若冲や応挙も夢中に!江戸時代の日本の画家たちの憧れの的、中国・明清絵画の名品を集めた展覧会
中国の明清時代(1368年~1912年)と言えば、市場経済や文化が発展して、神秘的な山水画や華麗な花鳥画などがバラエティ豊かに制作された時期。この時代の絵画は、江戸時代以降の日本で多くの画家たちにとって「憧れの的」だったとか。伊藤若冲や円山応挙といった江戸を代表する画家たちも夢中になったという、明清絵画の名品を集めた展覧会が開催中。
更新日:2017/11/06
質量ともに国内有数の静嘉堂・明清絵画コレクションを12年ぶりに一挙公開
2017年10月28日(土)から12月17日(日)まで、世田谷区の静嘉堂文庫(せいかどうぶんこ)美術館では「あこがれの明清絵画 ~日本が愛した中国絵画の名品たち~」を開催。静嘉堂の明清絵画コレクションは国内有数と言われているけれど、今回はその中から、日本の画家たちに大きな影響を与えた名品を厳選して展示する。
展覧会では、深遠な山水画をはじめ、名だたる画家たちの傑作を12年ぶりに一挙公開するのも、見どころのひとつ。写真は、清時代に活躍した余崧(よすう)の華麗な「百花図巻」。文字通り、百種類近くの草花が丁寧な筆致で描かれていて、清朝の華やかな宮廷趣味を示す作品となっている。
江戸時代に来日して美しい花鳥画で大人気となった清時代の画家・沈南蘋の代表作も
清時代の画家・沈南蘋(しんなんぴん)は1731年(享保16年)に来日して、長崎で1年10ヵ月も滞在。写実性に優れた美しい花鳥画は日本全国で大流行し、伊藤若冲や円山応挙といった江戸中期の画家たちも夢中に。写真の作品「老圃秋容図(ろうほしゅうようず)」は、その代表作。猫(中国語でmao・マオ)は70歳を意味する「耄(mao)」と音が通じるということで、長寿を意味するめでたい吉祥画題として人気だったとか。
近年の調査では、近世江戸絵画の巨匠・谷文晁一門の粉本(下絵・手本類)の中から、この作品を模写した模本が発見され、ひとつのスタイルとして普及していたことが分かったという。今回は、そんな江戸の画家たちがお手本にした作品を、直接目にすることができる絶好の機会!
偉大な先人の筆に学んだ重要文化財と、それを模写した江戸絵画の巨匠の模本を同時展示
明清時代は、日本で言うと室町時代から明治時代にわたる長い期間にあたるため、各時代の日本の画家たちに影響を与え続けていたそう。会場では、画家たちが実際に見てお手本にしていたことが分かる明清絵画と、それを模写した作品、感想などを書いた跋文(ばつぶん)なども同時に展示。資料からは、学びながら、楽しんでいた様子が分かる。
例えば17世紀の清時代に活躍した画家・藍瑛(らんえい)は、過去の偉大な画家の筆遣いに学んだ作品を多く残した人。左の重要文化財「秋景山水図」では、14世紀の元時代末期を代表する文人画家・王蒙(おうもう)の筆にならって描いたという書き込みがあるけれど、さらにこの作品には谷文晁が模写した右の「藍瑛筆 秋景山水図模本」が付いている。すばらしい技法を受け継いで行こうとする画家たちの、熱い情熱が伝わってくるよう。
個性的な書画の数々も登場。多彩な明清絵画の魅力と影響力を実感して
さらに、明時代末期に個性的な書で注目された王鐸(おうたく)や張瑞図(ちょうずいと)などの作品も特別公開される。張瑞図は書画家のなかでも、「奇想派(エキセントリック)」「変形主義」を代表する人物で、写真左の「松山図」では山々がうねるような形で画面の上のほうに伸びていく構図がユニーク。墨の濃淡や線描を使い分けて、多彩な技法で描かれた山水画は、自然の力強さを感じさせる。近年の研究では、円山応挙もこの作品を模写していたそう。
江戸時代以降の日本の画家たちを魅了してきた明清絵画の名品たち。あらためて、その魅力と影響力を実感できるはず。
「あこがれの明清絵画 ~日本が愛した中国絵画の名品たち~」の招待券を5組10名様にプレゼント
抽選で5組10名様に「あこがれの明清絵画 ~日本が愛した中国絵画の名品たち~」の招待券をプレゼント!
【応募期間】
2017年11月6日(月)10:00~11月13日(月)09:59まで
※上記期間以降の応募に関しましては抽選の対象外となります。
※当選の発表は、賞品の発送をもってかえさせていただきます。
あこがれの明清絵画 ~日本が愛した中国絵画の名品たち~
TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京都世田谷区岡本2-23-1 静嘉堂文庫美術館
アクセス:東急線「二子玉川駅」バスターミナル4番のりばから東急コーチバス「玉31・32系統」(所要時間通常8~10分。運行本数1時間に約3本)で「静嘉堂文庫」下車、徒歩5分
会期:2017年10月28日(土)~12月17日(日)
開館時間:10:00~16:30
休館日:毎週月曜
入館料:一般1000円、大高生700円、中学生以下無料
「ゲストと館長による列品解説」
開催日時:11月11日(土)11:00~、12月2日(土)11:00~、7日(木)14:00~、14日(木)14:00~
11月11日:ゲスト 塚本麿充氏(東京大学東洋文化研究所 准教授)
12月2日・7日・14日:館長 河野元昭
※画像の無断転載を禁じます。
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