たのしいローカル酒場 Vol.1 味光路のローカル居酒屋へ
美しい海と山々に囲まれ、世界遺産・熊野古道の玄関口としても知られる和歌山県田辺市。城下町の面影を残す路地裏に足を踏み入れれば、地元の人も通う田辺ならではの味覚が待っている。
更新日:2017/11/14
「味光路」の魅力を甲斐みのりさんに聞きました
おいしいものにあふれる「味光路」
和歌山県田辺市といえば、豊かな自然と温暖な気候がはぐくむ食の宝庫。そんなおいしいものにあふれているのが、JR紀伊田辺駅のそばにある「味光路」だ。200×150mの範囲に割烹や居酒屋、スナックなどが200軒以上集まるこの場所は、県随一の歓楽街でありながら派手さはなく、どこかほのぼのとした雰囲気が漂う。
「田辺って、漁師さんや農家さんといった自営業の人が多いんですよ。味光路はそんな人たちが気軽に食事やお酒を楽しむ息抜きの場でもあるので、客引きはいませんし不当な請求をされることもないんです。それに、この地域特有の穏やかな人柄も関係しているかもしれませんね」。
そう話すのは、田辺観光協会発刊の旅のしおり『暮らすように旅する田辺』の監修・執筆を機に、田辺市との交流を続けている文筆家の甲斐みのりさん。温かく迎えてくれるうえにリーズナブル。初めて訪れた人も安心できるとあって、近年は旅行者にも人気なのだそう。そんな味光路での楽しみ方を甲斐さんが教えてくれた。
新鮮な旬の魚介がいっぱい
安くておいしい居酒屋へ
味光路の魚はなぜおいしい?
黒潮の恩恵を受ける田辺は昔から漁業が盛ん。さらに味光路は漁港に近いこともあり、15時の競りで落とされた獲れたて新鮮な魚が、夕方にはお店で味わえる。
魚好きが集う味光路の名物店
「紀州魚介庵 かんてき」
ガラス職人だった大将の橋本良一さんが、50歳を機に一念発起。好きな料理の腕を活かして始めた「かんてき」は、今や味光路の名店に。ウツボ料理をはじめ、イガミ(ブダイ)やマグロなど季節に応じた地魚をさまざまな調理法で提供してくれる。どれもボリューム満点なので、お腹をすかせて行こう。
<甲斐さんのおすすめポイント>
お店のご夫婦が気さくで、親戚の家に招かれたような感じ。味光路初心者にぴったりです。橙のチューハイなど和歌山ならではのお酒も飲めますよ。
DATA
TEL.0739-26-1081
和歌山県田辺市湊11-11
営業/17:00~23:00(22:00LO)
定休/水・第3木
予約可
カード不可
アクセス/JR紀伊田辺駅より徒歩3分
「かんてき」の名物メニュー
本日のお造り
冬はマグロや寒ブリ、春はつきたてのお餅のような食感が楽しめる、写真のモチガツオなどが登場。お店で独自にブレンドした醤油でいただく。モチガツオのお造り1080円
さば棒寿司
さばに振り塩をして余分な水分を抜き、サッと酢に漬けて、昆布とともに白ごま入りのシャリに巻いている。脂ののったさばと昆布の風味が好相性。1296円
うつぼ鍋
田辺名物とうたわれる前からウツボを提供していたのがこちらのお店。ウツボの身をつみれにしたお鍋は野菜もたっぷり。1人前1296円
うつぼ造り
身と皮の間にコラーゲンが豊富に含まれているウツボは、女性にとっても嬉しい美容食。皮面をサッと炙っているので食べやすい。1080円
海老団子
たたいた2種類のエビに玉ねぎと卵の黄身を混ぜて揚げた海老団子は、なにもつけずにできたてをほおばるのがおすすめ。
エビのうまみを味わって。540円
田辺に来たらやっぱりここへ!
色濃い木々の中に鎮座する熊野信仰の聖地
全国に約5000社ある熊野神社の総本宮で、熊野三山のひとつにあたる神社。神門をくぐると、桧皮葺の3棟の社殿が整然と並び、あたり一帯に清冽な空気が漂う。熊野川のそばには明治の大水害で流される前の旧社地・大斎原(おおゆのはら)があり、こちらもパワースポットとして人気がある。
熊野本宮大社
TEL.0735-42-0009
和歌山県田辺市本宮町本宮
6:00~19:00(宝物殿8:00~17:00、宝物殿9:00~16:00)
無休(宝物殿は不定休)
拝観料/宝物殿300円
アクセス/ JR紀伊田辺駅より本宮行きバスで約2時間、本宮大社前下車すぐ
熊野信仰の一翼を担う源平合戦ゆかりの地
1600年の歴史を誇る社で、熊野三山の祭神を祀ることから、熊野詣と同じ御利益があると言われている。東西一列に並ぶ社殿は、熊野本宮大社の旧社殿と同じ配置。境内には、社名の由来となった闘鶏を見守る武蔵坊弁慶と、その父と伝えられている湛増の銅像も。
鬪雞神社(とうけいじんじゃ)
TEL.0739-22-0155
和歌山県田辺市東陽1-1
境内拝観自由(社務所8:30~17:00)
無休
アクセス/JR紀伊田辺駅より徒歩6分
旅のプラン作りから宿の手配まで頼りになる
ノープランでも安心して旅行の相談ができる、着地型トラベルショップ。田辺や熊野古道を知り尽くしたスタッフが、モデルコースの提案からオプショナルツアー、宿の手配まで細やかにサポート。手荷物の一時預かりや搬送も行ってくれたりと、なにかと頼りになる存在だ。
KUMANO TRAVEL
TEL.0739-22-2180
和歌山県田辺市湊14-6
営業/9:00~18:00
無休
アクセス/ JR紀伊田辺駅よりすぐ
古きを受け継ぎ人と人とを結ぶゲストハウス
築80年の古民家を当時の趣を残してリノベーション。かつて母屋だった建物の1階に4つの客室と共用のリビング、キッチンを設け、2階はシェアハウスとして貸し出している。さらに、この冬にはゲストと地元の人が気軽に利用し、交流できるカフェバーもオープン予定。
the CUE HOSO BACK YARD HOUSE
TEL.0739-20-4297
和歌山県田辺市湊16-6
客室数/4
通常宿泊料金/ドミトリー3300円(部屋貸しは1室9000円~)
カード不可
アクセス/ JR紀伊田辺駅より徒歩3分
甲斐みのりさんと行く
熊野古道と味光路を満喫するツアーを実施!
世界遺産にも登録されている、本宮・新宮・那智の熊野三山への参詣道・熊野古道。なかでも人気の田辺から熊野本宮をめざす中辺路(なかへち)ルートを歩き、甲斐みのりさんと、今回紹介した味光路をはじめ、街なかを探訪するモニターツアーを2018年2月23日(金)~25日(日)に実施。ツアー詳細をチェックしよう!
おいしい日本旅
たのしいローカル酒場 Vol.2 個性が際立つお店めぐり
和歌山県田辺市といえば、豊かな自然と温暖な気候がはぐくむ食の宝庫。名物料理のお店からスナックまで個性が際立つお店へ。
PHOTO/SAORI KOJIMA WRITING/CHINATSU UMEZAWA