ボストン美術館が誇る世界屈指のコレクションから、古今東西の傑作80点が集結

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作品数50万点という世界有数のコレクションを持つアメリカのボストン美術館。古代エジプトから現代美術までの幅広い作品群が一堂に会する展覧会が、日本では約40年ぶりに開催されるそう。長い時間をかけて集められた東西の名品の数々を、この機会に堪能しよう。

更新日:2017/05/22

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夫婦揃って日本初展示の「ルーラン夫妻」も!古代から現代美術まで名品が一堂に会する展覧会

2017年7月20日(木)から10月9日(月・祝)まで、東京・上野の東京都美術館企画展示室では「ボストン美術館の至宝展 ― 東西の名品、珠玉のコレクション」を開催する。世界に誇るコレクションの中から、選りすぐりの傑作ばかり80点を展示。

カテゴリは古代エジプト美術、中国美術、日本美術、フランス絵画、アメリカ絵画、版画・写真、現代美術と、地域も年代もバラエティ豊か。会場へ足を運べば、紀元前のツタンカーメンから21世紀の村上隆まで一度に見ることができる。

見どころのひとつとなっているのは、ファン・ゴッホの傑作でルーラン夫妻がそれぞれモデルとなっている絵が、日本で初めて夫婦揃って展示されること。

ルーラン夫妻

左:フィンセント・ファン・ゴッホ《郵便配達人ジョゼフ・ルーラン》1888年 Gift of Robert Treat Paine, 2nd, 35.1982 
右:フィンセント・ファン・ゴッホ《子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人》1889年 Bequest of John T. Spaulding, 48.548

左の作品「郵便配達人ジョゼフ・ルーラン」と右の作品「子守唄、ゆりかごを揺らすオーギュスティーヌ・ルーラン夫人」に描かれたルーラン夫妻は、パリを離れて南フランスのアルル地方に移り住んだゴッホにとって、数少ない友人だったそう。

さらに絵のモデルだけでなく、精神的にもゴッホを支えたというから、作品には感謝や親愛の情があふれているようにも感じられる。

魅力的な若き王の頭像など、古代エジプト美術のハイライトとなる収蔵品を展示

収蔵品の中でも世界に名だたる4万点を超える“古代エジプト美術コレクション”は、ボストン美術館とハーバード大学が40年をかけて行ったという共同発掘調査の成果によるものとか。

今回は、三大ピラミッドのあるギザで発掘された王の頭部をはじめ、墓に彫られたレリーフ、王の立像など、コレクションのハイライトとなる作品を展示する。

初来日となる写真の「ツタンカーメン王の頭部」は、紀元前1336~1327年頃のもの。アーモンド形の眼や魅力的な唇の形はなかなかのイケメンぶりなので、間近でしっかり見てみたい。

ツタンカーメン王頭部

《ツタンカーメン王頭部》エジプト、新王国時代、第18王朝、ツタンカーメン王治世時、紀元前1336-1327年 Museum purchase with funds donated by Miss Mary S. Ames, 11.1533

日本美術のコレクションも充実。約170年ぶりの修理後に初の里帰りを果たす作品も

中国美術や日本美術についても世界有数のコレクションがあり、特に日本美術は約10万点も所蔵されているそう。

中でも注目は、江戸時代の絵師・英一蝶(はなぶさ いっちょう)が描いた仏画「涅槃図(ねはんず)」で、今回“奇跡の里帰り”を果たすという。この絵は、明治時代にアメリカの日本美術研究家であるフェノロサが購入したもので、表具を含めると高さ4.8m、幅約2.3mという大作。この展覧会のために約170年ぶりに大規模な修理が行われ、その後初のお披露目となる。

このほかにも、喜多川歌麿の「三味線を弾く美人図」(写真)や、曾我蕭白(そが しょうはく)の代表作「風仙図屏風」など、江戸美術の名品を紹介。江戸の美術がアメリカ人コレクターに愛されていたことを、再認識できるはず。

喜多川歌麿 《三味線を弾く美人図》

喜多川歌麿 《三味線を弾く美人図》 江戸時代、1804-06年(文化1-3年)頃 Fenollosa-Weld Collection, 11.4642

印象派など、19世紀フランス絵画のコレクションには当時のボストン市民の好みが反映

ヨーロッパ美術のコレクションの中からは、19世紀のフランス絵画を紹介する。この時期は多くのボストン市民がヨーロッパへ旅をして、当時一番進歩的だったフランス美術を好んで購入したそう。そのおかげで、印象派やポスト印象派などの作品が美術館にも多く集まり、結果的に世界屈指の絵画コレクションができたとか。

会場では、印象派を代表するクロード・モネの「睡蓮」や、印象派からポスト印象派へと活動の場を広げ「近代絵画の父」と呼ばれたポール・セザンヌ「卓上の果物と水差し」(写真)などの作品が並ぶ。ドガやミレーなど有名画家の作品が多く、当時のボストン市民の好みが分かるコーナーに。

卓上の果物と水差し

ポール・セザンヌ 《卓上の果物と水差し》 1890–94年頃 Bequest of John T. Spaulding, 48.524

アメリカ国内のコレクションや現代美術の多彩な作品群も展示。東西の至宝を寄贈した収集家の情熱に感謝!

もちろんアメリカ国内の作品も多く、絵画、版画、素描、写真など多彩な作品が20万点近く所蔵されている。今回は、ボストン美術館の天井画も手がけた画家、ジョン・シンガー・サージェントの作品や、アメリカ印象派の絵画など、18世紀から20世紀半ばまでのコレクションの一部を展示する。

写真の作品はサージェントによるもので、19世紀後半から20世紀初頭にかけて、優雅で洗練された画風の肖像画家として人気を博したことがよく分かる。

ジョン・シンガー・サージェント

左:ジョン・シンガー・サージェント 《ロベール・ド・セヴリュー》1879年 The Hayden Collection - Charles Henry Hayden Fund, 22.372
右:ジョン・シンガー・サージェント 《フィスク・ウォレン夫人(グレッチェン・オズグッド)と娘レイチェル》1903年 Gift of Mrs. Rachel Warren Barton and Emily L. Ainsley Fund, 64.693

さらに、現代美術の作品も1500点以上が集まっており、今回はポップ・アートの先駆者であるアンディ・ウォーホルや日本の村上隆らの作品を展示する。

ボストン美術館の豊富なコレクションの多くは、収集家(コレクター)の寄贈・遺贈によって築かれてきたそう。彼らの美術への情熱と慈善活動のおかげで、私たちは古今東西のすばらしい美術品を堪能できるというわけ。そんなコレクターたちの活動にも感謝しながら、数々の至宝を楽しんで。

All Photographs (C) 2017 Museum of Fine Arts, Boston

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ボストン美術館の至宝展 ― 東西の名品、珠玉のコレクション

東京都美術館

TEL.03-5777-8600 (ハローダイヤル)
東京都台東区上野公園8−36 東京都美術館 企画展示室
アクセス:JR「上野駅」公園口より徒歩7分 、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」7番出口より徒歩10分、京成電鉄「京成上野駅」より徒歩10分

会期:2017年7月20日(木)~10月9日(月・祝)
開室時間:9:30~17:30
※金曜は20:00まで、7月21日(金)、28日(金)、8月4日(金)、11日(金)、18日(金)、25日(金)は21:00まで
※入室は閉室の30分前まで
休室日:月曜日、9月19日(火)  ただし、8月14日(月)、9月18日(月・祝)、10月9日(月・祝)は開室

<チケット>
観覧料(前売):一般1600円(1400円)、大学生・専門学校生1300円(1100円)、高校生800円(600円)、65歳以上1000円(800円)
<スペシャルチケット>
「ラルチザン パフューム 印象派オーデコロンセット(1.5ml ミニアトマイザー付)」1600円
「ファーバーカステル ファン・ゴッホが愛した鉛筆セット券(6本・缶ケース入り)」2100円
「展覧会オリジナルブックカバーセット券」ゴッホ2000円/モネ2000円/曾我蕭白2300円
「タイアップセット券」2000~3000円(店舗によって価格が異なる)
※「上野のれん会」加盟の上野周辺の飲食店から厳選した12店の食事券付
※販売期間:2017年4月1日(土)~10月9日(月・祝)

画像:(C)東京都美術館

NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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※記事は2017年5月22日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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