『アマデウス』など数々の名作を生み出した英国の劇作家ピーター・シェーファーの傑作戯曲『ピサロ』(原題:ザ・ロイヤル・ハント・オブ・ザ・サン)。これは、身分の低いピサロがスペイン将軍に成り上がり、たった167人で“太陽を父とする”インカの王・アタワルパを生け捕りにした「インカ帝国征服」の史実に基づいて描く、壮大な歴史劇であり、人間のドラマです。
同作が1985年に「PARCO劇場」で上演された際には、山崎努さんが主演のピサロを、渡辺謙さんがインカの王・アタワルパを演じました。そして、この度、渋谷PARCO建て替えのために休館していた「PARCO劇場」(※)のオープニング・シリーズ第1弾として、来年3月から上演されるのが『ピサロ』です。今回の主演・ピサロは、35年前にアタワルパを演じた渡辺謙さんが、そしてアタワルパ役に抜擢されたのが注目の若手俳優・宮沢氷魚さん。そんな宮沢さんは、出演が決まった時の心境について、こう話します。
“渡辺謙さんと『ピサロ』でご一緒することに不思議な巡り合わせを感じています”
――まずは出演が決まった時の心境についてお聞かせください
「昨年、東出昌大さんと一緒に、パルコプロデュースの舞台『豊饒の海』に出演させていただきましたが、今回は、その時のプロデューサー・毛利(美咲)さんが声をかけてくださったんです。1つの仕事がまた次の仕事につながったということが、単純に嬉しかったですね。そこから次第に渡辺謙さんがアタワルパを演じていたということに時間差でじわじわとプレッシャーを感じるようになりました」
しかも、オファーを受けたタイミングは、渡辺謙さんの長女で女優の杏さんと共演した連続ドラマ『偽装不倫』の撮影中。その日の撮影を終えて別れてから10分後くらいに、杏さんからメールが来たそうです。
「『アタワルパやるの? 氷魚くんの雰囲気にすごくマッチしていると思う。絶対観に行くね』とおっしゃってくださって。杏さんは、謙さんがアタワルパを演じた時、公園で役作りのためにパンツ一丁で日焼けしたらしいという情報を教えてくれたり、『氷魚くんは色白だから、日焼けすると大変』と言って、日焼けした感じに見えるスプレーを探してくれたりしました(笑)。昨年は東出さんと、今年は杏さんと、来年は渡辺謙さんと『ピサロ』でご一緒することになるので、『毎年、渡辺家と共演させていただいているなあ』と不思議な巡り合わせも感じましたね」。
アタワルパという役、また『ピサロ』という舞台はとても大きなチャンス
――アタワルパという役の第一印象は?
「神様に近い美しさ」ですね。
今はイメージを膨らませつつ、舞台に立つための体力・体づくりを始めています。
以前、謙さんが演じたアタワルパに近づけるのではなく、自分なりに感じたことを1から自由に表現していきたいと、役作りを始めています。謙さんをはじめ、皆さんと一緒に新しいアタワルパを、そして『ピサロ』という舞台を作っていく大きなチャンスをいただいたと考えていますね。だから、昔の映像は絶対に観ないでおこうかな、と。35年前のピサロとアタワルパとはちがう、2020年のピサロとアタワルパがあるはずですから・・・。
“役者としても人間としても、渡辺謙さんとぶつからないと2人の存在が生かされない”
この舞台の上で、対峙することになる渡辺謙さんは、以前『豊饒の海』で宮沢さんを観た時の印象を「久しぶりに透明感のある役者が出てきたと思った」と語っている。また、「舞台の上ではまったく対等だから、胸を貸すとかいう思いはない。勝ち負けじゃないけど、舞台の上ではどっちのエネルギーが強いかだ」とおっしゃっていた、渡辺謙さん。
――そんな渡辺謙さんの言葉を伝えると・・・
生意気な言い方ですが、僕も全く同じです。この舞台は、ピサロとアタワルパがお互いの信じるもの・価値観を肯定・否定し合う繰り返しで構築されています。だから、役者としても人間としても、謙さんとぶつからないと2人の存在が生かされないと思うので、対等な気持ちで挑んでいきます。
(※)PARCO劇場があるのは、「渋谷PARCO」8Fです。「渋谷PARCO」は、この11月22日、約3年の建て替え工事を経て、グランドオープン。
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食事付きで楽しむ!壮大な物語にぐいぐい惹きこまれる伝説の舞台『ピサロ』
桃や桜の花が咲く3~4月の土曜日、まずは観劇前の腹ごしらえに恵比寿駅からすぐのスペインダイニング「タベルナ デ エスパーニャ フラガンテウーモ」へ。サラダビュッフェに始まり、選べるメイン、選べるパエリア、デザートへと続くコース料理をいただきながら、スペイン将軍ピサロの舞台へ期待を膨らませて。お腹いっぱいになったら、電車で一駅隣の渋谷駅へ移動し、駅から5分ほど歩いて渋谷PARCO8階のPARCO劇場へ。真新しい劇場で舞台『ピサロ』を観劇。渡辺謙と宮沢氷魚の存在感と演技力、心にぐいぐいくるセリフに夢中で見入ってしまうはず。男性も楽しめる舞台だから、春のデートにもおすすめ。
PROFILE
- 宮沢 氷魚(みやざわ・ひお)
- 1994年、サンフランシスコ生まれ。MEN‘S NON-NO専属モデルとしても活躍中。2017年、ドラマ『コウノドリ』で俳優デビュー。2018年、藤田貴大演出『BOAT』では初舞台にして初主演を務めた。2020年1月には初主演映画「his」の公開が控えている。
PARCO劇場オープニング・シリーズ 第1弾『ピサロ』
■あらすじ
西暦1531年 齢60を超えた粗野な成り上がりの将軍ピサロは、彼の人生の最後の遠征となるインカ征服への準備を始めた。集まった兵士は一攫千金を夢見る平民たち。そんな傭兵を含む170名を率いて、ペルー征服へと出発した。6週間をかけ森をぬけ、2週間かけてアンデスを超える過酷な行軍の末に、3千人のインディオを虐殺し、自らを太陽の子と謳うインカの王アタウルパを生け捕りにする。アタワルパを生捕りにしたピサロは、彼を釈放する代償として、莫大な黄金を要求する。そして、莫大な黄金を手にしたピサロとスペイン人たちは・・・・
- スポット名
- PARCO劇場
- 住所
- 東京都渋谷区宇田川町15-1 渋谷PARCO 8F
- 交通アクセス
- JR山手線・埼京線、京王井の頭線、東急東横線・田園都市線、東京メトロ銀座線・半蔵門線渋谷駅下車徒歩5分
- 作
- ピーター・シェーファー
- 翻訳
- 伊丹十三
- 演出
- ウィル・タケット
- 出演
- 渡辺謙
宮沢氷魚 栗原英雄 和田正人 大鶴佐助
首藤康之 小柳友 田中俊介 菊池均也
浅野雅博 亀田佳明 金井良信 下総源太朗
竹口龍茶 松井ショウキ 薄平広樹 中西良介
広島光 羽鳥翔太 加藤貴彦 萩原亮介 鶴家一仁
王下貴司 前田悟 佐藤マリン 鈴木奈菜 宝川璃緒
外山誠二 長谷川初範
- 公演日程
- 2020/3/13(金)~ 2020/4/20(月)
- 料金
- 全席指定13000円、U-25チケット6000円
※U-25チケットはチケットぴあ、「パルステ!」にて前売販売のみの取扱い
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