甘いフルーツの誘惑vol.1太陽の恵みいっぱいのフルーツ
雄大な北アルプスを望む須坂市は果物の名産地で、夏はブドウや桃などが旬を迎える。2017年には地元の果物で醸したクラフトビール「信州須坂フルーツエール」が誕生して話題に。夏の北信州でおいしいフルーツ旅を。
更新日:2018/06/12
須坂を代表するフルーツ
リンゴ
蜜がたっぷり入って甘みと香り、歯応えの三拍子が揃った人気品種。「信州須坂フルーツエー
ル」の原材料にも。11月~12月が食べ頃。
ナガノパープル
須坂生まれの高級ブドウ。種がなく皮ごと食べられ、皮のポリフェノールは1房でワイン1本分とか。甘く爽やかな風味。9~10月上旬が旬。
ワッサー
須坂の果実園で、桃とネクタリンの自然交配により生まれた新品種。美しい黄色の果肉はしっかりとした歯応えでジューシー。旬は7月下旬~ 8月
須坂に移住した岩城さんにその魅力を聞きました
北アルプスをはじめ、飯縄山や戸隠山など北信五岳の山々に囲まれ、豊かな千曲川が流れる須坂市。
「雨が少なく昼夜の寒暖差が大きい気候、水はけのいい扇状地という、果物の栽培に適した土地。そのため上質な果物がたくさん採れます」と話してくれたのは、ブドウ農家の岩城光好さん。結婚を機に東京のサラリーマン生活から須坂市にIターンしてブドウ農家に転職。就農して3年目の昨年、長野県内の農家が競う果物コンクールで、自身がつくったナガノパープルが農林水産大臣賞に輝いた。大粒で甘みの濃いこの品種は、須坂市の長野県果樹試験場生まれ。大粒に育つように1房を約35粒に揃える、気の遠くなるような「摘粒」の作業は、他品種よりも非常に手間がかかるが、全部ひとりで行う。
「その分、ブドウが愛おしくてたまらないんです」と、はにかみながら話す。岩城さんは新規就農者の里親制度を利用し、地元農家の後藤文夫さんのもとで2年間修業した。「後藤さんは後継者を育てたいという強い思いから、市内で最初に里親として名乗りを上げた方。その分指導は厳しく、1年間で12㎏も痩せましたが、やる気があればとことん応援してくれました。卒業後も門下生を集めて面倒を見てくれます」。こうした地元のつくり手たちの情熱があって、須坂のおいしい果物が生まれるのだ。
須坂の夏から秋にかけては、桃やブドウ、リンゴなどが実るフルーツラッシュ。フルーツ狩りをしたり、観光農園や直売所で購入して、新鮮な果実を満喫したい。
お話を伺った人
葡萄屋iwaki 岩城光好さん
大阪出身。東京の会社での営業職を経て、2014年須坂に移住。ブドウの販売は8月下旬からで、農園で直売も(事前に要連絡。TEL.080-5546-2751)
フルーツ狩り情報
サクランボ狩り/6月中旬~下旬
モモ狩り/8月中旬~9月上旬
ブドウ狩り/8月中旬~10月下旬
リンゴ狩り/9月上旬~11月下旬
※問い合わせ:須坂観光協会TEL026-215-2225
新鮮なフルーツを使ったこの1杯を味わいに
須坂名物「みそすき」と地リンゴのお酒で乾杯
古民家を改装した和食処。店主は東京や長野などのホテルで料理長を務めた大日方金好さん。和食一筋40年という熟練の味とともに、須坂の果物と名水で醸したクラフトビール「信州須坂フルーツエール」が楽しめる。その第1弾は甘酸っぱく爽やかな飲み心地のリンゴ(写真)。「食前酒のほか、しっかりした味付けの肉や魚料理にも合います」とご主人。割り下に地味噌を使ったご当地の味・みそすき御膳とも相性抜群。
旬菜古民家 ゆるり
TEL.026-248-6804
長野県須坂市本上町1385
営業時間/11:00~14:30(14:00LO) 17:00~21:30(21:00LO) 無休
予約可 カード不可
アクセス/長野電鉄須坂駅より徒歩15分
信州須坂フルーツエールのこだわりを聞きました
地元の果物を使ったメイド・イン・須坂のクラフトビール「信州須坂フルーツエール」。美しい山並みが広がる豊丘地区の小さな醸造所で2017年に誕生した。「窓から山や果樹園が見渡せる、最高の景観の中で造っています」とは、農学博士の肩書を持つ醸造場長の深井洋一さん。第1弾はリンゴ「ふじ」を使った甘口タイプで、今夏にはブドウと豊丘産カシスで造るフルーツミックスが登場予定。「香りの宝庫である泡を楽しんで」と深井さん。きめ細かい泡がプチプチとはじけ、甘い香りが鼻腔をくすぐる。味わいは果物のさっぱりとした酸味が爽やか。須坂市内の飲食店や旅館で味わえるほか、かわいい瓶入りが市内の酒店やコンビニなどで購入可。1本594円。
信州須坂フルーツブルワリー TEL.026-214-6225
信州須坂フルーツエールを気軽に飲みに行こう
メイド・イン・須坂のクラフトビール、信州須坂フルーツエールを飲んでみたいと思ったら、須坂市や長野市などの飲食店や宿泊施設で飲むことができる。瓶だけでなく生樽で提供していたり、おみやげに購入できるところもあるのでチェックしてみて。
フルーツ以外にも楽しみが! 夏限定の糀屋カフェがオープン
長野が誇る、おいしくて体にやさしい発酵食メニューが盛りだくさん
明治2(1869)年創業の味噌・醤油・糀の製造元。4代目の本藤浩史さんと奥様、娘さん夫婦の家族経営で、昔ながらの手作りの味を守り続ける。7~9月限定の「糀屋カフェ」は、大人気の塩こうじピザ864円や甘辛風味がおいしい郷土のおやつ・みそ玉くん324円、自家製甘酒のこうじラテ324円がおすすめ。今夏から鹿肉のジビエを使ったメニューも。
糀屋本藤醸造舗
TEL.026-245-0456
長野県須坂市村石町1366
営業時間/9:00~18:00 カフェ11:30 ~ 15:00(7~ 9月の土・日・祝のみ)
不定休 予約可(カフェ) カード不可
アクセス/長野電鉄須坂駅より仙仁行きバスで約10分、アートパーク入口下車徒歩3分
おいしい日本旅 甘いフルーツの誘惑
vol.2 太陽の恵みいっぱいのフルーツ
長野・須坂のおいしいフルーツをふんだんに使ったスムージは色あざやか。蔵の町として知られる須坂の町を散策するのも楽しい
PHOTO/SAORI KOJIMA WRITING/AYAKO GOTO