ユニークで不思議!ベルギー美術の500年にわたる「奇想」の流れをたどる展覧会

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ビールやチョコレートなど美食のイメージがあるベルギーは、独特の美術が生まれた国。15世紀頃に始まった「奇想」の流れは、21世紀の今も脈々と受け継がれているそう。その、500年におよぶユニークな美術の伝統をたどる展覧会がやってくる!

更新日:2017/05/09

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「奇想」をテーマに約120点!美術史に残る古今のスター作家30名が勢ぞろい

2017年7月15日(土)から9月24日(日)まで、渋谷のBunkamura ザ・ミュージアムでは、「ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで」を開催。中世から現代までベルギー美術の500年をたどる展覧会では、「奇想」をテーマに約120点の作品を紹介する。

今回は、現在のベルギーとその周辺地域を代表する古今のスター作家30名が勢ぞろいし、美術ファンには見逃せないラインナップとなっている。

会場は3章に分かれていて、第1章では15~16世紀のフランドル美術を中心に構成。こちらでは、「奇想」のルーツとされるボスの作風を受け継ぐボス派の画家たちやブリューゲル、さらには17世紀のバロック美術最大の巨匠ルーベンスの作品などが展示される。

トゥヌグダルスの幻視

ヒエロニムス・ボス工房 《トゥヌグダルスの幻視》 1490―1500年頃 油彩、板 ラサロ・ガルディアーノ財団 (C)Fundación Lázaro Galdiano

作品画像は日本初公開で、15世紀の終わりから16世紀にかけて奇才ヒエロニムス・ボスの工房で制作された油彩《トゥヌグダルスの幻視》。

作品のモチーフは、騎士・トゥヌグダルスが生死をさまよう間に、天使の導きによって天国と地獄を見てきたという逸話。地獄で罰を受ける人間や不思議な生き物が描かれ、現実にはあり得ない幻想的な世界が広がっている。

ボスの没後も、ボス派と呼ばれる画家たちは彼の描いた「奇想」の世界を受け継いで、豊かな想像力で表現し続けたそう。

19世紀末、科学の世紀に背を向けて想像や夢の世界に沈み込む「象徴派」が登場

19世紀末には工業化や都市化が進む中で、科学万能の時代に背を向けるアーティストたちが出現。彼らは、想像力を膨らませて夢の世界に深く沈みこみ、言葉にできない感情や目には見えない心の闇を追求した作品で「象徴派」と呼ばれるように。第2章では、これらの象徴派や、感情を作品に込める表現主義の作品を展示する。

写真の作品《オルガンに向かうアンソール》を描いたジェームズ・アンソールは、骸骨と仮面をよく描いていて、この作品の中にも骸骨や仮面を付けた人びとの姿が見える。仮面は、隠す・暴かれるといった性質を象徴するそう。

オルガンに向かうアンソール

ジェームズ・アンソール 《オルガンに向かうアンソール》 1933年油彩・キャンヴァス メナード美術館

絵画から彫刻、インスタレーションまで。さまざまな表現で受け継がれる現代の「奇想」も

そして第3章では、超現実とも訳される「シュルレアリスム」の巨匠ルネ・マグリットらに受け継がれてきた、20世紀以降の「奇想」の系譜をたどる。

現代では、絵画や版画だけでなく、彫刻やオブジェ、空間を使ったインスタレーション作品など、表現の領域もさらに多彩に広がっている。写真の左はルネ・マグリットの油彩《大家族》で、暗い空に翼を広げた鳥は明るい空のシルエットになっていて、何とも不思議。

右は、ヤン・ファーブルの作品《フランダースの戦士(絶望の戦士)》 で、タマムシでできた像が金属の甲冑を身に着けたもの。ヤン・ファーブルは「昆虫記」を書いたファーブルのひ孫で、昆虫や動物を使って、過去と現在、男と女、生と死などのイメージを広げてゆく。

大家族/フランダースの戦士

左:ルネ・マグリット《大家族》 1963年、油彩・キャンヴァス 宇都宮美術館 (C)ADAGP,Paris & JASPAR,Tokyo,2017 E2607
右:ヤン・ファーブル《フランダースの戦士(絶望の戦士)》 1996年 昆虫、甲冑、金網、木材 国立国際美術館 (C)Jan Fabre-SABAM,Bruxelles & JASPAR,Tokyo,2017 E2607 撮影:福永一夫

作品を見て行くと、ベルギー美術の自由で独創的な世界が、長い間人びとの心を捉えてきたことがよくわかるはず。幻想的で、皮肉やユーモアを秘めた「奇想」の作品にふれて、見たことのない夢を見るのも楽しそう。

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ベルギー奇想の系譜 ボスからマグリット、ヤン・ファーブルまで

東急文化村

TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル )
東京都渋谷区道玄坂2-24-1 Bunkamura ザ・ミュージアム
アクセス:JR線「渋谷駅」ハチ公口より徒歩7分、東京メトロ銀座線、京王井の頭線「渋谷駅」より徒歩7分、東急東横線・田園都市線、東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」3a出口より徒歩5分

会期:2017年7月15日(土)~9月24日(日) 
※7月18日(火)、8月22日(火)のみ休館
開館時間:10:00~18:00 毎週金・土曜日は21:00まで 
※入館はそれぞれ各閉館の30分前まで
入館料(前売・団体20名以上):一般1500円(1300円)、大学・高校生1000円(800円)、中学・小学生700円(500円)
※前売券の販売は2017年7月14日(金)まで

(画像はBunkamuraの入口)

NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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※記事は2017年5月9日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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