The Okura Tokyo「ヌーヴェル・エポック」でフレンチランチ。進化する“日本のフランス料理”をグルメジャーナリストがレビュー
フレンチ特集

The Okura Tokyo「ヌーヴェル・エポック」でフレンチランチ。進化する“日本のフランス料理”をグルメジャーナリストがレビュー

更新日:2024/11/12

The Okura Tokyoの「ヌーヴェル・エポック」は、日本のフランス料理の礎を築いた歴史あるレストラン。日本の食文化とフレンチの融合を追求し、他では味わえない美食体験をかなえてくれます。デートや大切な集まり、日々のご褒美に訪れたいレストランの魅力を、グルメジャーナリスト東龍さんのレビューと共にオズモール編集部がレポートします。

グルメジャーナリストの東龍さんが「ヌーヴェル・エポック」のフレンチランチを体験&レビュー

The Okura Tokyoの「ヌーヴェル・エポック」。ここは伝統的な料理や技法をベースにしながら、旬の食材、そしてシェフの自由な発想を取り入れて、独自の味わいを追求したコース料理が楽しめるレストランです。
彩り豊かな料理はまるで芸術作品のようで、素晴らしいテーブルウェアも相まって食事をいっそう華やかに演出してくれます。

「1962年に創業したホテルオークラ東京は、創業時に総料理長を務めた“小野正吉ムッシュ”のもと、フランス料理というジャンルを日本に確立しました。現在は“オークラフレンチ”の系譜を引き継ぎながら現代風に進化し続けています。2022年3月から料理長を務める池田進一さんの料理が、どのようにオークラフレンチを進化させているのかが、訪れる際の楽しみです」と東龍さんが教えてくださいました。

コース料理は基本的に季節ごとに変わるけれど、旬の食材を見極めながら毎月変えるメニューもあるとのこと。

アプローチを抜けると、広いダイニングが広がります。白を貴重とした静謐な空間で、これぞホテルのフレンチ!という印象。店内は大きな窓から穏やかな陽光が降り注ぎ、広い庭園を臨みながら食事が楽しめます。

絨毯張りの床がふかふかで心躍るなか、今回案内されたのは美しい緑が望める窓際のテーブル席。
全体的には56席がゆったりと配置されており、個室も1室設けられているのでプライベートな会にもおすすめです。

「ランチは光がたっぷり入って気持ちが良いですね。夜は大人のムードになるので、また違った雰囲気で食事を楽しむことができますよ」と東龍さん。

コースの前に、まずは小さな1品が登場。クレープ生地で形作られたブーケの中には、ローズマリーやハーブなどと一緒にペースト状にしたサンマのリエットが隠れていて、その上には、茄子をトマトのコンソメで煮込んだコンポートが。
クレープ生地のパリパリとした食感の後にサンマの旨味が広がり、ハーブによって奥深い味わいを生み出しています。

続いては始まりのお愉しみとして、イベリコ豚とレンコンのフリットを。イベリコ豚は低温調理してバルサミコを合わせており、木の食器も相まって、日本の食文化の融合を感じさせるビジュアルが特徴的。

「豚肉の芳醇な香りとカリッとした食感も楽しく、チャーシューを思わせる面白い1品です。バルサミコ酢の酸味と五香粉で、食欲を掻き立てられますね」

ドリンクは、まずシャンパーニュから。
ポメリーのマグナムボトルですが、真ん中のシールに注目を。「オークラエイジングセラー」と書かれていて、シャンパーニュ地方にあるポメリー本社の地下セラーの一角にある、ホテルオークラ専用のエイジングスペースで熟成されたものです。それを空輸しているので、とても状態の良いワインなのです。

これにはワイン好きの東龍さんも感動! 「複雑なアロマとクリーミーな泡立ちが素晴らしいです。これだけでコースの最初から最後まで通せるほど、万能な1本ですね。ワイングラスはオーストリアのロブマイヤーと同じ工場で造られた、オークラのロゴ入りのオリジナル製品。ワインのポテンシャルをさらに引き出してくれています」

The Okura Tokyoはかねてからワインの品揃えに定評があり、加えて、ヌーヴェル・エポックにはフランスのプレステージワイン(※)が多く揃えられてるので、ワイン好きには特に訪れてほしいレストランです。
ソムリエの矢渡さん曰く、「ペアリングは料理が引き立つものを意識して提供できるよう、ベストなワインを常にリサーチしています」とのこと。好みの味わいや量の調整など、コミュニケーションも楽しみながらオーダーメイドで決めていくのがおすすめ。

※生産者が威信を込めて造る、最高級のワインやシャンパーニュ

前菜は「宮城県産サーモンのマリネとオシェトラキャビア ポワロー葱のサラダとトリュフ香るヴィネグレットソース」。

「切り方や調理方法が異なる2種類のサーモンが1皿に盛り込まれていて、それぞれの食感や味わいの違いが楽しいです」と東龍さん。
ちなみに池田シェフのおすすめも、このメニュー。
手前のサーモンは、表面を軽く火入れしたミキュイ(半生)仕立て。滑らかな舌触りで、旨味がぎゅっと凝縮されています。
一方、左側のタルタルは、王道のサーモンの食感と風味がダイレクトに伝わってきます。ポワロー葱のクリームやトリュフと絡めていただくと、味わいはさらに豊かになりとっても口福に。

ワインはフランス、ロワール地方のソーヴィニヨン・ブランを合わせていただきました。
アンリブルジョワという名門の造り手のワインを樽ごと購入し、The Okura Tokyoのラベルを貼った、ここでしかいただけない貴重なワインです。
爽やかな味わいで、ワインの美しい酸味とサーモン脂質が調和して、一口、もう一口・・・と進みます。

パンのご用意は3種類。すべてホテルのベーカリーで焼いているものです。
コースの内容に合わせて毎回種類が変わり、レストランでしか味わえないパンもあるとのこと。

この日は、プティバゲットと徳島の阿波晩茶を練り込んだパン、マッシュルームのパンを、ボルディエの無塩の発酵バターでいただきます。
写真右側の阿波晩茶のパンは、香ばしい香りがほんのり漂ってきてコクを感じ、今まで味わったことのないおいしさで思わず手が伸びる1品でした。

季節の野菜を使った1皿には、少しずつ寒くなってきた気候に合わせて「バターナッツカボチャのあたたかいポタージュ」を。バターナッツカボチャの素材の味わいも感じながら、トッピングのカシューナッツの香ばしさと、シナモンの香りがアクセントになって、味わいがとっても豊か!

「食器も美しいですね。フランスのベルナルドというブランドのアンダープレートにスープが乗っていて、高級フランス料理店の風格が漂います。そこに木のスプーンを合わせることで、洗練された中にも優しい印象を与えていますね。このスプーンでいただくと、より一層スープの温かみを感じられます」と器好きの東龍さん。

本日のコースは、メイン料理を各自お魚かお肉から1品選べるスタイル。もちろん両方いただけるコースもあるので、シチュエーションに合わせて選びましょう。

まずは、魚料理の「岩手県産の鱈の白ワイン蒸しと秋の味覚 ピノ・ノワールの紅白のソース」をいただきます。ふっくらとした鱈に、セロリラブ(根セロリ)の白いソースとピノ・ノワールの赤いソースが絡まり、繊細な味わいを楽しめます。

「ソースには銀杏が隠れていて、秋らしいアクセントでおいしいですね。ペアリングはブルゴーニュ地方のシャルドネをいただきました。程よいボリューム感ときれいな果実味で、鱈を引き立たせます」と東龍さん。

上に飾られたセロリラブのチップの香ばしさが全体を引き締めてくれて、下には鱈で出汁を取ったきのこのリゾットも。多層的な味わいで満足度が抜群です。

お肉料理は、「蝦夷鹿と菊芋を2種類の調理法で ソースポワブラード」です。蝦夷鹿はローストのほか、左手にある竹炭を用いた真っ黒なクロケットも。こちらはミンチ状の蝦夷鹿にくるみなどのナッツを入れてメンチカツをイメージしています。

東龍さんも特に記憶に残った1皿だったそう。「ジビエのはじまりの時季で、先駆けの蝦夷鹿を味わえて嬉しいですね。丁寧に処理されているので、雑味は一切ありません。ロース肉はじっくりと火を入れて、上味を引き出しています。蝦夷鹿のモモ肉に加えて、鶏肉や豚肉、野菜やキノコを合わせていて、いろいろな味わいを楽しめますしジューシーで旨味たっぷりです。ひとつのお皿に2種類の調理法で蝦夷鹿を表現しているので、非常に手間がかかっており、池田シェフのこだわりを感じました」

一緒にいただくワインは、フランス、ローヌ地方のシャトーヌフ・デュ・パプという有名な区画のもの。複雑な果実味で、深みのある味わいがまさにメインに相応しい!

今回は、デザートがグレードアップされたコースなので2品をいただきます。
実はこのコース、オズモール限定で作られたデザート充実の内容なのです!

まずはかわいらしいビジュアルの「ペルー産カカオをつかったチョコレートシャーベット」。中にはハイビスカスを使ったフローラルティーやベリーの果実もたっぷり入っています。

「ペルー産カカオの酸味を活かしたデザートで、ハイビスカスのハーブティーはカカオとマリアージュして洗練された味わいを感じます。無花果やベリーで口の中をリフレッシュさせてくれますね」と東龍さん。

デザート2品目は、「摘果ぶどうと完熟ぶどうのデクリネゾン アリコルージュとソーテルヌの香りを添えて」。ぶどうをさまざまな調理法で楽しめるのですが、フレッシュな状態や甘口のソーテルヌワインでコンポートしたもの、さらにシャーベットでいただけるのです。
アリコルージュとはあずきという意味で、中にはなんとあんこが! 上に添えられたどら焼きはソーテルヌワインで味付けされていて、洋風どらやきのようなイメージで楽しむことができます。スプーンですくう度に、ぶどうの酸味とあんこの甘みのハーモニーをさまざまな角度から楽しめるんですよ。

東龍さんもとても気に入ったそうで、「摘果ぶどうと完熟ぶどうを対比させたおもしろい試みで、味などの変化を楽しめますね。中のあんこが隠し味で、見た目の華やかさとは反対に、ノスタルジックな甘味を呼び起こすのも一興です」とのこと。

美しい小菓子は左から、キャラメルナッツのタルト、ルビーグレープフルーツのゼリー、オペラ。
飲み物は、コーヒー、紅茶、ハーブティーなどから選べます。ハーブティーはアップルミント、スペアミント、ローズマリー、レモングラス、レモンバームをミックスしたオリジナルのものなので、お好きな方はぜひ。

伝統的なフレンチをベースにして、新しい発見でいっぱいのフランス料理を味わえる時間でした。

グルメジャーナリスト 東龍さんの注目ポイント

・伝統的なフランス料理をベースにして、新しいフレンチが味わえる
日本の食文化とオークラの伝統的なフランス料理が融合した、新しい食体験がかないます。1皿にさまざまな調理法が施されているので、シェフの技と情熱が光ります。

・ヌーヴェル・エポックならではの食材のセレクト
フレンチらしい食材もしっかりと楽しめる一方で、和の素材も自然に用いられているので創造性のある料理が楽しめます。

・ここでしか味わえないワインの数々
今回はオークラオリジナルワインが提供され、他ではできないペアリングを体験しました。他にもフランスをメインに数々の上質なワインを味わえるので、ワインが好きな方には特に体験してほしいです。

ホテルらしい上質感はありながらも、まったく堅苦しいところはなく、リラックスして食事できるので、いろいろなシチュエーションで訪れたいレストランです。
また、本格フレンチのデビューにもおすすめですよ。

The Okura Tokyo ファインダイニング「ヌーヴェル・エポック」料理長 池田 進一

1976年岡山県生まれ。94年ホテルオークラ入社、10年を経てホテルオークラアムステルダムへ出向。2007年よりオークラフレンチの殿堂である「ラ・ベル・エポック」でキャリアを重ね、21年「ヌーヴェル・エポック」へ。22年3月現職に就任。

<受賞歴>
1998年 クラブ・プロスペール・モンタニェ日本支部 フランス料理最優秀見習い料理人選抜コンクール ポワソン賞
2014年 日本ガストロノミー学会 ナショナル賞
2017年 ニュージーランドキングサーモン社 オーラキングサーモン料理コンテスト3位

OZで予約OK。The Okura Tokyo 「ヌーヴェル・エポック」のランチ&ディナープラン

店舗DATA

スポット名
ヌーヴェル・エポック/The Okura Tokyo
電話番号
0335056073 0335056073
住所
東京都港区虎ノ門2-10-4 ヘリテージウイング 5階
営業時間
【月・水・木・金・土・日】
07:00~09:30
11:30~14:30
17:30~21:30(20:30LO)
【火】
07:00~09:30
定休日
火曜日(祝日・祝前日を除く火曜日は朝食のみの営業とさせていただきます)
交通アクセス
日比谷線「虎ノ門ヒルズ駅」A2出口より徒歩5分
取材ランチコース内容
【OZ掲載記念ランチ】グレードアップデザート2種含む全6皿
■始まりのお愉しみ

■宮城県産サーモンのマリネ
 ポロネギのサラダとトリュフ香るヴィネグレットソース

■季節の野菜たちの小さな一皿

■メイン料理 ※下記より1品セレクト
 〇鱈の白ワイン蒸しと秋の味覚
  ピノ・ノワールの紅白のソース
 または
 〇蝦夷鹿と菊芋を二種類の調理法で
  ソースポワブラード

<OZ限定★グレードアップデザート2皿>
※■ペルー産カカオのソルベ フローラルなフレーバードティーの香りとともに
※■摘果ブドウと完熟ブドウのデクリネゾン
  アリコルージュとソーテルヌの香りを添えて

■食後の小菓子とコーヒーまたは紅茶フリー
料金例
ランチ
【ランチCコース】旬の素材を前菜からデザートまで愉しむ全5皿:1名14000円
【ランチBコース】前菜からダブルメイン2種デザートまで全8皿:1名17000円
【ランチAコース】あか牛サーロインがメインの全8皿:1名20800円

※すべて税・サ込
ホームページ
公式サイト

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WRITING/NANA TABARA PHOTO/TORYU、EMI UEDA(OZmall)

※記事は2024年11月12日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります