日々ロケハンに出かけたり、個人的に旅をしたりしているOZの編集部にとっては、毎日が新しい発見や出会いに満ちた小さな旅。今回は編集部Cが、軍港の町として有名な長崎県佐世保市で、海軍気分を満喫するスポットを訪れました。
明治時代に開かれた軍港都市・佐世保へ
東京から飛行機とバスを乗り継いで約3時間半。今回は、長崎県・第2の都市である佐世保の旅をご紹介。佐世保は日本最大のテーマパーク・ハウステンボスや、世界文化遺産にも登録された黒島などがあり、九州の中でも人気の観光地です。そんな佐世保は、明治時代に鎮守府=海軍基地が置かれたことから、“軍港の町”としても広く知られています。また、日本で唯一、アメリカ海軍の母港にもなっているため、海兵さんが集うバーが軒を連ね、米海軍基地から伝わるレシピが由来の佐世保バーガーがソウルフードになっていたりと、町は異国情緒満載!
2016年に横須賀・呉・舞鶴とともに軍港都市として日本遺産に認定された佐世保。2019年は鎮守府が開庁してから130年の記念イヤーということで、海上自衛隊とアメリカ海軍の文化に触れる軍港の町さんぽに出かけてきました。
世界最強の米軍艦隊も!日米の艦船を間近に見れる軍港クルーズ
軍港都市・佐世保には、町のいたるところに海軍に関するスポットが点在していますが、軍港の日常を体感するのにぴったりなのが、佐世保港をめぐるツアー「SASEBO軍港クルーズ」。このツアーは、ガイドさんと一緒にクルーズ船に乗り込み、海上自衛隊とアメリカ海軍、造船会社の佐世保重工業の3エリアで構成される佐世保港を、60分ほどかけて見学するもの。ガイドさんが佐世保港の歴史や、停泊している艦船のスペック、海上自衛隊の訓練にまつわるエピソードを楽しく説明してくれます。海上自衛隊の艦船や、世界最強ともいわれるアメリカ海軍の第七艦隊など、間近に見る軍艦は大迫力のスケールです! クルーズ船は甲板シートと船室にわかれていますが、じっくりと見学するなら、360度ぐるりと見渡せる上甲板がおすすめです。
SASEBO軍港クルーズ
TEL.0956-22-6630(9:00~18:00/佐世保観光情報センター)
運航日/土・日・祝11:30頃発(1日1便) ※冬季運休あり
発券場所/佐世保観光情報センター(佐世保駅構内)※出発30分前までには発券を済ませてください
出発場所/佐世保港新みなとターミナル桟橋
運航ルート/佐世保港発→海上自衛隊艦船→佐世保重工業ドック・クレーン→米海軍貯油施設→海上自衛隊教育隊→米海軍弾薬庫→海上自衛隊倉島岸壁→海上保安庁→佐世保港着
所要時間/約60分
料金/大人(中学生以上)2000円、子供(小学生)1000円
予約/1カ月前より電話にて予約可能
一般立ち入り禁止エリアに潜入!海上自衛隊OBと町歩き
SASEBO軍港クルーズが佐世保鎮守府の“今”を見学できるとするなら、海上自衛隊OBのガイドによる「海軍さんの散歩道」は“昔”の姿を今に伝えてくれる町歩きツアーです。大正時代に建てられたモダンな建築の「旧海軍佐世保記念館鎮守府凱旋記念館」からスタートし、普段は入ることのできない海上自衛隊の総監部敷地や、第二次世界大戦中に運用された地下壕など、タイムスリップしたような気分が味わえる貴重なスポットをめぐります。ツアーの最後には、2017年3月に引退した“護衛艦くらま”の食堂を再現した「くらま食堂」での佐世保鎮守府カレーランチがいただけます! 海上自衛隊の隊員になったつもりで楽しみましょう。こちらのツアーは海上自衛隊の敷地に入るため、身分証のチェックが必須です。忘れずに持参してくださいね。
海軍さんの散歩道
TEL.0956-22-6630(9:00~18:00/佐世保観光情報センター)
催行日/金 9:20~
周遊ルート/旧海軍佐世保鎮守府凱旋記念館→下士官集会所跡→海軍橋→海上自衛隊佐世保史料館→海上自衛隊佐世保総監部(海兵団庁舎・渡つり橋・地下壕・正門跡・くらま食堂にてカレー昼食)→海兵団庁舎前にて解散
所要時間/約3時間30分
料金/大人3000円(ガイド料・昼食・保険含む)※ツアー参加には顔写真付公的身分証明書が必要
予約/HPより参加希望日の10日前までに要予約
金曜日はカレーの日!佐世保ゆかりの“自衛隊グルメ”を堪能
先ほどご紹介した護衛艦くらまの海軍カレー。実は、護衛艦くらまに限らず、佐世保に所属する海上自衛隊、陸上自衛隊、海上保安部、19もの艦船や部隊それぞれに秘伝のカレーレシピがあることをご存知でしょうか? 自衛隊では、訓練の最中や長い航海中に曜日感覚を取り戻すため、毎週金曜日にカレーが食べられているのだとか。佐世保市内で認定された19の飲食店で、各部隊の味を再現した19種類のカレーをいただくことができます。出汁からこだわったものや、直火焼きのスパイスを煮込んだものなど、オリジナリティあふれるカレーはどれも魅力的! 今回はパールシーリゾート内にあるレストラン・九十九島 海遊で提供中の、佐世保基地業務隊カレー1320円をいただきました。隊の特性上、独身時しか食べられないことから“幻のカレー”と呼ばれていて、ほどよい辛さがやみつきになるビーフカレーです。自衛隊グルメは2020年3月31日(火)までの限定提供なので、はしごカレーもおすすめ!
九十九島 海遊
TEL/0956-28-0655
住所/長崎県佐世保市鹿子前町1058-1
営業時間/11:00~17:30(17:00LO)
定休日/12/31・1/1
※自衛隊グルメの提供は3/31まで注文可能
ディープな外国人バー&本場仕込みの佐世保バーガーで、ネイビー気分に浸ろう
戦後にアメリカ海軍基地が置かれた佐世保は、アメリカ文化が混在するユニークさも見どころです。なかでもおすすめなのが、ネイビーたちが夜な夜な集う外国人バー。ドル支払いOK・外国さながらのキャッシュオンデリバリースタイルで、日本にいながら外国気分が味わえる、まさに佐世保ならではのスポットといえます。英語が苦手だから入るのが不安・・・という場合は、佐世保を知り尽くしたガイドが外国人バーを案内してくれる「SASEBOナイトツアー」もあるので、要チェック!
さらに、佐世保に根付くアメリカ文化として外せないのが、今やご当地グルメとしても人気が高い佐世保バーガー。アメリカ海軍から直接レシピを聞いて作ったのがはじまりといわれています。長崎和牛などの地元食材を使い、注文を受けて作り始めるのが佐世保バーガーの約束! 具材が店ごとに違うのも佐世保バーガーの特徴です。パンとマヨネーズがほんのり甘い、素朴で豪快なハンバーガーは絶品です。
SASEBOナイトツアー
TEL.0956-22-6630(9:00~18:00/佐世保観光情報センター)
催行日/金・土・日19:30~ ※最少催行人数2名。最大10名まで
所要時間/約60分
料金/大人3000円(1ドリンク付き)
※ツアー参加は成人の方に限ります
ちょっと足をのばしてトナリ町へ。おいしい海辺の町・松浦も訪れよう
佐世保からバスで約1時間の松浦は、海と山に囲まれた小さな町。その地形を活かして、魚介類やフルーツなど多彩な食材を生産していることから、“食のコンパクトシティ”と呼ばれることも。特にアジの水揚げ量は日本一で、松浦ではアジフライこそ食べるべき一品です。2019年4月には松浦市長によって“アジフライの聖地”と宣言がされたということからも本気度の高さがうかがえます。松浦市内にはアジフライが味わえるお店が29軒もあり、ふっくら肉厚でジューシーなアジフライは、形も大きさもお店によって違い、タルタル、ウスター、醤油、塩と、ソースもそれぞれ。松浦を訪れたら、朝に、昼に、夜に、多彩なアジフライを食してみてはいかがでしょうか?
アジのほかにも、松浦はトラフグや車エビの養殖も盛ん。なんと2014年~2016年は養殖トラフグの生産量が3年連続第1位! クセがなくあっさりとした味が特徴のトラフグは、てっさ(刺身)、てっちり(鍋)、から揚げでいただくことができます。産地の近くでお得にトラフグを楽しむのもいいですよ。
佐世保には今回紹介したスポットのほかにも、208もの島々が織りなす絶景が美しい九十九島(くじゅうくしま)や、全長約1kmもの巨大商店街・さるくシティ4○3アーケードなど、観光スポットがいっぱいです。佐世保市内にはバスも運行していますが、のんびりマイペースに町を巡るならレンタカーでの周遊が◎です。鎮守府開庁130周年で盛り上がる長崎県佐世保市をぜひ訪れてみて。
佐世保市までのアクセス
羽田空港より長崎空港まで飛行機で約2時間。長崎空港で西肥バスに乗り換え約1時間半、佐世保駅下車。佐世保市内の周遊はレンタカーが便利
PHOTO&WRITING/CHIHIRO SUZUKI(OZmall)