“カキツバタ”と聞いてわからない人でも、美術の教科書などで一度は見たことがあるのでは? 今年もカキツバタの開花時期に合わせて、特別展「尾形光琳の燕子花図」が根津美術館で開催中。根津美術館の特別展の中でも毎年特に人気ということで、オズモール編集部Aが実際に観てきました。国宝に指定されたカキツバタの絵を観て、庭園に咲く本物のカキツバタも眺める・・・そんな贅沢な時間が過ごせます。
国宝 燕子花図屏風(右隻)尾形光琳筆 6曲1双 日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵
年に一度!金屏風に咲く鮮やかな群青色のカキツバタ
おしゃれなショップやカフェなどが立ち並ぶ街“南青山”にどんとそびえたつ根津美術館。正門から美しい竹の廊下を歩き進めると、左手に美術館の入り口が現れます。
徳川将軍家が日本を統治していた江戸時代、平和の世が続き、草花を愛でる草花ブームが到来。今回の特別展では、こうした平和な時代を寿ぐ江戸時代の絵画の数々を展示しています。
そのなかでも特に目を引いたのは、やはりメイン展示、江戸時代の画家・尾形光琳の代表作で国宝の「燕子花図屏風(かきつばたずびょうぶ)」。キラキラと光る金の屏風を背景に、鮮やかな群青と緑の岩絵の具をふんだんに使って大胆に描かれたカキツバタの華やかさに圧倒されます。カキツバタを上下ジグザグに描くことによって、屏風を立てたときに3Dのような視覚効果を生みだしているのだとか。
『伊勢物語』には、旅に出た主人公がカキツバタの名所・八橋で、都に残してきた妻を思って「カキツバタ」の5文字を織りこんだ歌を詠む場面があります。「燕子花図屏風」は、その場面を表現したのだそう。ちなみに当時、群青の岩絵の具はとても高価で、尾形光琳は裕福な人からの注文でこれを描いたと考えられているのだとか。こうした、絵画が描かれた背景やストーリーを知ってから鑑賞すると、また面白さが広がりますね。
館内では、初夏の茶席にふさわしい茶道具も展示されています。美しい丸壺型の茶入は、徳川家康の家来・青山忠成がかつて所持していたことから「青山」という銘がつけられたそう。ここ東京の青山という地名も、青山氏の下屋敷があったことが由来となっているようです。
初夏のほんのひとときしか見られないカキツバタを見に庭園へ
展示を堪能した後は、本物のカキツバタを見に庭園へ。草木が生い茂る石畳の小道(ヒールだと少し歩きずらいかも?)をくだっていったその先には、池一面にカキツバタの群生が! 残念ながらまだ開花を見ることはできませんでしたが、4月下旬から5月上旬が見頃だそうで、満開になるとそれはそれは綺麗なのだとか。尾形光琳が描いたカキツバタと本物のカキツバタを見比べてみるのも楽しそう。その日の庭園の様子が根津美術館の公式サイトなどで見られるので、開花状況を事前にチェックしておくのがおすすめ。
開花を見られなかったので、館内にあるショップで販売されている根津美術館の庭園写真集「青山緑水」で、満開のカキツバタの群生を目に焼きつけました。他にも、はがきや燕子花扇、風呂敷など、「燕子花図屏風」にちなんだおしゃれなグッズがたくさん! 自分用に買うのもよし、友人へのお土産用でも喜ばれそう。
夕暮れの庭園を眺めながら、NEZUCAFEでシャンパンを楽しもう
庭園を散策した後は、美術館に併設されているカフェ「NEZUCAFE」でほっと一休み。三方がガラスで囲まれた開放的な店内は、自然光がたくさん入り込んで落ち着いた空間に。緑豊かな庭園を眺めながらコーヒーブレイクを楽しみました。
5月8日(水)から12日(日)は、夜の19時まで開館をしていて、カフェでは17時からシャンパンも楽しめます。休日にお買い物やお食事ついでにふらりと立ち寄ってみたり、平日のアフター5に、夕暮れの庭園を眺めながらシャンパンを味わう至福のひとときを過ごしてみてはいかがですか?
イベントDATA
- イベント名
- 尾形光琳の燕子花図
- 開催場所
- 根津美術館
- 開催日程
- 2019年4月13日(土)~5月12日(日)
※休館日4月15日(月)、22日(月)、5月7日(火)
- 開催時間
- 10:00~17:00(5月8日~12日は19:00まで)
- 入館料
- 一般1300円、学生1000円、中学生以下無料
- アクセス
- 表参道駅から徒歩8分
- 問い合わせ
- 03-3400-2536
- ホームページ
- 根津美術館公式サイト
会場DATA
WRITING/AMI OYAMA(OZmall)