あの人の行きつけ　vol.004　甲斐みのりさん

【第2・第4月曜日10：00配信】
暑さを忘れて心静かに過ごすなら、喫茶店で読書はいかが？　そこで今回は、文筆家･甲斐みのりさんが“読書がすすむクラシックな喫茶店”をセレクト。東京の名店で優雅な時間を。

更新日：2016/08/29

甲斐みのりさんが選ぶ、読書がすすむクラシックな喫茶店3選

居心地のいい、清く美しい喫茶室です

喫茶店にまつわる著書も多い甲斐さんが、「賑やかな銀座の外堀通りに面した扉の向こうは、清く美しい応接間のような喫茶室」という「銀座ウエスト本店」。1947年創業の銀座を代表する名店のひとつで、街の喧騒を忘れさせてくれるクラシカルな雰囲気が漂う。「お店の方の対応も丁寧で快く、居心地がいいから、つい長居してしまいます」。

そんな空間でいただきたいのがケーキセット。店頭で販売している生ケーキのほか、カスタードクリームと生クリームが半々のハーフ＆ハーフシュー、ミルフィーユなど喫茶室でしか味わえないメニューも選べる。「コーヒーのお代わりサービスもありがたい。よく待ち合わせの時間より早く訪れ、相手が到着するまで読書を楽しみます」。ゆとりのひとときをぜひ銀座の名喫茶で。

ケーキセットは、コーヒー972円などのドリンクにプラス324円でシュークリームや生ケーキが１品付く

銀座ウエスト本店
ぎんざウエストほんてん

TEL：03-3571-1554　
東京都中央区銀座7-3-6　
営業時間：9:00～23:00　土・日・祝11:00～20:00
定休日：無休
席数：52
カード：可
予約：不可　
予算：972円～　
アクセス：東京メトロ銀座線ほか銀座駅より徒歩5分
喫煙種別：禁煙

銀座ウエスト本店 HP

昭和元年に創業した、東京随一の老舗名曲喫茶です

「渋谷の喧騒の中、ここだけが何十年変わらぬ時を刻んでいるような不思議な空間」と甲斐さんが教えてくれたのがこちら。渋谷・道玄坂に佇む「名曲喫茶ライオン」は、今から90年前に、クラシック音楽を専門に聴かせる喫茶店として創業。都内でも貴重な存在となった名曲喫茶の文化をずっと守り続けている。

甲斐さんによれば、店内で目にするのはほとんどが1人客。吹き抜け2階の店の中央に鎮座するスピーカーから流れるクラシック音楽にじっと耳を傾けているのだとか。だからこそ、ここではおしゃべりは控めにして、静かに過ごす。「青い光の下、本の中の世界に没頭できます」と話す甲斐さんのお気に入りメニュー、ホットレモネードをいただきながら、音楽鑑賞と読書をじっくりと楽しんでみたい。

どこか懐かしい味わいに心がほっと和むレモネード720円。メニューはドリンク類とアイスクリームのみ

名曲喫茶ライオン　　　　　　　　　　　　　　　
めいきょくきっさライオン

TEL：03-3461-6858
東京都渋谷区道玄坂2-19-13
営業時間：11:00～22:30（22:00LO）　
定休日：不定休
席数：110
カード：不可
予約：不可　
予算：550円～　
アクセス：JRほか渋谷駅より徒歩5分
喫煙種別：分煙

名曲喫茶ライオン HP

地下の広々とした空間にはっとさせられます

創業は1950（昭和25）年、1955年に現在の新宿中央通り沿いに移転した「新宿らんぶる」。この名喫茶も甲斐さんの行きつけの1軒で、間口の小さな入口から地下へ続く階段を降りると、はっと息をのむような空間が広がっているという。「地下1階からさらに階段が地下2階までのびています。赤いベルベットのソファが心地よく、周囲の会話はほどよく心地よいBGMに」と甲斐さん。豪華なシャンデリアなど、天井の高い店内に配された家具のほとんどが創業当時から使われているもの。昭和レトロの雰囲気に包まれて、ゆったりと過ごせる。

「近くの書店で買った本を抱えて駆け込むことが多い」という甲斐さんもよくオーダーするクリームソーダなど、昔ながらの喫茶メニューをいただきながら、ここだけの時間を。