滲み出た居心地のよい空間に、日夜ファンが増え続けています。
カラフルな見た目に食欲もアップ。パクチー好き必食のスターター
「すごーい!」運ばれてきた瞬間、思わず声をあげてしまいました。
「千葉県我孫子の農家さんと縁ができて始めました」というパクチーメニュー。まず外せないのが、こちら。いつも旬の野菜を10種以上使用するというパクチーのサラダです。
この日も、揚げレンコンに、トマト、セロリ、カリフラワー、ヤングコーン・・・。本当にさまざまな野菜が入っていました。コリ。サクッ。シャキ。バラエティ豊かな食感に箸が止まりません。
自家製の香味玉ねぎソースは甘くてコクがあるのに、絶妙な酸味も効いていて後味さっぱり。また、色んな野菜が少しずつ入っているから、食べる場所によって味の印象が違うんですー! なので、ボリュームが多くても飽きずにペロッと食べられちゃいますよ。
女性客が多く(8割方女性だそうですよ!)、平日は夜中の2時までやっているから、残業帰りにサラダでひとりごはんなんていう使い方もアリかも。
ふかふかでなめらか。南部鉄器で炊いた豆腐がおいしい麻婆豆腐
こちらで年中やっているという定番パクチーメニューがこの「パクチー麻婆豆腐」。表面には、青ネギではなくパクチーがたっぷり。このパクチーが、麻婆の中にリズムを刻むいいアクセントになるのです。
驚いたのが、口に入れた瞬間、ふわ、するっととろける豆腐の食感。この絶妙なのど越しの秘訣は、豆腐の調理法にありました。
麻婆豆腐を作るときの豆腐。中華では炒めるのが基本ですが、こちらではまず南部鉄器に入れたお出汁で炊いているそう。それがこの湯豆腐のような、するりとほどける食感につながるんですね。
最初は、「全然辛くないな」なんて思うのですが、“青唐辛子”を使用しているというだけあって、食べ進めるうちに顔中の毛穴が開くあの心地よさを感じられますよ。通常量でわたしは十分でしたが、辛党の方は青唐辛子の追加もOKだそう!
満腹でも食べたい!岩船産コシヒカリを使った土鍋ごはん
初来店の〆には、パクチーそっちのけで土鍋飯をおすすめします。なぜなら、店主・河内さんは新潟出身。せっかくなら、新潟の味を食べておかないと!
ときおり、いくらとは名ばかりで申し訳程度にしか入っていないこともありますが、こちらはたっぷり! 贅沢ですね。羽釜で注文が入ってから焚いてくれるごはんは、炊き立てふかふかです。
「もうお腹いっぱい・・・」と思っていたはずなのに、蓋を開けた瞬間、ふわーっと湯気に乗って立ち込めてくる出汁や三つ葉の香り。たまりませんね!
ぐ~っとお腹が鳴るかと思いました。
ところで今回の具材に入っている“塩引き鮭”って知っていますか? こちらは新潟県村上市の名産で、鮭の内臓やエラを取り出してから塩をすりこみ、水洗いした後、村上地方特有の浜風で乾燥させたもの。鮭の旨みがグググッと深まっている極上品なんですよ。
味付けには「飲んだ後の〆としても、物足りなくないように」と一番出汁に加え、五番と呼ばれる、かつお・みりん・薄口醤油を合わせたものを使用しているそう。
なんかもう、これはもう。
言うまでもなく・・・、おいしいです!
鮭のほどよい塩加減に、濃すぎず薄すぎずの絶妙の味付け。幸せの味を堪能するうちに、“満腹”という言葉を忘れてしまいました。
「炭水化物は敵だ!」と、日頃ダイエットに励んでいたとしても、この日くらいはぜひ甘やかしてください。
食べないと絶対、損ですよ~!
千葉県我孫子の農家から仕入れるパクチーは、毎週水・土に1kgずつ。香りが格別というから、パクチー好きは見逃せません。パクチーを使用したメニューは、常時3~4品。この日も、紹介したサラダや麻婆豆腐以外にも、春巻きや冷麺がラインナップされていました。
河内さんは、人とのつながりだけでなく自然とのつながりも大切にしており、レモンサワーには瀬戸田の無農薬レモンを使用したり、ワインは自然派を中心にしたりと「なるべく自然に近い食材を使うようにしている」そう。
元々仲の良い料理人の集まりでスタートしたというこのお店。店員さん同士の息が合っているからか、活気もあるし、本当に心地よいんです。
そんな居心地のよさとおいしい料理に魅せられて、自然と人が集まる・・・。まさに“呑場”というフレーズがピッタリです。
どんな嫌なことがあった日も、1日の終わりにここに来れば「今日もいい1日だったな」と思える気がします。
マルコ
TEL. 03-6413-8208
東京都世田谷区太子堂2-22-9 中野ビル1F
営業時間:月~土、祝前日 18:00~翌2:00(LO1:00) 日、祝日 18:00~0:00(LO23:00)
不定休
席数:23席
アクセス:三軒茶屋駅北口より徒歩6分
予約可 カード使用可
平均予算:4000~5000円
全面喫煙可
WRITING/CHIKA SATO(OZmall) PHOTO/KAZUHITO MIURA