抜群の表現力で観客を魅了!注目のピアニスト・小菅優さんインタビュー
10歳からドイツに移住、ヨーロッパを拠点に演奏活動する注目のピアニスト・小菅優さん。高度なテクニックと豊かな表現力で、ヨーロッパはじめ世界のファンを魅了し続けている。そんな中、この秋、東京オペラシティでピアノ・リサイタルを開催するという情報をキャッチ。東京に滞在中の小菅さんを直撃し、音楽のことやプライベートなことなど、いろいろ聞いてきました。クラシックを身近に感じたい、そんな人はチェックして。
Kaz.Sasaki
更新日:2017/09/19
クラシックは曲に込められたさまざまな人間の感情を共感できる身近なもの
――クラシックコンサートと聞くと、少しかしこまったイメージがあるのですが、初心者でも楽しめるコツはありますか。
クラシックのコンサートに行ったことがない方と話すと、格式が高いイメージがあるとよく言われます。でもクラシックは、意外と身近なものなんです。音楽の中に、人々の生活感というのか、誰でも共感できるような感情が表現されているんです。
たとえば、当時の人たちが曲を書いているときに感じていた恋心やときめきがあったり、落ち込んだときのつらい思いがあったり、壁にぶつかって乗り越えられた喜びがあったり。あとは、ユーモアあふれる楽しい曲にしようとか。そういう気持ちが音楽によって伝わるんものだと思うんです。
だからコンサートに行って、こういうことを考えていなくちゃいけないとか、知っていないといけないとか、そういう縛りはまったくないので、気軽に足を運んでいただいて、自由に楽しんでもらえるとうれしいです。
“集中して聴く”ことが思考を切り替えてくれてリフレッシュにもつながる
ほかのコンサートとの雰囲気の違いがあるとするなら、それは“集中して聴く”というところなのかもしれないですね。集中することによって、いつもの毎日からの気分転換になるとか、普段と違うことを考えられる機会になるとか、リフレッシュになるんじゃないでしょうか。
コンサートでは、作曲家のプロフィールや楽曲のストーリーなど、より楽しんでいただけるよう説明もしています。
30代になってすごくうれしい。いろんなことがわかってきたから
――20年以上演奏活動を続けてこられて、年代によって、ピアノに対する思いに変化などありますか。
20代の頃はまだわからないこともいっぱいあったり、ソリストということで孤独感を覚えることもあったり、いろんな葛藤がありました。
でも30代になって、だんだんネットワークも広がってきますし、アンサンブルで弾くことによって友達と一緒にいろんなことができたり、自分の体力の限界もわかってくるのでバランスの取り方がわかってきたり、ちょっと落ち着いてきたかなという感じです。
30代になって、すごくうれしかったです。失敗も含めていろんな積み重ねをしてきたことで、わかってくることもあるんですね。
耳にして「いい」と思ったものはどんな音楽でも好きです
――9歳から演奏活動を続けてこられて、ご自身の中での“音楽”というのは、やはり“クラシック”に直結していますか。
もちろん、クラシックというのが基本なのですが、ほかのジャンルの音楽もすごく好きです。ジャズドラマーのスティーブ・ガッドが好きで、よく「ブルーノート」に聴きに行きますね。一時期はヒップホップも好きでしたし、いろいろです。
たまたま耳にして「いい」と思ったものは、ジャンルに関係なく聴きます。友達がいいと教えてくれることもありますし、映画がすごく好きなので、それをきっかけに興味を持つことも多いですね。
感動を自分以外の誰かと共有できるから、ライブってすごく楽しい!
――11月のリサイタルでのポイントや、初めての人でも楽しみやすい曲などについてお教えください。
ラヴェルの「水の戯れ」は、まさしく、水が遊んでいるような、流れとか波とかを感じるような曲ですし、「イゾルデの愛の死」(ワーグナー/リスト編曲)もすごく心に訴えてくるものがあるので、初めての方にもぜひ注目して聞いていただきたいです。「イゾルデの愛の死」はピアノという枠を超越した世界を感じてもらえるんじゃないかなと思います。
パソコンやCDじゃなく、演奏を“ライブで聴く”ということは、やっぱり特別なのだと思います。そのとき、友達と一緒でもいいし、時をともにしているお客様同士でもいいし、自分以外のほかの人々と一緒に感動を共有するということが、すごく楽しいことでもあると思うんです。
■公演情報
『小菅優ピアノ・リサイタル Four Elements Vol.1 Water』
期間/2017/11/30(木) 19:00開演
場所/東京オペラシティ コンサートホール(東京都新宿区西新宿3-20-2)
料金/5000円(学生2000円)
アクセス/京王新線「初台駅」東口より徒歩5分
<プログラム>
メンデルスゾーン:「無言歌集」から「ヴェネツィアの舟歌」 第1 op.19-6/第2 op.30-6/第3 op.62-5、フォーレ:「舟歌」 第5番 嬰へ短調 op.66/第10番 イ短調 op.104-2/第11番 ト短調 op.105、ラヴェル:「水の戯れ」、ショパン: 「舟歌」嬰ヘ長調 op.60、武満徹:「雨の樹 素描」「雨の樹 素描II -オリヴィエ・メシアンの追憶に」、リスト:「巡礼の年第3年 から」エステ荘の噴水/バラード第2番、ワーグナー/リスト編:「イゾルデの愛の死」
<小菅優さんプロフィール>
9歳より演奏活動を開始、10歳でドイツに渡る。高度なテクニックと美しい音色、若々しい感性と深い楽曲理解で最も注目を浴びている若手ピアニストの1人。2000年にドイツ最大の音楽評論誌「フォノ・フォルム」より、ショパンの練習曲全曲録音に5つ星が与えられる。2005年ニューヨークのカーネギー・ホールで、翌2006年には「ザルツブルク音楽祭」でそれぞれリサイタル・デビューし、大成功を収める。第13回新日鉄音楽賞、2004年アメリカ・ワシントン賞、第8回ホテルオークラ音楽賞、第17回出光音楽賞を受賞。2014年 第64回芸術選奨音楽部門 文部科学大臣新人賞、2017年第48回サントリー音楽賞受賞。
小菅優さんのその他の公演
FFGホール(福岡)11/18(土)15:00
NASAコーポレーション TEL:092-714-2727
いずみホール(大阪)11/24(金)19:00
イズミホールチケットセンター TEL:06-6944-1188
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