誕生日・記念日のディナーやいつもの食事会など様々なシーンで人気のフレンチだけど、漠然とお店を探すと選びにくさを感じることも。実は、お店の特徴によってグランメゾン、レストラン、ビストロなどと呼び名が分かれており、利用シーンにおすすめなお店の目安があるのだとか。世界一のメートル・ドテル(レストランサービスマン)の宮崎辰さんがその違いを伝授。これまで以上にフレンチの世界を気軽に楽しもう!
お話を聞いたのは・・・
宮崎辰(みやざき・しん)さん
東京都生まれ。高校卒業後、フランス留学を経験。都内グランメゾンでメートル・ドテルを経て「シャトーレストラン ジョエル・ロブション プルミエ メートル・ドテル」となる。ジョエル・ロブション氏に招聘され、フランスにてサービスのトレーナーとしても活躍。2012年には「クープ・ジョルジュ・バティスト」が主催する、サービス世界コンクール世界大会で優勝し、日本人で初の「世界一のメートル・ドテル」となる。現在はミシュラン星付きレストランに勤務。ホスピタリティ専門学校の教育顧問を務め、サービスマン育成から輩出までの一貫した教育事業を手掛ける。
著書:『世界一のメートル・ドテルが教える 利益を生むサービス思考』(光文社新書)、『一流のおもてなし術 メートル ドテル 宮崎辰の流儀』(東京堂出版)など
Instagram:@fantagista21
グランメゾン:フレンチの最高峰。人生を彩る特別な日に訪れたいレストラン
「グランメゾン」は日本で生まれた造語で、直訳すると“大きな家”。定義はあいまいながら、フレンチレストランの中でも料理や空間、サービスなど、すべてにおいて最上級のおもてなしを提供する店を指すことが多い。
ドレスコードがあり、男性はジャケットを着用していない場合は入店を断られることも。
「僕が考えるグランメゾンとは、大きな邸宅のように佇まいに緊張感があり、入口から客席までのアプローチが長いこと。また、シェフ、レセプショニスト(受付)、メートル・ドテル(サービス)、ソムリエなど、それぞれの業務が明確に分かれていることも特徴です。
グランメゾンならではの魅力は、ベテランスタッフによる温かなサービスと、エンターテイメント性の高い演出。お料理やデザートを目の前で切り分けたり、炎の演出をしたり、ワゴンサービスなど、さまざまに趣向を凝らしてお客様を楽しませてくれます。節目となる誕生日やプロポーズなど、大切な1日を過ごす場としておすすめです」(宮崎さん)
代表的なグランメゾン
ガストロノミー “ジョエル・ロブション”(東京都・恵比寿)
トゥールダルジャン 東京/ホテルニューオータニ(東京都・赤坂見附)
Les Saisons(レ セゾン)/帝国ホテル(東京都・日比谷)
ル・ノルマンディ /ホテルニューグランド(神奈川県・元町・中華街)
など
レストラン:特別なデートや記念日に。上質な料理とサービスでおもてなし
本来、レストランとは食事を提供する店の総称で、ラテン語で「回復する」意味の「restauro」に由来。日本では“ビストロよりも高級なフレンチ料理店”としてとらえられることが多いよう。
グランメゾンよりもやや規模が小さいものの、上質なサービスや料理を提供。ほとんどの店では「軽装は不可」、「スマートカジュアル」などのドレスコードを設けている。
「グランメゾン同様に、落ち着いた空間で、見た目にも華やかなフランス料理が味わえるのがレストランです。多くのレストランでは『日本の四季や食材を活かす』など、明確なコンセプトを掲げ、その店のシェフにしか作ることができない個性豊かなお料理や、料理に合わせたワインを揃えておもてなしをしています。パートナーとの誕生日や記念日の食事にもぴったりです」(宮崎さん)
代表的なレストラン
ナベノイズム(東京都・浅草)
フランス料理 エステール/パレスホテル東京(東京都・大手町)
ラ・ロシェル山王(東京都・溜池山王)
Q.E.D.CLUB(キュー・イー・ディー クラブ)(東京都・恵比寿)
Alte Liebe(アルテリーベ)(神奈川県・日本大通り)
など
ビストロ:ワイン1杯から利用可能。気軽に立ち寄りたいフランスの食堂的存在
ロシア語で「速く」を意味する言葉から生まれたとされているビストロ。レストランよりも規模は小さくカジュアルな雰囲気で、ドレスコードを設けていないことがほとんど。
白いんげん豆やソーセージなどを土鍋で煮込んだ「カスレ」や、ステーキにフライドポテトを添えた「ステック・フリット」など、ビストロ料理の定番として愛されるメニューも多い。
「ビストロは隣のテーブルとの距離が近く、和気あいあいとした雰囲気のなかで食事が楽しめる場所。グランメゾンやレストランと比べると価格もリーズナブルで、日本の定食屋、居酒屋のような感覚で気軽に足を運べるのが魅力です。普段使いのフレンチとしておすすめ」(宮崎さん)
代表的なビストロ
BENOIT(ブノワ)(東京都・表参道)
銀座Aux Amis des Vins(オザミ デ ヴァン)本店(東京都・銀座一丁目)
BISTRO HAMAIF(ビストロ ハマイフ)(東京都・新富町)
サクレフルール日本橋(東京都・三越前)
など
カフェ:飲み物だけのオーダーでもOK。時間帯に合わせて色々な使い方ができる
フランスやイタリアで生まれ、いまや世界中に広まったカフェ文化。コーヒー1杯から利用可能で、1日に何度も行きつけのカフェに訪れる人も。
日本ではコーヒーやスイーツ、サンドイッチなどの軽食を楽しむイメージがあるけれど、海外ではお酒を提供するカフェが多いという。
ドレスコードはなく、おひとり様からファミリーまで、誰でも気軽に利用できる。
「フランスでは朝から夜遅い時間まで開いているカフェも多く、朝食やランチ、ティータイム、アペリティフ(食前酒)など、時間帯に合わせてさまざまな用途で使われています。ビストロやブラッスリー(居酒屋)としての要素を兼ね備えているお店も」(宮崎さん)
オーベルジュ:自慢の料理でおもてなし。宿泊できるレストラン
オーベルジュとは、主に郊外にある宿泊施設を備えたレストランのこと。
その土地で採れた食材をはじめ、“ご当地”ならではの料理やお酒を楽しませてくれるほか、宿泊施設ならではのアットホームな雰囲気も魅力。なかには、食事のみの利用可能なオーベルジュも。
ドレスコードは施設によって異なるけれど、ジャケット着用など通常のレストラン同様のスタイルがベスト。
「旅行を楽しんで、おいしい料理とワインを味わって、そのまま泊まることができて・・・すべての欲望を満たしてくれるのがオーベルジュです。通常のレストランよりもカジュアルではありますが、やはりレストランですから、おしゃれして食事を楽しみたいものですね」(宮崎さん)
大切なのはコミュニケーション。「わからない」ことは気軽にたずねて
グランメゾンやレストラン、どんなお店を利用するにしても「お店のスタッフとのコミュニケーションが重要」と宮崎さん。お店に入った瞬間の挨拶や、料理を撮影するとき「撮影してもいいですか?」とひと声かけるだけでお客様への印象も変わるそう。
「お客様が100人いらっしゃったら、求められていることも100通り。特別なご希望があればぜひお伝えいただきたいです。また、『ドレスコードによくある“スマートカジュアル”とは具体的にどんな服装を指すのか』や、『どんなワインを頼んだらいいのか』など、わからないことやご不安なことがあれば、なんでもご相談ください。『わからない』ことは決して恥ずかしいことではありませんし、私たちサービススタッフはお客さまとコミュニケーションを取ることを何よりも楽しみにしています」(宮崎さん)
記念日におすすめ。OZのおすすめフレンチレストラン
行きつけにしたい。OZのおすすめビストロ
オズモールからWEB予約可能。フランス料理店一覧
オズモールにはWEB予約できるフレンチレストランが満載。記念日に利用したい憧れのレストランや一度は訪れたい巨匠レストラン、おしゃれな女子会ができそうなカジュアルフレンチなど盛りだくさん。食べたいメニューや利用シーンに合わせてお好みでセレクトしよう。
WRITING/MINORI KASAI PHOTO/AYUMI OHSAKI(宮崎さん)