“たたら”里山ごはん vol.02 ふっくらとした安来どじょう鍋

“たたら”里山ごはん

かつて“たたら製鉄”で栄えた島根県東部の安来市・雲南市・奥出雲町。日本遺産「出雲國たたら風土記~鉄づくり千年が生んだ物語~」の魅力を知るとともに、おいしい旅を満喫してみよう。

更新日:2018/03/27

知っておきたい豆知識

出雲地方に今も残る田園風景。こんもりとした小山は鉄穴残丘(かんなざんきゅう)と呼ばれ、山から砂鉄を採取する際、鎮守の杜や墓地など大切なものがあった箇所を削らずに残したもの。

日本遺産とは

文化庁が2015年度に創設。文化財や自然などを保護する世界遺産とは異なり、地域の歴史的経緯や特色を通してはぐくまれた、日本の文化・伝統を伝える“ストーリー”を日本遺産として認定。現在は、全国各地の54のストーリーが日本遺産となっており、2020年までに100件程度の認定をめざしている。

出雲空港までのアクセス

羽田空港より出雲空港まで約1時間半。空港よりJR木次線宍道駅まではタクシーで約15分
※各スポットをめぐるにはレンタカーが便利

たたら製鉄とは

映画『もののけ姫』の題材にもなった、木炭を燃焼させ、砂鉄を溶かして鉄を作りだす日本古来の製鉄技法。このたたら製鉄で有名なのが、島根県東部の出雲地方。約1400年前から鉄づくりが始まり、江戸時代後半から明治にかけての最盛期には、出雲地方と周辺の地域で全国の約8割を占める鉄が生産されていたという。

日刀保たたら 提供:(公財)日本美術刀剣保存協会

たたら文化にはぐくまれた名物を味わおう

(上)ボリューム満点のワンプレートランチ1620円。グラスワインは500円~ (左下)左から、甲斐ノワール2700円、奥出雲ワイン 白、ロゼ各1890円 (右下)B1F の樽貯蔵室も見学可能

地域色豊かなワイナリーでランチ&お買い物

自社栽培したブドウで地元に根差したワインを醸造。レストランでは地産地消にこだわったランチを。旬の有機野菜のマリネなど月替わりの約10種類の料理が盛り付けられたプレートランチは、地元の味覚が少しずついろいろ味わえる。

ワイナリー奥出雲葡萄園(雲南市)

TEL.0854-42-3480
島根県雲南市木次町寺領2273-1
営業時間/10: 00~17:00 ランチタイム11: 30~14:00 カフェタイム10: 00~11: 00 14: 30~16:30
定休/火(祝の場合翌休)
予約可
カード可
アクセス/JR木次線木次駅よりタクシーで約10分

どじょうすくい踊りが有名な安来でどじょう料理を

全国2位の生産量を誇る、地元産の安来どじょうがいただける食事処。骨がやわらかく、ふっくらとした安来どじょうは、クセがなく食べやすい。柳川鍋、唐揚げ、あんかけ風の丼など、お好みのスタイルで地場の味覚を楽しんで。

安来節演芸館「どじょう亭」(安来市)

TEL.0854-28-9500
島根県安来市古川町534
営業時間/10:00~17:00(15:30LO)
定休/水(5・10・11月は第1水のみ休)
予約可
カード不可
アクセス/JR山陰本線安来駅よりタクシーで約20分

(上)あっさりとした醤油味のまるごと柳川御膳1300円 (左下)民謡・安来節の公演やどじょうすくい踊り体験ができる安来節演芸館に併設 (右下)安来節演芸館の人気者きゅっきゅちゃん

おみやげは伝統を受け継ぐこの逸品

森田醤油店(奥出雲町)

国産大豆や自社製の麹、出雲の湧き水などで仕込む醤油やぽん酢が自慢。左から、むらげの醤360㎖583円、森田 ぽ
ん酢 ゆず150㎖432円、丸大豆生しょうゆ200㎖ 540円

DATA

TEL.0854-54-1065
島根県仁多郡奥出雲町三成278

斐伊川和紙(雲南市)

かつて紙すきの里と呼ばれた雲南地区に1軒残る和紙工房。1枚ずつ手すきで作る和紙は丈夫で長持ち。色彩も美しい。小さい便せん、封筒各864円、カードケース各2160円

DATA

TEL.0854-45-3886 
島根県雲南市三刀屋町上熊谷302

白磁工房(雲南市)

父・石飛勝久さんと息子・勲さんの親子2代で作陶。面取りなどの技法が施された陶磁器は、手にしっくりとなじみ使
いやすい。マグカップ2700円、ワインカップ2160円

DATA

TEL.0854-45-4514
島根県雲南市三刀屋町乙加宮1207-1 

和鋼博物館(安来市)

鉄の歴史ミュージアム・和鋼博物館では、地域を代表する刃物メーカー・守谷宗光の刃物を販売。切れ味のよさが評判。上からペティナイフ7128円、口金付三徳包丁9396円

DATA

TEL.0854-23-2500
島根県安来市安来町1058

簸上清酒(奥出雲町)

300年以上の歴史を誇る酒蔵で作られる大吟醸酒は、日本刀の原料・玉鋼を名称にした酒らしく、濃厚で力強い味わい。豊かな香りもじっくりと堪能して。720㎖ 3348円

DATA

TEL.0854-52-1331 
島根県仁多郡奥出雲町横田1222

鍛冶工房 弘光(安来市)

たたら製鉄で栄えた江戸時代から鍛冶業を営む。伝統技術を守りながら1点ずつ作る製品は今の暮らしに合うモダンなものばかり。上から透かし燭台4104円、風鈴17496円

DATA

TEL.0854-36-0026 
島根県安来市広瀬町布部1168-8

たたら文化を感じるならこのスポットも訪れよう

たたらの繁栄を感じさせる集落を歩こう

山内とは、たたらに従事する人たちの職場や住まいなどで構成された集落のこと。当時の面影が残り、大正期までたたら製鉄が操業されていた高殿と呼ばれる施設は、映画『もののけ姫』のたたら場のモデルになったとか。天保末期頃の建物といわれる元小屋は3月末まで改修中。

菅谷たたら山内(雲南市)

TEL.0854-74-0350 
島根県雲南市吉田町吉田4210-2
営業時間/9:00 ~17:00(16:00最終入館)
休館日/月(祝の場合翌休)
入館料/300円
アクセス/JR木次線木次駅よりタクシーで約30分

出雲に製鉄の技術を授けた鉄の神様を祀る

全国1200社を数える金屋子神社の総本山。出雲に製鉄の技術を伝えたといわれる金屋子神が祀られ、たたらの守護神として古くから"金屋子さん"と呼ばれ親しまれている。圧倒されるのが、1881(明治14)年に建造された高さ9mの大鳥居。石造りでは日本一の大きさだとか。

金屋子神社(安来市)

TEL.0854-34-0700(金屋子神話民俗館)
島根県安来市広瀬町西比田
拝観自由
アクセス/JR山陰本線安来駅よりタクシーで約40分

歴史を物語る「鉄師御三家」をめぐる

田部家土蔵群と吉田の街並み(雲南市)

室町時代に鉄づくりを始めたとされる鉄山経営者・田部家を中心に、たたら製鉄の町として発展した雲南市吉田町。その繁栄を感じさせるなまこ壁の土蔵がずらりと並ぶ。

DATA

TEL.0854-40-1054(雲南市観光振興課)
島根県雲南市吉田町吉田
アクセス/JR木次線木次駅よりタクシーで約30分

櫻井家住宅(奥出雲町)

江戸時代に製鉄業を営んでいた櫻井家。1738年建築で国の重要文化財に指定される屋敷のほか、たたら製鉄の資料を展示する可部屋集成館、国指定名勝の日本庭園も必見。

DATA

TEL.0854-56-0800
島根県仁多郡奥出雲町上阿井1655
開館時間/9:00~16:30
休館日/月(祝の場合翌休)12月中旬~3月中旬休
入場料/櫻井家日本庭園400円、可部屋集成館700円、集成館・庭園共通1000円 
アクセス/JR木次線出雲三成駅よりタクシーで約20分

絲原(いとはら)記念館(奥出雲町)

たたらの経営者であった絲原家の記念館。約400年にわたって継承される、たたらの資料や美術工芸品などを展示。ほかにも、国登録有形文化財の居宅や庭園などが見どころ。

DATA

TEL.0854-52-0151
島根県仁多郡奥出雲町大谷856
開館時間/9:00~17:00(16:00最終入館) 
休館日/展示替え日休館
入館料/記念館・庭園・洗心乃路共通1000円、記念館のみ650円、庭園・洗心乃路のみ400円 
アクセス/ JR木次線出雲三成駅よりタクシーで約6分

泊まるならここ! おすすめの宿

オーベルジュ雲南(雲南市)

築100年の古民家を再利用した1日2組限定のオーベルジュ。ディナーで楽しめるのは、オーナーみずからが腕を振るう創作料理で、地元の山海の幸がふんだんに取り入れられている。今春からは3つのコースが用意され、地物のジビエがいただけるコース(1泊2食付き17700円)も。

DATA

TEL.080-5238-9935
島根県雲南市木次町湯村1318-1
定休/火
客室数/2
通常宿泊料金/1泊2食付き13700円~ 
アクセス/JR木次線木次駅より北原行きバスで約20分、湯村温泉下車徒歩2分

おいしい日本旅島根県安来市雲南市奥出雲町

おいしい日本旅“たたら”里山ごはん
vol.01 神社の境内で味わう名物の出雲そば

かつて“たたら製鉄”で栄えた島根県東部の安来市・雲南市・奥出雲町。約400年前から、そばが栽培されていたという奥出雲で名物の出雲そばを神社の境内で味わおう。

PHOTO/NORIKO YONEYAMA WRITING/MIE NAKAMURA(JAMSESSION)

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※記事は2018年3月27日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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