俳優・財木琢磨さんに聞く！“僕の推し活”【推しに推しを聞いてみた】

幼い頃から“料理好き”で、最近は“サラダ”に夢中

ミュージカル『テニスの王子様』の手塚国光役や、ドラマ『水戸黄門』の助さん役などで注目された俳優の財木琢磨さん。料理や食べることに関心が高く、最近は、“サラダ”に目がないそう。
「30歳になった昨年から、いい野菜を食べたいと思うようになりました。20代の頃は感じなかったのですが、野菜の美味しさが分かるようになったといいますか。あまり物欲はない方で、ゲーム好きでもあるのですが、新作は高いから購入を渋るタイプでして(笑)。そんな僕でもお金をかけるのが、“食”です。サラダ専門店でチェックするとどれも美味しそうなのですが、1000円以上すると、一瞬高いと躊躇しちゃう。結局食べたくて買っちゃうんですけどね」

福岡県久留米市の出身で、「男子たるもの台所に立つな」との考えを持つ祖父の下で育ったものの、「祖父の言葉は聞かないふりをして、子供の頃から台所に立っていました(笑)。自分が好きなものを食べたくて、チャーハンや焼きおにぎりを作っていました」といたずらっ子ぽく笑う。ひとり暮らしの現在も自炊は欠かせない。今やレシピに頼らず、自己流で仕上げられる腕前の持ち主なのだ。
「すごいわけでも、こだわりがあるわけでもないんですよ。この調味料を入れたらどんな味になるのかなとか、味を想像しながら作るのが好きなだけです。初めて作る料理は、レシピはチェックしますけど、その通りに作るのが嫌なので、なにかしら俺流を足しちゃいます。外食時に美味しいものと出会ったら作り方が気になるし、地方に行ったら、その土地土地の名物を食べたくなる。帰り際、駅のホームでご当地のお土産を買ったり、チェックしたりするのも好きです。ご当地価格なのでなかなか手が出なかったのですけど、今は食欲が勝っちゃうんですよね」

泣けるぐらい素晴らしい、“アニー”たちの歌声

財木さんの推しはもう一つ。丸美屋食品ミュージカル『アニー』に出演する子供たちの歌声だとか。
「2022年12月に『アニー』のクリスマスコンサートが開催されたんですね。僕も出演させていただいたので、子供たちの綺麗な歌声を舞台の袖で聞いていたら、自然と涙が溢れてきて。歌声で泣くなんて初めての経験でした。子供たちの演技から、大好きな舞台に出演できているという喜びが伝わってきたんですよね。その姿はすごくキラキラしていて、応援せずにはいられなくなりました」

推しとの出会いは自身の活動にも、ある気付きをもたらしてくれた。
「演じる側が作品を好きになって表現すればきちんと伝わる。そんなことを学びました。ファンの方の好きな作品を僕も愛し、その熱量が伝わると応援しようという気持ちになるのかなと。アニーが大好きな子供たちの演技から感動をもらったことで気付かされました」

ファンの熱い気持ちは、活力にもなっている。
「舞台が終幕するときに拍手をいただけると、キャラクター作りが正解だったんだと安心できるんです。見てくださる方々の反応は、気になる方です。それこそファンレターをいただいたら、暗記するぐらい読み込んで参考にしています。自分でもエゴサーチしますしね(笑)。もし書かれていることが、悪口でも気にしません。言われたことに気を付ければいいだけですからね」

悪役ルースターを可愛げのあるように演じたい

純真な歌声が共演者の心も揺さぶった丸美屋食品ミュージカル『アニー』は、東京を皮切りに4月22日（土）から4年ぶりにフルバージョンで上演される。物語の舞台は世界大恐慌直後、1933年のニューヨーク。いつか両親が迎えに来ることを信じる、孤児院暮らしのアニーと、大富豪ウォーバックスが出会ったことで生まれる、愛と勇気の感動作だ。純真なアニーを利用して悪巧みを企てるのが、孤児院の院長ハニガン。昨年同様、財木さんはその弟ルースター役を担う。
「マルシアさん扮する姉ハニガン共々、お金に目がないキャラクターです。お金が稼げるなら悪いことをしても構わないと思っているけど、心底悪人ではない。マルシアさんもおっしゃっていたのですが、愛される悪役を目指そうと。例えるなら、映画『ホームアローン』の泥棒のようなイメージです。ちょっと抜けていてドジだから憎めないみたいな。勝気な姉にも、島ゆいかさん演じる恋人のリリーにも勝てない、女性の尻に敷かれるようなタイプです」

役にはどのようにアプローチしていくのだろうか。
「役作りは永遠のテーマで、正直分かりません(笑)。2.5次元モノの場合で、原作がある作品ならとことん読み込んで、台本に書かれていない部分の設定を作るところから始めます。今作のような場合は、美術セットにたくさん触れて、自分がその空間で生きていると勘違いさせることから始めます。あと、稽古に入る前は、役を固め過ぎないようにしています。思い浮かべていたキャラクター像が、共演者と演じてみたら違っていたり、印象が変わったりすることもありますから。演出家の方との話し合いや、共演者の方々から刺激を受けながら、形にしていく感じです」

演出は、舞台『キングダム』『ジキル＆ハイド』などの山田和也さんが手掛ける。
「山田さんは『このシーンをどうしたい？』と、まず俳優陣に聞いてくださるんです。昨年は、マルシアさんら共演者の方々と立てた演技プランを見せて、山田さんにジャッジしてもらっていました。提案するほとんどのものを面白がってくださったので、役作りに迷いはなかったです。23年度版は、3月から稽古が始まります。フルバージョンになるので、場面も増えますし、より自由にできるシーンもあるのではないかなと。今年もいろいろ提案できたらいいなと思っています」

元気をもらえる名作ミュージカルは、見ないと損！

2年連続でルースター役を任された財木さんが感じる『アニー』の魅力とは？
「やはり一番は、アニー役の2人や、出演するすべての子供たちからパワーをもらえることです。ピュアな心を持っているからこそ台詞に嘘を感じないし、伝えたい言葉がすっと心に入ってくるんですよね。悪役なので、あまり持ってはいけない感情なのかもしれませんが、子供たちが愛おしくて(笑)。ご覧いただけたらたぶん、同じ気持ちになっていただけるんじゃないかなと。また、劇中の子供たちが暮らす状況はとても過酷です。誰もが希望を見いだせないなかでも、明日を夢見て力強く生きること。そんなメッセージを感じられると思います。設定は違えど現代と被る部分があるので共感しやすいかもしれませんね」

作品のファンはもちろん、ミュージカル初心者にもおすすめしたいと、目を輝かす。
「もしかしたら舞台を一度も見たことがない方もいらっしゃるかもしれませんが、そんな方にこそ見てほしい舞台です。不安や悩みを抱えている方、ハッピーな気持ちになりたいと思う方もぜひ。観劇後必ず元気になれます。高額ではない舞台ですし(笑)、びっくりするような素晴らしい経験が待っていると思いますよ。今の僕の推しである、アニー役の深町ようこさんと西光里咲さんの歌声を、ライブで聞いていただけたらと思います。劇場でお待ちしております」

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