夢中になれる冒険が待つ。アートで盛り上がる北陸へ
更新日:2017/08/28
新たなアート施設も誕生し
伝統と文化を受け継ぐ町へ
北陸新幹線の開通もあって、より身近な存在になった北陸。海や山に囲まれる大自然や新鮮な海の幸など、その魅力は盛りだくさん。そして金沢21世紀美術館の人気はもちろん、8月26日に開館を迎える富山県美術館の誕生により、ますますアートが盛り上がりを見せている。新たなアート施設が続々と生まれ、ガラスや和紙などのクラフト文化が盛んな富山、古都の風情を残し、九谷焼や金箔といった伝統工芸が息づく金沢。どちらもワクワクがいっぱい。今年、いちばんのアートな冒険の舞台・北陸へ!
今もっともNEWSな富山県美術館へ
富山県美術館
今年8月26日、ピカソ、ミロ、草間彌生とい った世界有数の作品を所蔵する富山県立近代美術館が、名前を新たに富岩運河環水公園内に移設オープン(開館までは一部開館中)。タッチパネルで約3000点のポスターを閲覧できたり、映像で体の動きを光のアートとして創り出したりと、今までにない見せ方で「人とアートとデザインをつなぐ」美術館をめざす。ガラス張りの2Fホワイエなど、富山の杉やアルミを用いた館内外や屋上からは、環水公園や立山連峰を大パノラマで眺望できるような設計に。地元で人気のベーグル専門店が手がけるカフェでひと休みできたり、近所をさんぽするような感覚で気軽にアートに触れられるのも魅力。アトリエでの参加型ワークショップなど展以外でもいつでも楽しい発見が待つ。
【INFORMATION】
8/26〜11/5
開館記念展
生命と美の物語 LIFE-楽園を求めて
昔から芸術家のテーマとして、多くの美術作品を生み出してきた「生命(=LIFE)」を、「すばらしい世界=楽園」ととらえ、国内外の作品と館蔵品を用いて8つの章で紹介。岡本太郎やグスタフ・クリムトなどの作品が登場する
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富山県美術館(とやまけんりつびじゅつかん)
【住所】富山県富山市木場町3-20
【電話】076-431-2711
【営業時間】9:30~18:00(17:30最終入館)※屋上庭園は8:00~22:00(21:30最終入館)
【定休日】水 ※祝の場合翌休、屋上庭園は12/1~3/15休館
【料金】コレクション展/一般300円 企画展/展覧会により異なる
【最寄駅】JR富山駅より徒歩20分
受け継がれる文化に出会えるアート施設が増えています
富山市
ガラス美術館
図書館も入る複合施設内に昨年8月開館したのは、「ガラスの街とやま」としてガラスの魅力を発信する美術館。御影石やアルミを組み合わせた美しい外観や、県産の杉の板やガラス、鏡が印象的な館内は、建築家・隈研吾によるもの。現代ガラス美術の巨匠デイル・チフーリの工房が制作したインスタレーション作品や、富山で活躍するガラス作家の作品などを満喫できる。富山市が30年にわたり取り組んできたガラスの世界に浸ろう。
【INFORMATION】
開催中~11/5
家住利男 削りの形
ガラス彫刻家・家住利男の展覧会。板ガラスを何層にも重ね、削り磨いて制作した作品65点を紹介する。ガラスの削るための道具も展示
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富山市ガラス美術館(とやましガラスびじゅつかん)
【住所】富山県富山市西町5-1
【電話】076-461-3100
【営業時間】9:30~18:00 金・土~20:00
【定休日】第1・3水
【料金】常設展/一般200円 企画展/展覧会により異なる
【最寄駅】市電グランドプラザ前電停より徒歩2分
よりみちが楽しくなる 富山県の4つのTOPICS
昔むかしの薬文化がユニーク
かつて「越中富山の薬売り」と呼ばれた富山の薬文化は今でも健在。1936(昭和11)年創業、製薬倉庫の面影を残す「池田屋安兵衛商店」は、江戸時代に一世を風靡した胃腸薬・反魂丹など自社製造の和漢薬や、一般流通の少ないレトロなパッケージの頓服薬が並ぶ。体にやさしい料理をいただける2階のレストラン「健康膳 薬都」も注目。
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池田屋安兵衛商店(いけだややすべえしょうてん)
【住所】富山県富山市堤町通り1-3-5
【電話】076-425-1871
【営業時間】9:00~18:00(健康膳 薬都は11:30~14:00)
【定休日】なし※健康膳 薬都は水定休
【席数】40
【最寄駅】市電西町電停より徒歩2分
中心部の裏道、小路がおもしろい
トラムの走る大通り沿いは開発が進む中、路地裏では小さな個人店が増殖中。なかでも本願寺富山別院裏手の一軒長屋には、店主同士も仲よしな素敵な店が連なる。民芸セレクト店「林ショップ」では、窯元の器やガラス作家の作品に遭遇! 子供の本の古本屋「デフォー 」では、アフリカやチェコの珍しい絵本や昔読んだ本に、「古本ブックエンド1号店」では懐かしの古雑誌に出会え、この一角だけでも素敵な発見がいっぱい。
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林ショップ(はやしショップ)
【住所】富山県富山市総曲輪2-7-12
【電話】076-424-5330
【営業時間】11:00~19:00
【定休日】火・水ほか不定休
【最寄駅】市電荒町電停またはグランドプラザ前電停より徒歩3分
デフォー 子どもの本の古本屋
【電話】090-6273-8370
【営業時間】11:00~17:00
【定休日】水
古本ブックエンド1号店(ふるほんブックエンド1ごうてん)
【電話】076-493-6150
【営業時間】12:00~19:00
【定休日】水
わざわざ訪れたい名物書店がオープン
「本を通じて人と人をつないでいきたい」と、古書の移動販売をしていた店主が、2016年7月に1924(大正13年)築の旧小杉郵便局にオープン。天井が高く窓枠も当時のままの店は、暮らしにまつわる書籍や絵本、富山のリトルプレスの新刊が並び、富山のカルチャー好きがこぞって訪れる。 ZINEのワークショップやトークライブも開催。
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ひらすま書房(ひらすましょぼう)
【住所】富山県射水市戸破6360LE TTER 1F
【電話】080-4251-0424
【営業時間】12:00~19:00(冬季は~18:00)
【定休日】月・火
【最寄駅】あいの風とやま鉄道小杉駅より徒歩10分
市内を走るトラムにのろう
1916(大正5)年から運行する路面電車(トラム)は、北陸新幹線の開通に伴い、富山駅高架下に乗り入れ、地元の人や観光客の足としてより便利に。車窓からは、雄大な立山連峰や富山城など富山の美しい景観も望める。土 ・日・祝は、水戸岡鋭治さんデザインのクラシカルな車両も運行し、旅気分がアップ。1回の乗車につき200円。
一度は訪れてみたいもはやアートな喫茶&カフェ
D&DEPARTMENT TOYAMA
ガラス製品や和紙の雑貨など富山の伝統工芸が息づくアイテムを揃えるショップや、地元の食材を使ったレストランを展開する。なかでも注目は、はっとりさちえによるレストランの壁画。チューリップやライチョウなどがモチーフに使われていて、イラストで富山の魅力を再発見できる。
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D&DEPARTMENT TOYAMA(ディアンドデパートメント トヤマ)
【住所】富山県富山市新総曲輪4-18富山県民会館1F
【電話】076-471-7791
【営業時間】10:00~19:00(18:00LO)
【定休日】山県民会館に準ずる
【席数】102(ガーデン席含む)
【最寄駅】JR富山駅より徒歩10分
喫茶チェリオ
戦時中、海軍に所属した初代店主が横浜で出会った喫茶店に惚れこんで、1935(昭和10)年に地元で創業。座面を張り替えながらも今も現役の直角座りの椅子や、レンガ色の階段を配した2階建て空間は、まさに昭和レトロ。自慢の白玉クリームあんみつ750円は、北海道産大納言を使った自家製あん、白玉、寒天入りで、地元の人に愛される味。
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喫茶チェリオ(きっさチェリオ)
【住所】富山県富山市総曲輪3-6-15-18-1
【電話】076-425-3404
【営業時間】10:00~18:00(17:30LO)
【定休日】水
【席数】70
【最寄駅】市電グランドプラザ前電停すぐ
珈琲駅 ブルートレイン
模型列車が駆け巡る名物喫茶店。クラシカルな雰囲気が漂う店内は、およそ50年前の列車の3等客室をモチーフにして、マスターの中村正陽さんみずから設計したもの。メニュー表までも時刻表仕立てで遊び心満載! マスター自作の北陸新幹線の車両を眺めながら、自慢のオレンジコーヒー600円やコーヒーチーズケーキ500円をぜひ。
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珈琲駅 ブルートレイン(こーひーえき ブルートレイン)
【住所】富山県富山市鹿島町1-9-8
【電話】076-423-3566
【営業時間】10:00~19:00
【定休日】火
【席数】28
【最寄駅】市電安野屋電停より徒歩3分
ダイニング&カフェ 呉音
建築家・隈研吾氏デザインによるカフェは、柱を設けずに木を積み重ねた独特な空間が話題に。地元の素材を使ったストウブ鍋料理を提供するこちらのいちおしは、ブランド牛・氷見牛で作る煮込みハンバーグ1080円。むき出しの木々の隙間から穏やかな光が差し込む心地いい店内で、ふんわりとしたやわらかなハンバーグの食感に舌鼓を。
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ダイニング&カフェ 呉音(くれおん)
【住所】富山県富山市呉羽町2247-3 富山市舞台芸術パーク内
【電話】076-434-5535
【営業時間】11:00~22:00(21:00LO)
【定休日】なし
【席数】42
【最寄駅】あいの風とやま鉄道呉羽駅より徒歩5分
オズマガジン「アートな町へ」特集、好評発売中!
アートは今、日本各地の自然や文化とつながって、それぞれの町をおもしろくしています。京都では世界遺産や有形文化財など、歴史的な建物と現代アートが融合し、唯一無二の鑑賞体験を作り出しています。神戸では港を舞台にした芸術祭が開幕し、アート鑑賞船が出港するそう。札幌にも、石巻にも、種子島にも、そこでしか出会えない、思わずカメラを向けたくなる新しいワクワクやドキドキが続々と生まれています! さあ、アートな町をめざす旅に出発です。
発売:2017年8月10日(木)
定価:593円+税
撮影/清永洋(人物)、masa(PHOEBE) スタイリング/ 轟木節子 ヘアメイク/草場妙子 モデル/Kanoco 取材・文/船橋麻貴