日本発、世界初!葛飾北斎が西洋絵画の名作に与えた影響をたどる企画展「北斎とジャポニスム」

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19世紀後半に欧米で巻き起こった、日本美術ブームとも言える「ジャポニスム」現象。中でも、江戸の天才浮世絵師・葛飾北斎の作品は、多くの芸術家たちに大きな刺激を与えたそう。そこで、モネやドガなど西洋絵画の巨匠たちの作品とともに北斎作品を並べて、その影響をたどろうという世界初の展覧会が開催される。新しい試みに、思いがけない発見もありそう。

更新日:2017/06/19

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北斎の作品とその影響を受けたジャポニスムの名作がずらり!まさに“東西・夢の共演”

2017年10月21日(土)から2018年1月28日(日)まで、上野の国立西洋美術館では「北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃」が開催される。

江戸時代の鎖国政策で、19世紀半ばまで西洋との交流がなかった日本。開国して日本への関心が一気に高まった欧米では、日本独自の表現を取り入れる「ジャポニスム」が盛んに。

多くの浮世絵作品が紹介された中で、人物も風景画もすべてを一人で描くことができた北斎は、特別だったという。その存在感を示す例として、今回は西洋芸術の名作約200点と、北斎の作品も錦絵約30点をはじめ版本など計90点(出品点数は予定、会期中展示替えあり)を紹介する。

どの芸術家が、北斎の何を学んで、どんな作品を創り上げたかが比較できるように並べられる展示は、まさに“東西・夢の共演”。

富嶽三十六景+モネ

(左)クロード・モネ《陽を浴びるポプラ並木》1891年 国立西洋美術館(松方コレクション)
(右)葛飾北斎《冨嶽三十六景 東海道程ヶ谷》天保元-4年(1830-33)頃 横大判錦絵 ミネアポリス美術館 Minneapolis Institute of Art, Bequest of Richard P. Gale 74.1.237 Photo: Minneapolis Institute of Art 

例えば、クロード・モネは北斎の作品を実際に所有していたという。彼はポプラ並木の絵を何度も描いているけれど、写真の作品《陽を浴びるポプラ並木》は垂直に並ぶ木立がテンポよく配置されて、心地よいリズムが感じられる作品。この構図は、北斎の《富嶽三十六景》にある松の並木を思わせる。

北斎漫画+ドガ

(左)葛飾北斎『北斎漫画』十一編(部分)刊年不詳 浦上蒼穹堂  
(右)エドガー・ドガ《踊り子たち、ピンクと緑》1894年 吉野石膏株式会社(山形美術館寄託)

また、“踊り子の画家”と呼ばれたエドガー・ドガは、『北斎漫画』を見て人体の動きを研究したという。写真の作品《踊り子たち、ピンクと緑》(右)では、後ろ姿のバレリーナのポーズが、『北斎漫画』(写真左)に登場する人物の姿にどこか似ているように見えるのも、そのせいかも。

北斎を知ることでそれまでの常識をくつがえした作品も 西洋の画家たちの情熱と北斎の魅力を堪能して

まったく作風の違う絵でも、表現が共通することで「なるほど」と思わせる作品も。

ドガの友人でもあったメアリー・カサットは、母と子を描いた作品などで有名だけど、子どもの何気ない日常風景を切り取った絵には『北斎漫画』の影響がうかがえるものもある。例えば写真の作品《青い肘掛け椅子に座る少女》は、椅子の背にもたれて足を投げ出している姿が、何だか『北斎漫画』の布袋さんのよう。

北斎が知られる以前には、幼い女の子の絵と言えばお行儀のいいポーズが定番だったから、この絵に描かれたちょっと退屈そうな女の子は、カサットがドガとともに北斎の影響を受けたことの証しと言える。

メアリー・カサット

メアリー・カサット《青い肘掛け椅子に座る少女》1878年 ワシントン・ナショナル・ギャラリー National Gallery of Art, Washington, Collection of Mr. and Mrs. Paul Mellon, 1983.1.18 Courtesy National Gallery of Art, Washington

『北斎漫画』初編

葛飾北斎『北斎漫画』初編(部分)文化11(1814)年 浦上蒼穹堂

このほかにも、生き物のようにうねる大波で世界的に有名な版画《富嶽三十六景 神奈川沖浪裏》の大胆な構図を取り入れた彫刻作品や、北斎の描いたモチーフをそのまま工芸品の装飾に使ったものなどが、元になった北斎作品とともに展示される。

北斎を学んで新しい芸術を創り上げた、西洋の画家たち。そのエネルギーが伝わってくる傑作の数々を通して、北斎の絵師としての魅力も堪能して。

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北斎とジャポニスム HOKUSAIが西洋に与えた衝撃

国立西洋美術館 外観

TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京都台東区上野公園7-7 国立西洋美術館
アクセス:JR「上野駅」公園口より徒歩1分、京成電鉄「京成上野駅」より徒歩7分、東京メトロ銀座線、日比谷線「上野駅」より徒歩8分

会期:2017年10月21日(土)~2018年1月28日(日)
開館時間:9:30~17:30、金・土曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)
※ただし11月18日(日)は17:30まで。
休館日:月曜(ただし、1月8日は開館)、12月28日(木)~2018年1月1日(月)、1月9日(火)

観覧料(前売):一般1600円(1400円)、大学生1200円(1000円)、高校生800円(600円)中学生以下無料
※本展の観覧券で常設展示も鑑賞可

画像:(C)国立西洋美術館

NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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※記事は2017年6月19日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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