六本木アートタウンさんぽのススメ
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更新日:2017/08/22
大使館や外資系企業が集まり、国際都市として発展した六本木。2000年代には森美術館、国立新美術館をはじめとする大型アート施設が次々と開業。話題の展覧会が数多く行われるようになり、東京のアートシーンに欠かせない存在に。しかも、ここ数年でギャラリーが増加。よりアート色豊かな街へと進化している。そんな六本木がこの夏、アートでますます盛り上がりを見せている。森美術館と国立新美術館が、その垣根を超えて初めて共同企画した展覧会を2館同時開催。さらにフランス発の世界的ギャラリーが誕生するなど、アートの街歩きがいっそう楽しいものに。感性を揺さぶる刺激的な休日を過ごすなら、今こそ六本木へ!
カラフル&胸に刺さる作品がずらり。アジアアートの祭典へ
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ASEAN設立50周年記念 サンシャワー:東南アジアの現代美術展 1980年代から現在まで
アート界で注目度が高まる、ASEAN(東南アジア諸国連合)10カ国から86組のアーティストが参加。国立新美術館と森美術館に約190点の作品が展示され、東南アジアの現代美術展としては世界最大級の規模になるそう。複雑な歴史や社会問題を題材にした作品が多いものの、どれも躍動感あふれ、東南アジアのみなぎるパワーがひしひしと伝わってくる。
低賃金の労働環境が続く、東南アジアの産業を表す色とりどりの糸の山。鑑賞者たちは、糸の山に隠された金のネックレスを夢中になって探し出すという、シニカルながら楽しくもある体験型アート。見つけたネックレスは、作家のサイン入り箱に入れて持ち帰りできる。
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無人のバイクが並び、スピーカーからは、30年以上インドネシアで独裁主義政権を続けたスハルト元大統領の辞任のスピーチが。カラフルな旗には学生運動や軍隊などさまざまな団体の思想が記され、発展の陰にある不穏な歴史が伝わってくる。
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ずらりと並ぶ9枚のパネルの指文字は、インドネシア語の民主主義〝DEMOKRASI〞をアルファベットで示したもの。右端の縄で縛られた手は、現代でも民主主義を簡単に口することができない困難さなどが暗示されていて、考えさせられる。
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ケーブルやドローンで装飾された空間と映像によるインスタレーション。スクリーンには、作家自作のヒップホップ音楽とともに、タイの現代社会や文化現象がめまぐるしく映し出される。物語性のある短編映画のような映像に引き込まれる。
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マレーシアの女性アーティストが自国の写真家とコラボ。天井までぎっしり並べられているのは、写真家のフォトスタジオで撮影されたさまざまな人々の記念写真。未来に胸を膨らませているかのような彼らの笑顔に、国の大きな発展を感じる。
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タイトルはギリシャ神話の太陽神であるヘリオスから。壁一面を埋め尽くすのは、キリスト教の天使セラフィムと、花を象徴した2種類の陶磁器。その数は2000個にも及び、装飾的なパターンの繰り返しが、スピリチュアルな雰囲気を醸し出す。
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〝必需品〞という名に反して、日常で役立つことがなさそうな品々をあえて並べ、実際に販売も行うユーモラスな作品。焚き木、石、民芸品など、一見なんの価値がなさそうでも、自分の感性にググッと響くとっておきが見つけられるかも。
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会期/~10/23(月)
TEL/03-5777-8600(ハローダイヤル)
入館料/1000円、2館共通1800円
【森美術館】
住所/東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53F
休館日/なし
開館時間/10:00~22:00 火 ~17:00 ※最終入場は閉館30分前
アクセス/六本木駅よりすぐ
【国立新美術館】
住所/東京都港区六本木7-22-2
休館日/火
開館時間/10:00~18:00 金・土 ~21:00 ※最終入場は閉館30分前
アクセス/乃木坂駅直結
まだまだこんなにあります!六本木注目展覧会スケジュール
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国立新美術館開館10周年 ジャコメッティ展
スイスで生まれ、フランスで活躍した20世紀を代表する彫刻家、アルベルト・ジャコメッティの大回顧展。ジャコメッティといえば、線のように細長い形で表現される人物像。虚飾を取り去った人間の本質に迫ることで、あの独特な造形にたどり着いたのだとか。この展覧会では、彫刻約50点のほか、絵画、素描・版画と初期から晩年までの約80点を展示。《歩く男Ⅰ》をはじめとする、最晩年の大作3点も公開される。
国立新美術館
電話/03-5777-8600(ハローダイヤル)
住所/東京都港区六本木7-22-2
会期/~9/4(月)
休館日/火
開館時間/10:00~18:00 金・土~20:00 ※最終入場は閉館30分前
入館料/1600円
アクセス/乃木坂駅直結
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「そこまでやるか」壮大なプロジェクト展
表現方法の垣根を超えた、大胆な発想を実現するクリエイターたちが集結。テープやネットなどを素材にして、巨大迷路のような空間を作るヌーメン/フォー・ユースの新作をはじめ、スケール感のある作品に驚かされる。
21_21 DESIGN SIGHT
電話/03-3475-2121
住所/東京都港区赤坂9-7-6 東京ミッドタウン ミッドタウン・ガーデン内
会期/~10/1(日)
休館日/なし
開館時間/10:00~19:00 ※最終入館は閉館30分前
入館料/1100円
アクセス/六本木駅より徒歩5分
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開館1周年記念展 ピーナッツ・ギャング・オールスターズ!—ともだちを紹介してよ、スヌーピー。
〝ピーナッツ・ギャング〞とは『ピーナッツ』に登場するキャラクターのこと。本展では、スヌーピー、チャーリー・ブラウンなど人気のギャングたちを取り上げ、80点の原画や新作映像を紹介する。
SNOOPY MUSEUM TOKYO
電話/03-6328-1960
住所/東京都港区六本木5-6-20
会期/~9/24(日)
休館日/なし
開館時間/10:00~20:00 ※最終入館は閉館30分前
入館料/前売り1800円、当日2000円 ※日時指定の予約制。前売り券に余裕がある場合は当日券を販売
アクセス/六本木駅より徒歩7分
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国立新美術館開館10周年 安藤忠雄展―挑戦―
元プロボクサー、独学で建築を学んだという異色の経歴を持つ、日本を代表する建築家・安藤忠雄。キャリアの集大成といえるこちらでは、これまでに手がけた建築物の模型やスケッチ、ドローイングなど200点余りの設計資料が展示される。展示室の空間デザインも安藤自身が担当。
国立新美術館
電話/03-5777-8600(ハローダイヤル)
住所/東京都港区六本木7-22-2
会期/9/27(水)~12/18(木)
休館日/火
開館時間/10:00~18:00 金・土~20:00 ※最終入場は閉館30分前
入館料/1500円
アクセス/乃木坂駅直結
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THE ドラえもん展 TOKYO 2017
1970年に連載がスタートし、今もなお幅広い世代から愛されるドラえもん。そんなドラえもんが、世界で活躍するアーティストたちの手でアート作品に。参加アーティストは村上隆、蜷川実花、会田誠、鴻池朋子、梅佳代、しりあがり寿などそうそうたる顔ぶれ。どんなドラえもんに会えるか乞うご期待!
森アーツセンターギャラリー
電話/03-5777-8600(ハローダイヤル)
住所/東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー52F
会期/11/1(水)~2018/1/8(月・祝)
休館日/なし
開館時間/10:00~20:00 火~17:00 ※最終入場は閉館30分前
入館料/1800円
アクセス/六本木駅すぐ
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レアンドロ・エルリッヒ展:見ることのリアル
金沢21世紀美術館に恒久設置される≪スイミング・プール≫で知られるアルゼンチン出身のアーティスト、レアンドロ・エルリッヒ。世界最大規模となる個展には、視覚的トリックを使った不思議な空間インスタレーションなど約40点が登場。
森美術館
電話/03-5777-8600(ハローダイヤル)
住所/東京都港区六本木6-10-1六本木ヒルズ森タワー53F
会期/11/18(土)~2018/4/1(日)
休館日/なし
開館時間/10:00~22:00 火~17:00 ※最終入場は閉館30分前
入館料/1800円
アクセス/六本木駅よりすぐ
撮影/平石順一、森本絢 取材・文/ジャムセッション(中村美枝)、verb(坂井あやの)