2019年6月、東急シアターオーブにて開幕するブロードウェイミュージカル『ピピン』。2015年の来日公演ぶりに再上陸する今回は、日本人キャスト版での上演となり、主演に城田優さんを迎える。そこで、公演に先立ち開催された合同取材会で、城田さんに今の心境を伺ってきました。
ミュージカルなのにサーカス!?大技のアクロバットで魅せる衝撃作
1972年に初演された『ピピン』は、これまでにトニー賞をはじめとする数々の演劇賞を総なめにしてきた名作ミュージカル。2013年にアメリカ気鋭の演出家ダイアン・パウルスによってリバイバルされた新演出版も、同年のトニー賞ではいくつもの部門賞を受賞した。
2014年にブロードウェイを訪れた際、偶然にも『ピピン』を観劇していたという城田さん。作品の魅力を問うと、「とにかくアクロバットの要素が素晴らしい。本来ならばサーカスでしか見られないような大技の数々がミュージカルとして繰り広げられるんです。手に汗握るような演出がたくさんあって視覚的にも衝撃でした」と、本場で体感したリアルな感想を教えてくれた。
音楽にダンスも。歴史を重ねても色あせない“今感”が魅力
その魅力はアクロバットだけにとどまらず、「物語は楽しくて笑えるし、音楽も素晴らしいし、濃いキャラクターたちも魅力的。いつまでも色あせない“今感”も素晴らしいと感じます」と語ってくれた城田さんにとって、作品を彩る楽曲も重要なもの。「約50年前に初演された作品であることを感じさせないし、芝居と歌のバランスも好みです。決してクラシカルなミュージカルではないけれど、王道的な音もあるし、キャラクターによって温度感や質感が分かれている。楽曲次第で世界観が変わるところにもセンスを感じます」と続けた。
また、名作ミュージカル『シカゴ』の振付で知られるボブ・フォッシースタイルのダンスが劇中で取り入れられていることについても言及。「僕もワークショップで経験してみたのですがとても難しくて・・・。従来のダンスとは違う少し変わった動きをするのですが、ひとつのスタイルとして確立されていておもしろいなぁと思いました」と、ダンスの奥深さにも魅了されたのだそう。
本場の空気感を大切に。日本にいながらにしてブロードウェイを体感
これまで数多くの作品に出演している城田さんは、出演オファーがあった際、慎重に熟考して出演するかどうかを決めているそう。今回の決め手については、「これまで自分がやってこなかったジャンルでもありますし、ブロードウェイのプロダクションがそのまま日本にやってきて、出演者だけが日本人に変わるというレアなケースなのでおもしろいなと。日本にいながらブロードウェイバージョンの『ピピン』が観られるのは素敵なことだと感じてお引き受けしました」と理由を明かした。
本場の空気感そのままに日本上陸を果たす『ピピン』は、製作陣も海外スタッフ中心だが、城田さんにとっては大変やりやすい雰囲気なのだとか。「役者のことをいちばんに考えてくださり、しっかりとサポートしてくれます。シーンごとに大丈夫? なにか問題ある? と聞いてくれて、不安を解消するまで親身に寄り添ってくれるんです。もちろん、日本人の方々にも同じスタイルの演出家さんはいらっしゃいますが、外国の方々は特にコミュニケーションを大切にしている印象ですね」と、現場の和やかな雰囲気を伝えてくれた。
自分探しの旅に出たピピンが手に入れる“特別な人生”とは――
この物語は、自分の居場所を見失いかけている主人公・ピピンが、人生の目的を模索しながら「特別ななにか」を手に入れようとするストーリー。これについて城田さんも、「“自分探し”というテーマは誰にでも当てはまるものだと思います。僕も幼少期はスペインと日本の2つの国を行ったり来たりしながら育ったので、差別的な発言を受けたこともあるし、そのたびに“どこへ行っても自分の居場所がない”という思いを抱いてたんです」と過去の体験を打ち明ける。
しかし、そうした経験が、作中でピピンが自分の居場所を問う楽曲『コーナー・オブ・ザ・スカイ』の歌詞とマッチ。「だからこそお客様にもしっかりとメッセージを伝えられるんじゃないかな」と、城田さんも笑顔で答えた。
作品と向き合うことで生まれる新たな挑戦心
ピピンを演じることは自分にとってどんな挑戦か? との質問には、「こんなにも登場シーンからプレッシャーのかかる役はない。舞台上に初登場すると同時に『コーナー・オブ・ザ・スカイ』というビッグナンバーを歌い出すという、そのメンタルこそが僕の成長ポイントです(笑)」と茶目っ気たっぷりな返答。最後はしっかり、「テクニックを必要とする楽曲ですし、技術面においても大きなチャレンジですね」と力強い言葉を聞かせてくれた。
小さな悩みにぶつかったときや2つ以上の選択肢が現れたとき、人生の大きな岐路に立ったとき――。きっとあらゆる場面で勇気づけてくれる『ピピン』の生きざまを、ぜひその目で見守ってほしい。
【OZプランでお得に予約!】『ブロードウェイミュージカル『ピピン』のS席チケットにランチ付き
スペインの美食ランチとトニー賞に輝いた傑作ミュージカルで非日常の刺激的な1日を
まずは、まずはJR恵比寿駅東口より徒歩1分のスペイン料理レストラン「タベルナデエスパーニャフラガンテウーモ」へ。スペイン食堂をイメージした開放感あふれる空間で、乾杯スパークリングorエビス樽生の選べるドリンク付きのランチをいただいて。サラダビュッフェやタパス盛り合わせに続き、メインには選べるグリル150gも登場。美食の都・バスクの食文化を堪能したら、渋谷ヒカリエ11階にある「東急シアターオーブ」へ。トニー賞4部門を受賞した傑作ミュージカル『ピピン』を城田優主演の日本語版で鑑賞。刺激的なダンスとスリリングなサーカスアクロバットを取り入れた、新しいミュージカルエンターテインメントに心ときめいて。
PROFILE
- 城田 優(しろた ゆう)
- 1985年12月26日生まれ 東京都出身。2003年に俳優デビュー以降、ドラマ、映画、舞台など幅広いジャンルで活躍。
ミュージカル『エリザベート』では最年少でトート役を演じ、第65回文化庁芸術祭「演劇部門」新人賞を受賞後、数々の賞を受賞。2016年にはミュージカル『アップル・ツリー』で演出家デビューも果たしている。2018年秋には、ミュージカル・カバー・アルバム「a singer」を 発売し話題に。2019年6月には、ブロードウェイミュージカル『ピピン』日本語版で主演ピピン役を演じる。また2019年11月からはミュージカル『ファントム』で主演ファントム役と演出を担う。
ブロードウェイミュージカル『ピピン』日本語版公演
<あらすじ>
美しくカリスマ的な“リーディングプレーヤー”率いるアクロバットサーカス一座に誘い込まれた若き王子ピピン。人生を変える情熱に駆られる彼は、「特別な何か」を探し求める旅に出る。しかし、戦に出ても空虚な恋愛にふけっても彼の心は満たされず、旅の途中で行き倒れてしまう。そんな彼を助けたのは、未亡人のキャサリンと、彼女の息子テオ。やがて、ピピンは彼らと幸せだが単調な生活を送り始めるが、平凡な人生に落ち着くのを恐れ、その幸せをも手放してしまう。旅の最後、すべてを捨ててようやく彼が見つけた「本当の幸せ」とは・・・?
- スポット名
- 東急シアターオーブ
- 住所
- 渋谷区渋谷2-21-1 渋谷ヒカリエ11F
- 交通アクセス
- JR・東京メトロ銀座線・京王井の頭線「渋谷駅」2階連絡通路直結、東急東横線・田園都市線・東京メトロ半蔵門線・副都心線「渋谷駅」15番出口直結
- 出演
- 【Pippin役】城田優
【Leading Player役】Crystal Kay
【Charles役】今井 清隆
【Fastrada役】霧矢 大夢
【Catherine役】宮澤 エマ
【Lewis役】岡田 亮輔
【Berthe役】中尾 ミエ(Wキャスト)
【Berthe役】前田 美波里(Wキャスト)
- 公演日程
- 2019/6/10(月) ~ 2019/6/30(日)
- 料金
- P席15000、S席13000円、A席11000円、B席9000円
WRITING/YUKI HORIE