日本が世界に誇る伝統芸能で現存する世界最古の本格的な演劇、それが「能楽」です。今回、オズモール編集部では、特別に「国立能楽堂」へ潜入。神聖な能舞台や貴重な舞台裏などを、金春流能楽師・山井綱雄先生に案内していただきました。能楽は、古来から心を癒す作用があると言われているそう。今の時代だからこそ、日本人なら知っておきたい能楽の世界に触れて、心が洗われるような感覚を感じ取って。
日本が世界に誇る能楽の魅力を体感!「国立能楽堂」の能舞台から楽屋までご案内
案内してくれたのは、山井 綱雄(やまい つなお)先生
聖徳太子の時代から約1400年の長きに渡り伝来してきた、能楽最古の流派・能楽金春流におけるシテ方金春流能楽師。5歳の初舞台から芸歴42年、重要無形文化財(総合指定)保持者。「能楽は世界最高の芸術である」との信念の下、能楽普及と「日本の心」の啓蒙に奔走している。日本国内での能楽公演、初心者のための能ワークショップ・能講演、若者への普及学校公演を多数開催。海外公演や、他ジャンル芸術家との共演・創作作品多数。能楽の新たな可能性にも挑んでいる。山井 綱雄先生公式HP
「国立能楽堂」の能舞台は、不思議な力が宿るパワースポット
能楽が演じられる能舞台は、4本の柱に支えられた屋根と、床には檜の一枚板を使用した、約5.4メートル四方の空間。室内劇なのに屋根が付いているのは、昔、お寺や神社など野外で演じられていた名残だそう。「舞台上は幽霊や神様や仏様や鬼など人間ではない存在を演じる異次元空間で、客席はこの世の世界。だから、能舞台は不思議な力が宿るパワースポットなんです」と、山井先生。さらに、観客自身の心を映し出すという大きな松が描かれた「鏡板」や、あの世とこの世を結ぶ懸け橋とも言われている「橋掛り(はしがかり)」など、それぞれの構造についての意味を知れば知るほど能楽の魅力に深く共感するはず。詳細は動画で確認を。
楽屋は緊張感を高めるための空間。「鏡の間」は能楽師にとって神聖な場所
普段なかなか見ることのできない国立能楽堂の楽屋は、20畳の和室が6部屋、計120畳もの広さがあり、すべてオープンスペースになっている。楽屋といってもだらっと横になってリラックスするわけではなく、皆な正座をしているそう。「ここで気持ちを落ち着けて舞台に臨む、その準備の場所だからです」と山井先生。次に、能楽師にとっていちばん大事な場所、幕のすぐ裏にある「鏡の間」へ。大きな三面鏡の前で能面を着けると、普段の自分とはまったく違う別の姿が映し出され、その役に没頭し役を憑依させる神聖な場所なのだとか。さらに、揚幕は若手狂言師が2本の竹を使って人力で上げ下げしていることや、般若の能面は実は女性がモデルだった、といったおもしろいお話など、続きは動画で。
能楽初心者のための素朴な疑問を聞きました!Q&Aを動画でチェック
能楽というと、「敷居が高そう」「難しくて分かりにくそう」などといったイメージが先行しがち。そこで、能楽初心者のオズモール編集部員が山井先生に素朴な疑問を聞いてみました。例えば、「ズバリ、能楽の魅力とは?」「能を観ると眠くなるってホント?」「能楽はどんな時に観るのがいいの?」など、能楽を観たことがない人や、能楽に興味はあるけど1歩が踏み出せないでいる人にとっては、知りたい情報ばかり! 基本的な知識を持つことができたら、ぜひ気軽に能楽堂に足を運んでみて。神秘的で心洗わるような非日常の空間で、日本人の心の深層世界に触れて、能楽の中にある“日本の心”を感じ取ってみて。
山井綱雄先生(金春流)出演予定の「国立能楽堂」主催公演
- イベント名
- 国立能楽堂4月普及公演≪月間特集 日本人と自然 春夏秋冬≫
- 開催場所
- 国立能楽堂
- 開催日程
- 2021年4月10日(土)13:00開演
- 能好きであった豊臣秀吉が吉野の花見で鑑賞したといわれている金春流による能「夕顔」。その後、江戸時代初めの記録以来、金春流での「夕顔」は上演が途絶えていたが、平成30年2月17日(土)第37回青葉能において、約400年ぶりに、山井綱雄先生がシテ(主役)を勤め、復曲した。本公演では同曲を再演する。
- 解説・能楽あんない
- 闇のうつつ 小田幸子(能狂言研究家)
- 狂言『呂蓮』
- 野村万作(和泉流・人間国宝)
- あらすじ
- 旅の僧の話を聞いて宿の主人は出家を希望する。親類や女房は了解ずみだというので、僧は主人の髪を剃る。名をつけてほしいと求められ、僧は蓮の字にいろはをつけて名を数々提案し、呂蓮坊と名付ける。そこに妻が来て相談せずに出家したと怒るので、主人は僧に責任を転嫁し、妻は僧を責める。
- 能 『夕顔』
- 本田光洋(金春流)
地謡で山井綱雄(金春流)ほか、アイで野村萬斎(和泉流)が出演
- あらすじ
- 旅の僧が賀茂の社、糺の森を過ぎて五条あたりを通りかかると、ある家から和歌を詠ずる声がして、1人の女が現れる。僧が土地のいわれを尋ねると、ここは『源氏物語』に書かれた某の院の旧跡で、もとは融の大臣ゆかりの河原院であると述べる。さらに、ここでの光源氏と夕顔の上とのはかない恋の顛末を語る。すると、もう女の姿はない。不思議に思った僧が土地の者から夕顔の上のことを聞き終えその跡を弔っていると、やがて夕顔の霊が現れ舞を舞い、成仏したことを喜んで明方の雲に消えていく。『源氏物語』に取材して、はかない運命を辿った夕顔その人にふさわしく清楚な印象で心地よい作品。
- 料金
- 正面 5000円
脇正面 3300円 (学生:2300円)
中正面 3000円 (学生:2100円)
※ 内容・日程に一部変更の場合もございます。予めご了承下さい。
※ 旧字等は、一部別の表記に置きかえて表示する場合があります。
※ 字幕付です(日本語・英語)
- ホームページ
- 4月普及公演 呂蓮・夕顔
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PHOTO&MOVIE/MANABU SANO、WRITING/MACHIKO MIYATA