森美術館「塩田千春展:魂がふるえる」
そこにはないはずの人の気配とぬくもりを感じる必見の個展
これまで300本以上、近年では年間約20本の展覧会に参加するなど、世界から高い評価を得る塩田千春の過去最大規模の個展が開催中。1990年代の初期のドローイングやパフォーマンスの記録、赤い糸や焼けたピアノを用いた大型インスタレーションなど、新作18点を含む、全113点を展示。癌により死と向き合った経験から生まれた作品にも注目したい。
副館長兼チーフ・キュレーターの片岡真実さんはその魅力をこう表現する。「副題の『魂がふるえる』のとおり、自身の内面にある言葉にならない何かを表現し続けてきました。今回の展示では、生きることや死ぬことの意味など、根源的なテーマを鑑賞者に問いかけます。目に見えない、魂がふるえるような体験をしていただけると嬉しいです」
この夏、都内でもっとも注目される展覧会のひとつ。ぜひ足を運んで、唯一無二の体験に没入してみて。
塩田千春展:魂がふるえる
会期/6/20~10/27
料金/1800円
国立新美術館「クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime」
心臓音、衣服、写真。人間が残したものたちから匂い立つ存在の証
現代のフランスを代表する作家、クリスチャン・ボルタンスキーの約50年間の軌跡をたどる、日本で過去最大規模の回顧展。歴史や記憶、人間の存在の痕跡をテーマに、初期の映像作品から、最新作の《幽霊の廊下》まで47作品を鑑賞できる。国立新美術館の主任研究員 山田由佳子さんは、その見所をこう語ります。
「展覧会がひとつの作品になるように、との作家の思いから、時系列に並べるのではなく、展示そのものをひとつのインスタレーションとして構成しています。あえてキャプションパネルも置かず、まるで大きな作品の中に入ったような感覚で鑑賞することができます」
広い会場を活かした本展は、迷路のような空間をさまよいながら、自分の人生と向き合う特別な時間になるはず。
クリスチャン・ボルタンスキー – Lifetime
会期/6/12~9/2
料金/1600円
六本木エリアでおすすめのよりみちスポット
展覧会の前後はアーティなレストランへ
光・色・素材のグラデーションを大切にしたオーガニックな空間で、野菜を中心に、イタリアをはじめ多彩な地域の手法で仕上げる料理をカジュアルに楽しめる。ランチは、ポルチーニ茸のボロネーゼ1000円など常時5種類以上から気分に合わせて。
AVOSETA(アボセタ)
TEL/03-5843-0256
住所/東京都港区六本木6-9-1テレビ朝日1F
時間/8:00~23:00(フード22:00LO、ドリンク22:30LO)
定休日/施設に準じる
座席/72+テラス22
予算/朝280円~、昼1000円~、夜3000円~
アクセス/六本木駅より徒歩5分
空間も味わいたいベーカリーカフェ
大阪のブーランジェリー、表参道のフレンチ、代々木八幡のコーヒー店がコラボレーションし、2018年6月に誕生。天然酵母パンを使った、沖縄やんばるパイナップルとココナッツミルクのオープンサンド1300円などを、古材を使った味わいある空間かテラスでいただいて。
bricolage bread & co.(ブリコラージュ ブレッド アンド カンパニー)
TEL/レストラン03-6804-3350 ベーカリー03-6804-1980
住所/東京都港区六本木6-15-1けやき坂通り1F
時間/8:00~21:00
定休日/月(祝の場合営業)
座席/38+テラス27
予算/1000円~
アクセス/六本木駅より徒歩4分
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OZmagazine「夏のアート旅」特集7/12(金)販売スタート
こちらの美術展の記事のほか、2019年の夏に体験してほしいアート情報をまとめたオズマガジン「夏のアート旅」が発売。この夏は、4回目を迎えた瀬戸内国際芸術祭、石巻で一昨年に続いて開催されるReborn-Art Festivalなど日本各地で芸術祭が開催されるほか、東京都内でも世界的な注目アーティストの個展などが目白押しです。いつもより少し遠出をするのもよし、近場で楽しむのもよし。アートなひとときを味わいましょう。アート旅で、いい1日を。
【特集】東京はアートの宝庫!美術館・アート・美術展ガイド2019
アートや芸術に触れて、自分の感性を磨きに出かけてみませんか? 今回オズモールでは、心を豊かにしてくれるアート情報を大特集。今週末行ける都内&東京近郊の美術館・美術展情報や、1泊2日で行けるアートを巡る旅、雑誌「オズマガジン」と連動してお届けするアートなよりみちコースガイドなど、アートな休日の過ごし方をナビゲートします。休日やひとりの時間は、のんびりアートな時間を満喫しよう。
撮影/佐野学・清永洋・大崎あゆみ 取材・文/秋葉成美、寺川尚美
※オズマガジン2019年8月号「夏のアート旅」特集の記事転載
※掲載情報は、取材時と変更になっている場合もございますので、ご了承ください