日本初!ルネサンスの2大巨匠を並べた「レオナルド×ミケランジェロ展」が開催

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「万能人」と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチと、「神のごとき」と称された天才彫刻家のミケランジェロ・ブオナローティ。ルネサンスを代表するこの2人の巨匠を「素描」という点から対比する、日本で初めての展覧会が開催される。2人の作品を見比べられる貴重な機会は、美術ファンなら見逃せない!

更新日:2017/04/25

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「最も美しい」とされるレオナルドの素描も来日! 間近で描き方の違いも鮮明に

丸の内の三菱一号館美術館では、2017年6月17日(土)から9月24日(日)まで「レオナルド×ミケランジェロ展」を開催する。15世紀のイタリアで花開いたルネサンスの巨匠2人を、すべての芸術活動の基本となる「素描」という点から対比させるのは、初めての試みとか。

今回は、素描のほかに油彩画や彫刻、直筆の手紙など、日本初公開の作品を含む約65点が展示される。2大巨匠の直筆素描が同時に同じ空間に揃うのは、とても珍しいそう。

素描では、「最も美しい素描」とされるレオナルド作の《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》と、ミケランジェロ作《〈レダと白鳥〉のための頭部習作》が、間近で見比べられるのが見どころ。

少女の頭部

レオナルド・ダ・ヴィンチ 《少女の頭部/〈岩窟の聖母〉の天使のための習作》 1483-85年頃 トリノ王立図書館
(C)Torino, Biblioteca Reale

左利きのレオナルドは、左上から右下に向かって平行な線を描くハッチングが特徴的。
「レオナルドの場合は、素描する紙に黄褐色や赤色、暗青色などの地塗りを施したものもあります。本展でもご覧いただけるので、線だけでなく視覚的効果などもお楽しみいただければ」と、広報担当者さん。

一方のミケランジェロは右利きで、斜線を交差させる描き方をしているそう。同じように見える素描でも、間近で見れば身体的な特徴や描き方の違いが分かって、おもしろい。

レダ習作

ミケランジェロ・ブオナローティ 《〈レダと白鳥〉のための頭部習作》 1530年頃 カーサ・ブオナローティ
(C)Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione casa Buonarroti

失われた絵が蘇る? 弟子や追従者が模写した作品を同じテーマで対比させる試みも

2人には多くの弟子や追随者(フォロワー)が居て、オリジナル作品が失われた後に彼らが制作した作品も多いそう。今回はともに、同じテーマで描かれ、オリジナルが失われた後に追随者が制作した作品「レダと白鳥」をそれぞれ展示。

ギリシア神話「レダと白鳥」は、スパルタ王の妻であるレダが白鳥に化けた神・ゼウスに誘惑される場面を描いたもの。

ミケ レダ油彩

フランチェスコ・ブリーナ(帰属) 《 レダと白鳥(失われたミケランジェロ作品に基づく)》1575年頃 カーサ・ブオナローティ
(C)Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarrot

ミケランジェロが描いたオリジナルの下絵に基づく「レダと白鳥」は、後世の画家・ブリーナによって描かれた作品。オリジナル作品はフランスに渡った後、17世紀半ばに焼失したそう。優美な表情の女性と甘えるような白鳥の姿が、柔らかな雰囲気を感じさせる。

レオ レダ油彩

レオナルド・ダ・ヴィンチに基づく 《レダと白鳥》 1505-10年頃 ウフィツィ美術館
(C)Firenze, Gallerie degli Uffizi, Gabinetto fotografico delle Gallerie degli Uffizi

レオナルドが描いた「レダと白鳥」も現存していないものの、多くの模写が残っているために、オリジナルの絵がどんなものだったかが分かる。

写真はイタリアのウフィツィ美術館所蔵のもので、一番弟子の描いた可能性が高いそう。ここでは、レダが卵で生んだとされる2組の双子も描かれていて、この構図は本来の絵とほぼ同じだとされている。

絵画か、彫刻か? 宿命のライバルと呼ばれた2人のそれぞれの思い

1452年生まれのレオナルドはミケランジェロより23歳年上だったけれど、2人は「宿命のライバル」と言われる関係。

また、当時は「絵画」と「彫刻」について、どちらが優れた芸術家という論争もあったという。「絵画」が上だと考えるレオナルドと彫刻家としての自負が強いミケランジェロは、この点でもライバル視されていたよう。

彫刻

ミケランジェロ・ブオナローティ 《河神》 1525年頃 カーサ・ブオナローティ
(C)Associazione Culturale Metamorfosi and Fondazione Casa Buonarrot

写真は、彫刻のためにロウで制作されたミケランジェロの習作で、ギリシア神話の「河の神」がモチーフ。実はミケランジェロ自身は、「彫刻も絵画も、どちらもおろそかにしてはいけない」という見解を持っていて、「彫刻が上」だとは言っていないのだとか。

レオナルドは複数の視点を持つことで絵画や素描も「彫刻のような立体性」を表現できると考えていたようで、同じ肖像を違う角度からとらえたこの作品などは、その考えがよく分かる。

3つの像

レオナルド・ダ・ヴィンチ 《髭のある男性頭部(チェーザレ・ボルジャ?)》 1502年頃 トリノ王立図書館
(C)Torino, Biblioteca Reale

「2人の素描は『世界の学堂』と言われるほどで、後世の芸術家たちは巨匠の素描を模写することで日々腕を磨いていたのです。そんなことにも思いを馳せながら、目の前の素描と向き合っていただければと思います」(同) 

ルネサンスの時代に生きた2人の巨匠を対比させて、その描き方や考え方まで知ることができる展覧会。レオナルド派もミケランジェロ派も、それぞれの魅力と偉大な功績を、改めて実感できるかも。

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レオナルド×ミケランジェロ展

外観写真

TEL03-5777-8600(ハローダイヤル)
東京都千代田区丸の内2-6-2 三菱一号館美術館
アクセス:JR「東京駅」丸の内南口より徒歩5分、JR「有楽町駅」国際フォーラム口より徒歩6分、都営三田線「日比谷駅」B7出口より徒歩3分、東京メトロ千代田線「二重橋前駅」1番出口より徒歩3分、有楽町線「有楽町駅」より徒歩6分、丸ノ内線「東京駅」より徒歩6分

会期:2017年6月17日(土)~9月24日(日)
開館時間:10:00~18:00(祝日を除く金曜、第2水曜、会期最終週の平日は20:00まで)
休館日:月曜(ただし、祝日は開館)
チケット:前売券/一般1500円、当日券/一般1700円、高校・大学生1000円、小・中学生500円
相互割引:半券で「アルチンボルド展」[6月20日(火)~9月24日(日) 国立西洋美術館]が当日料金より100円引き
その他割引:アフター5女子割:毎月第2水曜日17:00以降に入館の場合、当日券・一般(女性のみ)1000円

NAOKO YOSHIDA (はちどり)

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※記事は2017年4月25日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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