『人形の家 PART2』永作博美インタビュー

“誰かが求める自分” をつくっていることに疑問を感じて家出した妻が戻ってきた!あの名作のその後とは?永作博美インタビュー

更新日:2019/07/06

夫からひとりの人間として見られていないことに絶望した主人公のノラが、家族を置いて家を飛び出したところで幕を下す印象的な名作といえば、ヘンリク・イプセンによる1879年の戯曲『人形の家』。そんな物語の15年後を描く舞台『人形の家 PART2』が、2019年8月9日(金)から 9月1日(日)まで紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで上演される。そこで、主演の永作博美さんに舞台やプライベートについて聞いてきました。

『人形の家 PART2』永作博美インタビュー

名作のその後の物語を知るってワクワクします

――まず、主人公のノラ役に決まったときの感想をお聞かせください。

お話をいただいたときは、「あぁ、あの先が読めるんだ!」という感じでした。
イプセンの『人形の家』のお芝居を観たり本を読んだりされた方も、ノラが家を出てから「あの後どうなったんだろう」とか、「子どもたち大丈夫かな」「ノラはなにを考えているんだろう」とか、きっといろんな思いをめぐらせていらっしゃっただろうなと思います。
実際に『人形の家 PART2』の脚本を読ませていただいて、すごくおもしろい作品だと思いました、想像以上でした!

『人形の家 PART2』永作博美インタビュー

これは私じゃない、本当の私ってどれ?“誰かが求める自分”をつくるのをやめたノラ

――『人形の家』で、最後に家を出てしまうノラの気持ちについて、どう思われますか。

彼女は家事が嫌だとか、子どもたちとの生活が嫌だとか、そういうことは少しも思っていないだろうなと思うんです。でも、自分の居場所をつくるために、“誰かが求める自分” をつくっていることに気づいて、疑問を持ち始めたんだろうなと思います。それで、あるとき“自分をつくる”のをやめた、ということだと思います。これは私じゃない、本当の私ってどれ?という感じかなと。

――そして今回の舞台は、そこから15年後の物語。再び戻ってくるノラの気持ちが気になるところです。

たぶん、本人は戻ってきたくなかっただろうなと思いますね。帰らざるを得なくなってしまった理由があって帰ってくるのですが。
突然帰ってきたノラに、家族は戸惑いながら、なにを話していいのやら・・・というところから、物語は始まっていきます。登場人物は4人なのですが、それぞれと1対1で話し合って、想像以上に全員が自分の本当の気持ちを吐き出しています。
140年前という時代背景なのですが、今の私たちの生活や、悩み、考えていることなどが、それほど違わないんです。あと、「こんな家族、いるかも」と、ちょっとワケありの家族の一場面を見ているような感じもあるかもしれないですね(笑)。

永作さんの仕事と家庭の両立の秘訣は?

――ご自身もご家族があって、多岐にわたりお仕事もされていて、毎日お忙しいと思うのですが、両立するために、意識されていることはありますか。

ちゃんと寝る、ということですね。きちんと眠れると、リセットできるんです。いっぱい食べますし、いっぱい寝ます(笑)。

――普段、台詞を覚えるときは、どうされていますか。覚えるコツはありますか。

台詞は移動中に覚えることが多いですね。その人の生き方をイメージしながら、その世界観や空気に引っ張られながら、進めていく感じですね。台詞だけをただ覚えるだけで進めていくと、その台詞だけが尖ってくるというか。

『人形の家 PART2』永作博美インタビュー

日常の「ま、いっか」が埋まっていく!演劇鑑賞でエネルギーをもらっています

――ご自身が舞台や映画などを観に行くときは、誰かと一緒に、それともひとりで?

ひとりで行くことが好きですね。ひとりだと自由に考えられるというのか。あと、鑑賞中にストンとなにかが抜ける瞬間があって、その感覚が気持ちいいんです。

――抜ける、とは?

なんというのか、「あ、そうだ、あれはこうしよう」というのが急にひらめくというのか。どうしようかなということを決められたり、空いた隙間を埋められたりしたほうがスッキリするけれど、日常には「ま、いっか」と流してしうまうこともいっぱいあるじゃないですか。そういうところが埋まっていく感じが気持ちいいんですね。演劇だけでなく絵画でもなんでも、その作品のエネルギーなのか、なにかに触発されるのだと思うのですが、それに助けられるという感覚です。

――もし今回の『人形の家 PART2』を誰かと一緒に観るとしたら、誰と行くのがおすすめですか?

年齢や性別関係なく、どなたと一緒でも興味深く観ていただけると思います。ひとりで観たらもしかすると、「ちょっとどうしよう、誰に話せばいいのかな」となるかもしれないですね(笑)。誰かと一緒だと、「あのシーン、どうだった?」とか「あの台詞、どう思った?」と言って、あとでものすごく盛り上がると思います。みなさんには、ぜひ誰かと一緒に観ていただいて、意見を交わし合って、そして帰っていただくのがいいのかなと思います。

『人形の家 PART2』永作博美インタビュー

人間関係の悩みを解決するヒントが見つかるかも

――まだ演劇を鑑賞したことがない方も多いと思うのですが、最後にひと言、みなさんへのメッセージをお願いします。

初心者の方にはいいんじゃないかなと思います。時代背景は残しておきたいという演出家の意図もあって、衣裳なんかはその時代に寄り添ったものですが、現代劇だと思っていただいていいですね。100分ぐらいでそう長くない戯曲ですし、難しいことはなにひとつ言っていないんです。ただ、人間が生きることの難しさは、たくさん出てくるのですが。
それぞれの登場人物が、人との間を埋めるために一生懸命話しているので、なにかヒントがもらえるかもしれないし、代わりに言ってくれてスッキリしたと感じる人もいるかもしれないです。誰でも少しぐらいは人間関係の悩みはあると思うので、そういう意味では少し発見はあるかもしれませんね。

――すごく楽しみです。ありがとうございました。

お芝居に、その役柄に真摯に取り組む永作博美さん。周囲の人たちへの細やかな心遣いとさっぱりとしたその人柄は、爽やかで魅力にあふれている。そんな永作さんの演技をぜひ生の舞台で体感して。

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人形の家

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『人形の家 PART2』永作博美インタビュー

PROFILE

永作博美(ながさく・ひろみ)
1994年の女優デビュー以来、テレビドラマに映画、舞台作品に多数出演、多岐にわたり活躍中。第35回日本アカデミー賞最優秀助演女優賞、第54回ブルーリボン賞主演女優賞ほか数々の賞を受賞、その演技には定評がある
『人形の家 PART2』永作博美インタビュー

舞台『人形の家 PART2』

<あらすじ>
夫からひとりの人間として見られていないことへの絶望から、妻は家を飛び出すという結末を迎える『人形の家』。今作はそれから15年後、妻のノラ(永作博美)が再び家のドアを開くところからはじまる。乳母のアンネ・マリー(梅沢昌代)と再会するが、夫のトルヴァル(山崎一)は仕事で留守。アンネ・マリーはノラの帰還を喜び、トルヴァルとの和解を勧めるが、ノラが帰ってきた理由は別にあった。そこにトルヴァルが帰ってきて・・・。

スポット名
紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA
住所
東京都渋谷区千駄ヶ谷5-24-2 タカシマヤタイムズスクエア南館7F
交通アクセス
東京メトロ副都心線・都営新宿線「新宿三丁目駅」B3出口より徒歩3分、JRほか「新宿駅」東口・南口より徒歩7分
作/翻訳
ルーカス・ナス/常田景子
演出
栗山民也
出演
永作博美、山崎一、那須凜、梅沢昌代
公演日程
2019年8月9日(金)〜2019年9月1日(日)
料金
全席指定8000円、U-25チケット4500円(観劇時25歳以下対象、要身分証明書)、O-60チケット7000円(観劇時60歳以上対象、要身分証明書)
※U-25、O-60は当日指定席券引換/チケットぴあ、パルステ!にて前売販売のみの取扱い ※未就学児入場不可
ホームページ
『人形の家 PART2』HP

HAIR&MAKE/KAORU MITSUKURA(dynamic) STYLING/ERIKO SUZUKI PHOTO/MIHARU KIMURA WRITING/KAZU SASAKI

※記事は2019年7月6日(土)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります