「Orby Restaurant」でフレンチ。英国など各国要素を取り入れたメニューとナチュラルワインをグルメジャーナリストが解説
フレンチ特集

「Orby Restaurant」でフレンチ。英国など各国要素を取り入れたメニューとナチュラルワインをグルメジャーナリストが解説

更新日:2025/05/20

麻布台ヒルズ内に店を構える「Orby Restaurant」は、イギリス発の人気ホームファニシングショップ「ザ・コンランショップ」が手掛けた日本初のレストラン。洗練されたインテリアに囲まれながら、創意あふれるフレンチとナチュラルワインのペアリングが楽しめます。友人との集まりから大切なデートまで、多様なシーンで訪れたいこのレストランの魅力を、グルメジャーナリスト東龍さんの解説とともにお届けします。

グルメジャーナリストの東龍さんが「Orby Restaurant」のフレンチを体験&レビュー

「Orby Restaurant」はモダンフレンチをベースに、イギリスのエッセンスが息づく料理とナチュラルワインが楽しめるレストラン。足を踏み入れると、大きな窓からの自然光が気持ち良くて、開放感がありながらもほっと落ち着ける雰囲気。ナチュラルシックな調度品とダウンライトでとてもおしゃれ。

「テーブル間隔が広くて、余裕があるのがいいですね。テーブルクロスなしの木製テーブルはおしゃれで、自然体で食事が楽しめます。スタイリッシュな左官によって土で丁寧に仕上げたシェフズカウンターは、調理風景を間近に鑑賞できるので、こちらも特等席です」(東龍さん)

ナチュラルワインの名店である、三軒茶屋「uguisu」・西荻窪「organ」の店主である紺野真氏をヘッドシェフに起用していることから、料理とナチュラルワインのマリアージュに期待が高まります。

本日は、シグネチャーメニューが楽しめる8皿のディナーコースと6杯のナチュラルワインペアリングを体験。

前菜には、ホワイトアスパラに帆立とトリュフが添えられた、季節を感じるお皿が運ばれてきました。ホワイトアスパラは、茹でたものをきゅっと冷やすことでシャキシャキとした軽快な食感に。濃厚ながらも酸味をプラスして軽やかに仕上げられたトリュフソースと絡めると、口の中に旨味が広がります。また、可愛らしいサイズのうずらのポーチドエッグと絡めると、より深みのある味わいに。一つのお皿でさまざまな表情を見せてくれて、スタートから幸せな気持ちになります。

奥に佇むのは、ホワイトアスパラガスのムース。舌の上でふわりととろける優しい味わいです。香り豊かなパンドカンパーニュに、このムースやトリュフのソースを絡めていただくと、ワインが自然と進みます。

乾杯の一杯は、チェコのスパークリングワイン。
「なかなか出会わない国のワインですね。ナチュラル感のあるシャンパーニュのような味わいで複雑さもあり、印象に残ります」と東龍さん。

続いて「鰆のミキュイ ブラッドオレンジのソース」が登場。オリジナルのお皿の光沢が美しく、鰆を華やかにドレスアップしています。

鰆はマリネしてから火を入れて、ミキュイ=半生の状態に。特筆すべきはそのエアリーでふわふわとした食感。鰆がもつ繊細な味わいを残しつつ、皮目をバーナーで焼いているから香りが広がり、食感のメリハリも楽しいです。また、添えられたカブのマリネも穏やかな味わいで良いバランス。

「植物性の食材のみで作られたソースは、干し椎茸や香味野菜に煮詰めたブラッドオレンジジュースを合わせたという意欲作。酸味は軽やかで、心地よい甘味があり、鰆と面白い取り合わせですね。合わせるワインがフランス・ロワール地方の赤なので意外でしたが、フレッシュなさくらんぼの香りや白胡椒のニュアンスがあって、鰆とソースの味わいをより引き立てていました」と、東龍さんの印象に残った一皿でした。

次に運ばれてきたのは、燻製の香りが食欲をそそる「穴子の燻製 発酵菊芋のピューレ 牛蒡」。

「皮目がパリッと香ばしい穴子の燻製と、クリーミーで奥行きのある味わいの発酵菊芋のピューレの組み合わせ。一見意外な組み合わせかもしれませんが、見事なまとまりを見せていますね」と東龍さん。

2時間もの手間がかけられているという牛蒡のコンフィにも驚き。素材本来の豊かな香りとリッチで滋味深い味わいが広がります。また、カリッとした菊芋のチップスが心地よいアクセントに。

合わせたのは、ニュージーランドのピノ・ノワール。比較的軽やかながらも熟成による複雑なニュアンスが感じられ、穴子の香ばしさや牛蒡の味わいと見事にマッチします。

お次は「新玉ねぎのロースト ホタルイカ ンドゥイヤ」。低温でじっくりと甘みを引き出した新玉ねぎは、最後にグリルで香ばしい焼き色をつけています。富山湾のホタルイカもグリルされていて、凝縮された旨味が際立ちます。イタリア・カラブリア州で生まれたスパイシーなソーセージ「ンドゥイヤ」をお肉の出汁で伸ばしたソースと絡めれば、一層味わい深くなります。

ペアリングされたのは、フランス・サンセール地方の白ワイン。2010年と、15年もの熟成を経ていることから、編集部も東龍さんも新しい発見にあふれた1杯でした。
「熟成したサンセールのソーヴィニヨン・ブランをあまり飲んだことがありませんでしたが、蜂蜜のような香りや濃縮された旨味があって、とてもおいしいですね。新玉ねぎの甘味やホタルイカの肝も寛容に包みこんでいました」(東龍さん)

発見に満ちた料理とワインの旅はまだまだ続きます。5皿目には、「鮟鱇(あんこう)のムニエル じゃがいものパンケーキ ベアルネーズソース」が登場。ベアルネーズソースとは、オランデーズソースにハーブやエシャロットが入ったハーブ香のあるソースで、淡白ながらも上品な旨味を持つ鮟鱇に芳醇なコクを与えます。

「鮟鱇もさることながら、じゃがいものパンケーキが印象的ですね。むっちりとした食感で、ソースと合わさるとじゃがいもの優しい甘さが引き立ちます」と東龍さん。

お皿を彩るのは、鮮やかな緑色の芽キャベツ、スナップエンドウ、そしてグリーンピース。それぞれの持つほのかな苦味や甘みが、全体の味わいを引き締めます。

合わせたニュージーランドのシャルドネは、ナチュラルながらもクラシックな風格を漂わせる一杯。樽からくるリッチな風味がムニエルのバター香と調和し、優雅な気分にさせてくれました。

いよいよ、シグネチャーメニューの「蝦夷鹿のウェリントン 棗(なつめ)」が運ばれてきました。ウェリントンとは、イギリスの伝統的なお肉料理。今回は、生ハム、キノコのペースト、パセリのクレープをまとわせ、パイで包んで焼き上げています。

パイ生地はサクサクと軽快な食感。蝦夷鹿はちょうどいいロゼ色で柔らかく、脂が少なくて軽やかにいただけます。

蝦夷鹿は果物と相性が良いことから、ベリー系のソースと合わせることが多いそうですが、今回は王道の赤ワインベースのソースに、あえて棗をセレクト。シェフの遊び心が光ります。

「ウェリントンには牛のフィレがよく使われますが、蝦夷鹿のもも肉が使われているのが驚きですね。また、ピューレにした棗と合わせているのも珍しいです。優しい甘い香りなので、箸休めにぴったり。この一皿は、他ではなかなか出会えないメニューだと思うので、ぜひ『Orby Restaurant』で味わってほしいですね」(東龍さん)

お肉料理に、オーストラリアのシラーズのワインが進みます。2014年のもので熟成を経ているから、タンニンがこなれていてまろやかです。

デザートには2品登場。まずはお口直しの「ヨーグルトのソルベ アマレット」。ヨーグルトの爽やかな酸味に、レモンで和えられたりんごや削った柚子の清涼感が組み合わさって、口の中をリフレッシュさせてくれます。

続くデザートは「桜のアイス 苺 セロリ」。桜の葉を使ったミルクベースのアイスに、フレッシュないちごとセロリを白バルサミコで和えた、意外な組み合わせが光ります。土台にはサクサクのメレンゲ生地、そして濃厚なマスカルポーネクリームが重ねられ、全てをスプーンですくって一緒にいただきます。桜の甘さやいちごの甘酸っぱさ、セロリの清涼感など、さまざまな食感と味わいで楽しませてくれました。

シンプルながらもどの料理にも工夫が施されていて、一皿ごとに新しい発見があり、心躍るコース料理とペアリングの体験でした。

今回提供してくださった6種のワインはこちら。左から順番にいただきました。

フランスやイタリア、オーストラリアから日本まで、世界各国のナチュラルワインが約500本も取り揃えているから、いつ訪れても未知のワインと出会えるはずです。また、グラスワインは、スパークリング1種、白2種、オレンジ1種、赤2種が用意されているので、こちらからチョイスするのも良いですね。

ナチュラルワインに馴染みがない方もいるかもしれませんが、1つ1つ丁寧に説明してもらえるので、産地や味わいの特徴を理解しながら味わえて、とても楽しい時間が過ごせますよ。

今回はコース料理を紹介しましたが、「Orby Restaurant」では、アラカルトメニューも豊富に用意。フィッシュ&チップスや、コースでも印象的だった蝦夷鹿のウェリントンといったイギリスらしい逸品から、本格的なフレンチまで、その日の気分に合わせて楽しめます。

シェフズカウンターでアラカルトをいただきながら、気軽に食事を楽しんだり、バー利用したりするのも粋な過ごし方ですね。

グルメジャーナリスト 東龍さんの注目ポイント

1,フレンチとワインを自然体で楽しめるレストラン
8皿とやや多めの皿数に思うかもしれませんが、全体を通して塩加減や脂も適度に抑えられているので、あまりたくさん食べられない方でも最後まで堪能できる構成です。また、ブドウ本来の味わいを尊重するナチュラルワインともマリアージュも素晴らしい体験になるはずです。

2,発見感あふれる素材の組み合わせ
帆立、穴子などの魚介類がふんだんに使われていて、今回は滋味のある皿が多かったです。鰆にブラッドオレンジ、穴子に菊芋、ホタルイカにンドゥイヤなど、食材の組み合わせに意外性をもたせながらも、まとまりがありました。シェフの岩城悠太さんが素材の魅力を存分に引き出していますね。

3,シンプルながらも味のある食器や磁器にも注目を
「Orby Restaurant」で使用しているザ・コンランショップのオリジナルプレートなどの素敵な食器や磁器は、併設されているザ・コンランショップ 東京店で購入も可能です。また、品の良さとナチュラルさをあわせ持つ家具に囲まれて、リラックスして食事が楽しめますよ。

昼は明るくて快活な雰囲気なので、友人同士のランチや女子会にはもちろん、気軽なデートにもおすすめ。夜はぐっと大人の雰囲気になるのから、カウンターデートにもぴったり。さまざまな機会にぜひ訪れてみて。

「Orby Restaurant」シェフ 岩城 悠太

1995年生まれ、群馬県出身。群馬調理師専門学校を卒業後、地元のフレンチでキャリアをスタート。前橋「白井屋ホテル」フロリレージュ川手シェフ監修の白井屋ザ レストランでオープニングから2年間修行。その後上京し、白金台の1ツ星「アルゴリズム」で1年間研鑽を積む。その後、紺野真氏がヘッドシェフを務める麻布台ヒルズ「Orby Restaurant」で働き同年10月から店長兼シェフに。

グルメジャーナリスト 東龍さん

お話を聞いたのは・・・
グルメジャーナリスト 東龍さん

プロフィール
1976年台湾生まれ。テレビ東京「TVチャンピオン」で2002年と2007年に優勝。ファインダイニングやホテルグルメを中心に、料理とスイーツ、お酒をこよなく愛する。
特に好きな料理ジャンルはフレンチ、鉄板焼き、鮨、日本料理。お酒はワインと日本酒を愛飲のかたわら、ビールやウイスキー、食後酒やカクテルにも造詣が深い。
美食やトレンド、食のあり方から飲食店の課題まで、独自の切り口で分かりやすい記事を執筆。審査員や講演、プロデュースやコンサルタントも多数。2025年6月27日に「レストランビジネス」(クロスメディア・パブリッシング)が発売予定。
X(旧Twitter):@toryu76
Instagram:toryu76
公式HP:グルメジャーナリスト東龍のサイト

店舗DATA

スポット名
Orby Restaurant
電話番号
0368344700 0368344700
住所
東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズ タワープラザ 3F
営業時間
【平日】
[昼]11:30~15:00(料理13:30、ドリンク14:00LO)
[夜]17:30~22:00(料理20:30、ドリンク21:00LO ※コース19:30)

【土日祝日】
[昼]11:00~15:00(料理13:30、ドリンク14:00LO)
[cafe]15:00~17:00(16:00LO)
[夜]17:00~22:00(料理20:30、ドリンク21:00LO ※コース19:30)
定休日
火曜日
交通アクセス
東京メトロ日比谷線「神谷町駅」5番出口より徒歩10分(駅直結)、南北線「六本木一丁目駅」2番出口より徒歩10分
取材ランチコース内容
【ディナー】シグネチャーメニューが楽しめる全8皿のスペシャルコース
・ホワイトアスパラ トリュフ 帆立
・鰆のミキュイ ブラッドオレンジソース
・穴子の燻製 発酵菊芋のピューレ 牛蒡
・新玉ねぎ ほたるいか ンドゥイヤ
・鮟鱇のムニエル じゃが芋のパンケーキ ベアルネーズソース
・蝦夷鹿のウェリントン 棗
・アマレットのグラニテ ヨーグルトのソルベ
・桜のアイス 苺 セロリ
※コース内容は不定期で変更になります。
料金
【ディナー】シグネチャーメニューが楽しめる全8皿のスペシャルコース:1名14300円
6杯のナチュラルワイン ペアリング:1名7400円
【ランチ】季節の食材を使った選べる3皿セット:1名4800円
※すべて税・サ込
ホームページ
公式サイト

オズモールからWEB予約可能。フランス料理店一覧

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PHOTO/TORYU、EMI UEDA(OZmall)

※記事は2025年5月20日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります