歌舞伎座5月公演!坂東楽善らの襲名口上や、悪の色気を見せる海老蔵にも注目

團菊祭五月大歌舞伎(夜の部)

九代目市川團十郎と五代目尾上菊五郎の偉業を顕彰するために昭和11年に始まり、近年の歌舞伎座では五月興行の恒例の催しとして上演されてきた一大イベント「團菊祭」。 

更新日:2017/05/17

今回観劇する夜の部では、劇中で坂東楽善らの襲名口上がある『壽曽我対面』(ことぶきそがのたいめん)、有名な大悪人・仁木弾正役を海老蔵が演じる『伽羅先代萩』(めいぼくせんだいはぎ)、三社祭で賑わう浅草を舞台に松緑が四役を踊りわける『弥生の花浅草祭』(やよいのはなあさくさまつり)の3演目を上演。豪華役者が揃う華やかな祭典で、歌舞伎の伝統と魅力を肌で感じて。

坂東楽善・彦三郎・亀蔵が襲名披露!彦三郎の長男・坂東侑汰の初舞台も微笑ましい祝祭劇

今年の「團菊祭五月大歌舞伎」は、坂東彦三郎が初代坂東楽善(らくぜん)、坂東亀三郎が九代目坂東彦三郎、坂東亀寿が三代目坂東亀蔵を襲名、さらに亀三郎の長男・坂東侑汰(ゆうた)が六代目坂東亀三郎として初舞台を踏むお祝いムードたっぷりの公演。ずらり一堂に会する役者たちのなかで、4歳の亀三郎がどんな口上や演技を披露するのか楽しみ!

團菊祭五月大歌舞伎(夜の部)

迫力、妖気、すごみ・・・!大悪党・仁木弾正役を“市川海老蔵”が熱演!

『伽羅先代萩』は、江戸時代の仙台藩伊達家のお家騒動にまつわる作品で、奥州の足利家の執権・仁木弾正(にっきだんじょう)や妹の八汐(やしお)らが、足利家の乗っ取りを企む物語。仁木弾正は、悪の色気を見せる敵役として有名な役どころ。しかし悪人といえども品格が求められる。迫力、妖気、すごみ・・・いろいろな要素がにじみ出る海老蔵の名演技に注目したい。

浅草の三社祭の山車人形をモチーフにした躍動感あふれる舞踏。松緑の『弥生の花浅草祭』

幕が開くと、まずは常盤津(ときわず=三味線音楽の一種)で山車人形が新羅(しらぎ)征伐の戦物語を踊り、次に早替わりで衣装を引き抜き漁師の姿になって清元(きよもと=三味線の伴奏)に。最後は長唄で獅子の精が朗々と唄いあげる。松緑がまったく異なる役を次々と早替わりで踊りわける姿に注目。歌舞伎初心者でも見ごたえ十分!


あらすじ

一、壽曽我対面(ことぶきそがのたいめん )

歌舞伎のさまざまな役柄が楽しめる華やかな祝祭劇
 富士の巻狩りの総奉行に任じられた工藤左衛門祐経の館では、諸大名が宴に興じている。そこへ、曽我十郎と五郎の兄弟が現れ、弟の五郎は、父の仇を討とうと工藤に迫るが、兄の十郎が諫める。それを見た工藤は兄弟に盃を授け、まずは紛失した源氏の重宝友切丸を見つけよと諭す。すると、そこへ曽我家の家臣鬼王新左衛門が友切丸を手に駆けつける。工藤は意を決し、兄弟に狩場への通行切手を与えると、再会を約束して別れるのでした。

二、伽羅先代萩(めいぼくせんだいはぎ)

伊達家の騒動を背景にした時代物の大作
〈御殿〉 御家横領を企む執権仁木弾正らの計略により、乳人の政岡は、家督を相続して命を狙われる幼い鶴千代、我が子の千松とともに御殿の奥に引き籠っている。そこへ管領山名宗全の妻栄御前が見舞いと称して、毒入り菓子を鶴千代にすすめますが、それを食べたのは千松。毒で苦しみはじめた千松に、弾正の妹である八汐は懐剣をつき立てますが、動じない政岡の様子に、栄御前は味方だと信じ込み、悪事を画策した一味の連判状を政岡に渡す。その後、一匹の鼠が現れ、連判状を奪い去ってしまう。

〈床下〉 床下で鶴千代を守る荒獅子男之助は、連判状を咥えた鼠を捕らえようとするが、実はこの鼠、仁木弾正が姿を変えたもの。弾正は妖術を用い悠々と姿を消す。

〈対決・刃傷〉 騒動は幕府の問註所で裁かれることになり、仁木弾正らと忠臣方の渡辺外記左衛門らが対決。山名宗全によって外記左衛門敗訴となるが、そこへ現れた管領細川勝元が判決を覆す。追い込まれた弾正は外記左衛門に斬りかかるが・・・。

三、四変化 弥生の花浅草祭(やよいのはなあさくさまつり )

軽快な振りが躍動感を生み出す四変化舞踊
 三社祭で賑わう浅草。山車の屋台に飾られた神功皇后と武内宿禰の人形に魂が入り、軍物語や恋の話などを語り合う。所変わって宮戸川では、二人の漁師に善玉と悪玉が取り付き、善悪の面をつけた二人は、激しくも軽快に踊る。そこへ通りかかった通人が悪玉に絡まれ、酒に酔って千鳥足で現れた野暮な国侍と二人で踊り浮かれている。場面は変わり、文殊菩薩が住む天竺の霊地の石橋。獅子の精が現れ勇ましく毛を振り、獅子の座へと直るのでした。

『團菊祭五月大歌舞伎(夜の部)』鑑賞とザ・ペニンシュラ東京のランチ

團菊祭五月大歌舞伎(夜の部)

歌舞伎座へ向かう前に、日比谷の憧れホテル「ザ・ペニンシュラ東京」の中国料理「ヘイフンテラス」へ。中国・蘇州の古典庭園をモチーフにした空間で、点心や炒め物、デザートなど、本物の広東料理5皿に酔いしれて。香港の名店の味を受け継ぐランチを堪能した後は、歌舞伎座5月公演の夜の部を観劇。坂東楽善らの襲名口上に、早替りの松緑や仁木弾正役の海老蔵も観られるので、いつもより得した気分を味わえるはず。

※記事は2017年5月17日(水)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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