舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』が、2019年3月に紀伊國屋ホールで再演される。父親を知らずに育った三姉妹が、母親を探す旅に出かけ、家族の大切さに気づいていく・・・。2016年の初演時に読売演劇大賞・最優秀女優賞を獲得し、今回続投となる鈴木杏さんにインタビュー。作品に対する思い入れや見どころなどたっぷりとお話を聞きました。
“念願の再演です!初演とは異なる新しい家族の中で、母と三姉妹がどう絡み合っていくのか楽しみです”
――再演が決まった感想を聞かせてください。
初演のときも皆で「再演したいね」というお話をしていましたので、本当にかなった!という気持ちです。出演者4人だけの舞台で、私と田畑智子さんは続投ですが、芳根京子さんとキムラ緑子さんは新キャストとして参加されるので、どんな新しい家族になるのか、ワクワクしてます。
特に、緑子さんは、2003年にヘレン・ケラーを演じた初舞台『奇跡の人』でもお母さん役で、映画『花とアリス』でもお母さん役。そして今回もお母さん役。私の節目ごとに母親を演じてくださっている方です。芳根さんとは初共演になりますが、未知なる爆発みたいなものが見られる気がしてとても楽しみです。
“大人になって感じたのは、デコボコした人間的な感覚を、母も持ち合わせているんだな。ということ”
――物語に登場する母親“峰子”は、自由に生きて突然この世から去ってしまいます。奔放な母親“峰子”の印象は?
生きづらそうだなぁと感じました。娘への愛情はあるけれど伝え方が極端に下手。なぜ普通のお母さんとして生きることができないんだろう?って。でも「自分の決めた生き方」を潔く貫く、圧倒的な魅力を持った人だと感じます。
――鈴木さんは、ご自身のお母様に対してどのようなイメージを抱かれていますか?
大人になって強く感じるのは、母親もひとりの人間なんだなってこと。子どもの頃は、母親は母親という存在だと思っていたけど、ひとりの女性として多面的であるし、決して強いだけの人間ではないんだと感じました。誰しもが持っているデコボコとした人間的な感覚を、母も持ち合わせているんだと思います。
――もしも自分だったら、将来どんな母親になると思いますか?
うーん……。全く浮かばないです(笑)
“結婚や出産、母親になること。登場人物それぞれが抱えているものが、自分の中にもある気がします”
――現実主義だけど恋多き長女、借金を抱えた夫を愛する次女、『母』というものに恐怖を抱く三女・・・。三姉妹のうち、鈴木さんはどのタイプですか?
母親も含めて登場人物4人がそれぞれ問題を抱えています。これからどうやって結婚に踏み込むのか。とか、出産のこととか。この作品に登場する母親は、子どもを産んだあとも自分のスタンスを変えることができず、子どもたちとうまく向き合うことができないのですが、その気持ちも分かる気がします。
私は実際には長女なので、要領のいい次女を疑似体験できるのも楽しみです!
“劇場へ来て、観て、背負っているものを置いて帰っていく。そんなお手伝いができる作品です”
――最後に、読者の方へメッセージをお願いします。
10代や20代は乗り越えなければいけないことが多くて、強がらなくてはいけない場面がたくさんあるけど、30代になると“弱いところがあってもいいじゃん!”という開き直りが大事になってくる。そうやって生きている人の方がチャーミングだなと感じます。肩の力を抜いていた方が相手も受け入れてくれる・・・そんな気がします。この舞台では、4人の登場人物の生き方を通して、“これでいいんだ”という気持ちを持って帰っていただくお手伝いができると思います!お1人でもお友達同士でも、気軽に楽しみに来てください。
『母と惑星について、および自転する女たちの記録』の全席指定チケットにサンドイッチ&ケーキのランチ付き
舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』の観劇に、新宿伊勢丹のすぐ横という好立地にあるオシャレなカフェ「コーヒーラウンジレモン」のランチ付き。コーヒーの香りに包まれるくつろぎの店内で、前菜、サンドイッチ、デザート、おかわり自由のカフェのランチセットをいただいて。
PROFILE
- 鈴木杏(すずき・あん)
- 1987年生まれ、東京都出身。小学生であった1996年に子役としてデビュー。97年ドラマ『青い鳥』に出演、「ポカリスエット」、「キットカット」などのCMで話題となり注目を浴びる。テレビドラマ『Stand Up!!』『がんばっていきまっしょい』『金田一少年の事件簿』、映画『花とアリス』『頭文字D THE MOVIE』『軽蔑』などに出演。2016年の舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』では、第24回読売演劇大賞において最優秀女優賞を獲得した。
舞台『母と惑星について、および自転する女たちの記録』
■あらすじ
突然の母の死からひと月。徹底的に放任され、父親を知らずに育った三姉妹は遺骨を持ったままあてのない旅に出る。
「私には重石が三つ必要なの。」毎日のように聞かされた母の口癖が頭をめぐる。次第に蘇るそれぞれが持つ母の記憶。あの母親は自分たちにとって何であったのか。自分たちはこれからどこに向かえばいいのか・・・。
- スポット名
- 紀伊國屋ホール
- 住所
- 東京都新宿区新宿3-17-7 紀伊國屋書店新宿本店4F
- 交通アクセス
- JR・小田急線・京王線・東京メトロ丸ノ内線「新宿駅」東口より徒歩5分、東京メトロ丸ノ内線・副都心線・都営新宿線「新宿三丁目駅」B7・B8出口より徒歩5分
- 作
- 蓬莱竜太
- 演出
- 栗山民也
- 出演
- 芳根京子、鈴木杏、田畑智子、キムラ緑子
- 公演日程
- 2019/3/5(火)~26(火)
- 料金
- 8500円(全席指定・税込)U-25チケット4000円
HAIRMAKE/AYAKA KANNO STYLING/YOSHIKO OYAMA PHOTO/KAZUHITO MIURA WRITING/YUKI HORIE