古典の魅力を新しいアプローチで国内外へ!若き日本舞踊、和楽器チーム「禮」の想いとは?

古典の魅力を新しいアプローチで国内外へ!若き日本舞踊、和楽器チーム「禮」の想いとは?

更新日:2024/06/27

古来から伝承されてきた日本の「伝統芸能」。それは日本の誇りであるとともに、敷居が高いと感じる方もいるのでは? 今、古典の魅力をまったく新しいアプローチで国内外に発信する「禮」という日本舞踊、和楽器チームがいる。劇場のほか、ホテルイベントやライブハウスでも公演をおこなう彼らは、なんと全員20代! 彼らの古典にかける熱い想いをインタビューしてきました。

画像:禮

禮のメンバーは日本舞踊・三味線・箏・笛・鳴物の演者で構成されていて、それぞれがすでにプロとして活躍している。今回は、主に舞台の企画・演出を担当する禮のリーダー的存在、日本舞踊家・藤間礼多さん(紫派藤間流)と、同じく日本舞踊家・松本幸才さん(松本流)のお2人に、結成のきっかけや活動の目的、古典の魅力などについて教えてもらった。

画像:日本舞踊家・藤間礼多さん(紫派藤間流)

幼少期から研鑽を積んだ日本舞踊、
メンバーとの共演から禮・結成に至るまで

ーーお2人が日本舞踊を志したきっかけを教えてください

藤間:祖母とスーパー歌舞伎を観に行ったときに宙乗りなどのかっこいい演出に圧倒され、これがやりたい! と家族に伝えたことがきっかけです。そこから多くの方をご紹介いただき、歌舞伎の世界でも少しばかり見習いをし、現在は市川笑三郎丈の元で勉強させていただいております。日本舞踊のほかに三味線・鼓の経験があり、それらが踊りに活きていると思います。時代劇が好きだったり、落語を聞かないと寝られなかったりと幼少期からそういった趣味を持っていましたね。

松本:私は祖母が日本舞踊の師匠(現:日本舞踊「松本流」理事 松本幸延)なので、幼少期から“お稽古”が日常でした。高校生まではピアノやテニスなどほかのこともやっていたのですが、当時から踊ることが素の自分を感じられる時間だと思っていました。お稽古場に行くと自然と気持ちが落ち着いて、癒されるんです。それから、東京藝術大学への進学を機に、本格的に日本舞踊の道に進みました。

ーー禮の結成はどのような流れだったのですか

藤間:3年前にDolce & Gabbanaのイベントで、ステージの企画・演出・出演を任せていただいたことがあり、そこで共演をしたのが禮のメンバーたちでした。

松本:私はその場にはおらず、後日礼多さんからそのステージの話を聞きました。動画で当日の様子を観たときに、古典をリスペクトしながらかっこよくアレンジをしている礼多さんの演出がとても新鮮で衝撃を受けました。一度みんなで集まろうということになり、話をするなかで古典のよさをもっと伝えていきたい、海外にも目を向けていきたいという点で意気投合し結成に至りました。

画像:日本舞踊家・松本幸才さん(松本流)

古典の魅力とその未来について考える。
伝統と革新の狭間で大切していること

ーー禮の公演は、今までにない革新的なことをされていますが、その活動にどのような想いがあるのでしょうか

松本:伝統芸能を志す方・観る方が減っているなかで、このまま古典がなくなってしまったらどうしようという不安があります。だから古典の舞台を大事にしながらも、新しいことにどんどんチャレンジして、もっと多くの方に観て・知ってもらう機会を増やしたいと思っています。

藤間:禮のメンバーは全員、幼少期から古典を十二分にやってきたので、その経験をどう将来に繋げていくかを考えるべきだと思います。先日は、通常の伝統芸能の公演では使われることがないライブハウスで演奏をしました。照明を暗く落としてかっこいい雰囲気を作り、生音の演奏が多い和楽器はライブ感がでるようにマイクで音を出したり、演奏のバックにCGを駆使した映像を流したりと新しいスタイルの公演でした。コンパクトな会場だったので、舞踊もステージ上ではなく映像の中で影絵のようにお見せしました。そのような公演だったため、いつもはいらっしゃらないような若いお客様がとても多く、僕らも驚きました。この活動の目的は公演に来てくれた方が、新しいスタイルの演目を観たときに、これが生まれた根源はなんだろうと古典に興味を持ってくれることです。後日、古典の舞台にも足を運んでくれるようになると嬉しいですね。どんなに新しいことに挑戦しても、最後は「古典」に繋げることを意識しています。

ーーお2人が感じる古典の魅力を教えてください

藤間:古典のすごさは、自分で振り付けを考えるときにいちばん痛感します。歌舞伎が特に参考になるのですが、泣いている、笑っているなどの感情表現を顔の角度や振りひとつで伝えることができるんです。研究すると見えてくる奥深さが古典の魅力だと思います。

松本:私は古典の舞台を観ることが好きですし、読んで知ることも好きです。歌詞を読んだり、題材となった資料を見ていると、当時の流行や暮らしが見えてきて面白いと思います。昔の日本人の“こころ”に触れる感覚です。特に女ごころが題材にされることが多く、恋愛事情など当時はそうだったんだ! と驚くこともあります。

画像:左/日本舞踊家・藤間礼多さん(紫派藤間流)、右/日本舞踊家・松本幸才さん(松本流)

日本の伝統芸能を伝えていくために。
結成時から変わらない、海外公演への想いとは?

ーー最後に、今後の展望を教えてください

藤間:将来的に、海外巡業をしたいと思っています。海外の方は日本の伝統芸能に大変興味を持たれていますが、演目時間が長く観続けることができない部分があり、そこは工夫をしています。新しく作る演出では、ダイナミックな映像や照明、コンセプトに合わせたお香を炊いたりと、いろんな楽しみ方ができるような要素を入れて「新たな伝統芸能エンターテイメント」という飽きさせない見せ方を意識しています。世界三大歌劇場や、ラスベガスにある360度映像に囲まれるコンサートホール“MSG Sphere(スフィア)”での公演も憧れのひとつです・・・! これから、一つひとつの公演をどんどんブラッシュアップして次に繋げていけるよう頑張ります。

松本:私も来年の目標は海外で公演をすることです。そしてもちろん古典の公演にも力を入れたい。若い方・海外の方向けに発信する新しいスタイルのものと純古典、この2つの経験を存分に積み、禮でしかできないことをもっと増やしていけたらと思います。

【インタビューで訪れたレストランはこちら】日本料理 源氏香/ロイヤルパークホテル

旬の美味が宿る和食を
日本庭園に囲まれた静寂の和空間で

水天宮前駅直結「ロイヤルパークホテル」にある和食レストラン「源氏香」。日本庭園を望む風情ある空間で、季節とともに移りゆく会席料理を堪能。素材を最大限に引き出した味わいや、繊細な見た目と彩りの美しさで和食の魅力をあらためて実感できる。個室も選べるから接待やお祝いごとにオススメ! 美酒の乾杯とともに幕を開けるワンランク上の食事を。

施設データ

レストラン名:日本料理 源氏香/ロイヤルパークホテル
住所:東京都中央区日本橋蛎殻町2-1-1 ロイヤルパークホテル5F
電話番号:03-5641-3600
アクセス:東京メトロ半蔵門線「水天宮前駅」4番出口直結。東京メトロ日比谷線「人形町駅」A1出口、都営浅草線「人形町駅」A3出口から徒歩5分
営業時間:
平日【昼】11:30~14:30(14:00LO)【夜】17:30~21:30(21:00LO)
土日祝【昼】11:30~15:00(14:30LO)【夜】17:30~21:30(21:00LO)
※連休中日の日曜日は土曜日と同様の営業時間となります
定休日:水曜日
※祝日を除く

日本舞踊、和楽器チーム「禮」

日本舞踊、和楽器チーム「禮」 主要メンバーPROFILE

日本舞踊家:藤間 礼多
紫派藤間流師範・舞踊協会会員。5歳より日本舞踊を始める。歌舞伎見習を経験した後、市川笑三郎丈に日本舞踊を師事。国立劇場等で多数の日本舞踊会に出演する。また、メゾンブランドであるDolce & Gabbanaやversaceのディナーイベントの企画・演出・出演を務める。伝統芸のイベントをプロデュースなど、幅広く活動している。
日本舞踊家:松本 幸才
松本流師範・舞踊協会会員。4歳より日本舞踊松本流理事である祖母、松本幸延に手ほどきを受ける。現在は松本流家元、松本幸四郎師、松本幸龍師に師事。国立劇場等で多数の日本舞踊会に出演する。東京藝術大学在学中には創作舞踊作品を生み出し、意欲的に活動。松本幸四郎師の振付助手を務め歌舞伎制作にも携わる。
邦楽囃子方:望月 左太助
5歳より和太鼓をはじめ、歌舞伎囃子を望月左太郎、長唄を東音味見純に師事。東京国際和太鼓コンテスト最優秀賞、日本太鼓ジュニアコンクール東京大会3年連続優勝、浄観賞、安宅賞、アカンサス音楽賞等、受賞多数。あいおい損保保険TVCM、読売巨人軍開幕戦セレモニー、平昌オリンピック等にて演奏。数多くの歌舞伎や舞踊公演に携わる。
長唄三味線方:東音 味見 優
2歳で長唄初舞台。長唄三味線を祖父東音味見亨、東音新井康子師に師事。長唄を杵屋三左衛門師に師事。東京藝術大学在学中、皇居内桃花楽堂において御前演奏。東音会賞・浄英賞・青山財団賞・同声会賞受賞。ユーロアジア国際コンクール伝統楽器部門第一位受賞。NHK邦楽番組、ラジオ、歌舞伎、舞踊会等に出演。2024年二代目杵屋三禄を襲名。
長唄三味線方:今藤 龍十郎
2歳で長唄初舞台。長唄を祖父今藤尚之、長唄三味線を父今藤長龍郎より学び、現在は長唄三味線を杵屋五吉郎師に師事。囃子を藤舎千穂師に師事。東京藝術大学在学中、長唄東音会賞、第34回市川市新人演奏家コンクール優秀賞。数多くの歌舞伎や舞踊公演に出演するほか、洋楽とのコラボ活動もしている。
箏曲演奏家:細川 喬弘
3歳より母から手ほどきを受ける。6歳より元東京芸術大学教授矢﨑明子氏、池上眞吾氏に師事。あいおい全国邦楽コンクール第9回「古典」最優秀賞、令和5年度宮城道雄記念コンクールにて最優秀賞、東京藝術大学在学中に成績優秀者に贈られる宮城賞、同声会賞など、数多くの賞を受賞。
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※記事は2024年6月27日(木)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります