豪華な衣装も表現のひとつ。絢爛豪華な装束(しょうぞく)
能で目に留まるのが、装束の美しさ。能の美を代表するものだけど、初期の装束は質素なものだったという。室町時代末期から徐々に絢爛豪華になり、能が武家の式楽となった江戸時代に形式が定まり、様式的にも完成。装束のほとんどは絹製で、草花、雪や車輪などを図案化した柄や色合いなど、とても凝っていて華やか! ここでは、唐織1枚と縫箔+長絹の5領をピックアップ。
写真:能「松風」
更新日:2016/08/02
白地丁子立桶桐唐松模様単狩衣
男性の役の装束。狩衣は袷(あわせ)と単(ひとえ)の2種類があり、袷は重厚な役、単は優雅な役に用いる。
萌黄地卍唐花模様袷法被
男性の役の装束。法被は狩衣と同様に袷(あわせ)と単(ひとえ)の2種類があり、
荒武者のような強い役は袷を、公達の武者姿には単を用いる。
金紅段枝垂桜尾長鳥模様唐織
唐織(からおり)は能装束の中で最も絢爛華麗なもの。使用される生地が中国から伝
えられたと考えられていたため「唐織」と呼ばれている。女性専用の装束。
紺地紋散模様縫箔
繻子や綸子地に刺繍(縫)と摺箔(箔)で模様を表した装束。唐織と違い、男女どちらの役にも使う。
紫地竹梅若松模様長絹
紗や絽の薄物の地に金糸や色糸の縫取織で模様を表す。前身頃と後身頃は腋から下は縫い合わされていない。舞の場面や公達の武者の袷法被の代わりに使用する。