約1万5000年の間に花開いた文化とその謎をめぐる壮大な「古代アンデス文明展」
南米のアンデス地域に人類が到着した紀元前13000年から、16世紀にスペイン人がインカ帝国を征服するまでの約1万5000年にわたって数々の文化が栄えたアンデス文明。その歴史の足跡をたどり、アンデス文明の本質に迫ろうという壮大な展覧会が始まる。アンデスの人々が育んだ独特の文化とは?いまだに解明されない謎とは?
更新日:2017/09/18
時代ごとに栄えた9つの文化を5つの章で展示。最新科学でたどる古代のアンデスも
2017年10月21日(土)から2018年2月18日(日)まで、上野の国立科学博物館では「古代アンデス文明展」を開催。こちらは、1994年から定期的に開催されてきたアンデス・プロジェクトのひとつであり、今回も黄金製品、ミイラや土器など、貴重な資料が並ぶ。
会場では、時代ごとに栄えた多様な9つの文化を5つの章にまとめ、さらに、アンデス文明を「身体」という視点から見た1章とともに、6つの章に分けて展示する。また、アンデスに人々が定住するようになるまでの紀元前1万3000年~紀元前3000年頃の環境を最新科学でたどる序章もあり、ぐるりと巡れば、その長い歴史が時系列で体感できることに。
写真は、200年頃から750/800年頃に栄えたモチェ文化時代の「黄金製の神像」。ペルーの北海岸で栄えたモチェ文化は、ユニークな土器と華麗な黄金製品が有名で、欧米でもこの文化にはファンが多いそう。口に牙が生えているのは、アンデス文明の神様の特徴のひとつだという。
建築技術や金属加工など、高度な文明を持つ「インカ帝国」の基礎となった文化たち
9つの文化はそれぞれに特徴があるけれど、高度な文明を持っていた「インカ帝国」の基礎となった文化も多い。例えば、ティワナク文化(紀元500年頃~1100年頃)には一枚岩でできた「太陽の門」などの高度な石造建築技術があったり、ワリ文化(紀元650年頃~1000年頃)では道路網の整備が始まったり。そして、シカン文化(紀元800年頃~1375年頃)の金属加工技術は、現在のペルーのシンボルとも言える黄金の装飾品を生み出している。
さまざまな文化や技術だけでなく、政治や経済のシステムもこの時期に起源を持つものが多いそう。ここから、アンデス最大にして最後の帝国となる「インカ帝国」が誕生したことがよくわかる。
ワリ文化の頃にできたとされる「リャマをかたどった土器」(写真)をはじめ、リャマが描かれた製品は複数ある。ラクダ科のリャマは、荷物の運搬はもちろん、毛は織物として肉は食用として、アンデスの暮らしには欠かせない家畜。現在でも人々の生活と深く関わっていて、古代アンデスと現在をつなぐモチーフに。
文字のない文化でどうやって情報を記録したのか?など、アンデスを巡る10の謎
展覧会の中では、「アンデス文明をめぐる10の謎」として、さまざまな謎に迫る試みも行われる。例えば、アンデス文明では文字が発明されなかったために、前出のモチェ文化では「神々」や「自然」など土器のモチーフでコミュニケーションをとっていたそう。16世紀にインカ帝国を征服したスペイン人たちも、高度な文明が発達していたインカで文字がないことには困惑したよう。
写真は、「キープ」と呼ばれるインカの記録技術で、色や素材の違うヒモにさまざまな種類の結び目を作ることで、多くの情報を記録できるアイテム。インカの書記官たちはこのキープに関する記録と読み取りの技術を学ぶため、3年の特訓を受けたそうで、これをもとにスペイン人たちにインカの歴史を「読んで」きかせたという。現在でも、その完全な解読はできていないというから、謎は尽きない。
古代アンデスの文化と謎を求めて、はるかなる時空の旅へ!
ほかにも、「ナスカの地上絵は何のために描かれたのか?」、「貨幣も市場もない中でどうやって経済は営まれたのか?」、エジプトよりも早い時期に「ミイラはなぜ作られたのか?」など、ワクワクするような謎をもとに、多彩な展示が行われる。
時間にして約1万5000年、空間にして南北4000km、標高差4500mという広大な地域で、ナスカ、モチェ、ティワナクなど多種多様な文化が盛衰を繰り返した古代アンデス文明。失われた文化と謎を求めて、はるかなる時空の旅に出かけてみては?
「古代アンデス文明展」招待券を5組10名様にプレゼント
【応募方法】
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【応募期間】
2017年9月18日(月)10:00~9月25日(月)09:59まで
※上記期間以降の応募に関しましては抽選の対象外となります。
【注意事項】
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古代アンデス文明展
TEL.03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京都台東区上野公園 7-20 国立科学博物館
アクセス:JR「上野駅」公園口より徒歩5分、東京メトロ銀座線・日比谷線「上野駅」より徒歩10分、京成線「京成上野駅」より「徒歩10分
会期:2017年10月21日(土)~2018年2月18日(日)
開館時間:9:00~17:00
休館日:毎週月曜、12月28日(木)~1月1日(月)、1月9日(火)
1月8日(月)、2月12日(月)は開館
観覧料(前売):一般・大学生1600円(1400円)、小・中・高校生600円(500円)、金曜・土曜限定ペア得ナイト券2000円、グッズ付チケット2000円
※「ペア得ナイト券」は金曜・土曜の17:00~20:00、最終入場は19:30、男女問わず2名同時入場のこと
※「グッズ付チケット」は前売券+グッズ(手ぬぐい or 豆皿 or キューピー)数量限定、なくなり次第販売終了
NAOKO YOSHIDA (はちどり)
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