プロのビアソムリエに聞く、「ビアガーデン」と「ビアホール」の違いとは?
ビアガーデン特集

プロのビアソムリエに聞く、「ビアガーデン」と「ビアホール」の違いとは?

更新日:2023/06/27

ビールがますますおいしくなるこの季節。夏期限定で出現する「ビアガーデン」や、作りたてのビールが味わえる「ビアホール」を利用する機会も増えるけど、その違いや歴史を知らないで楽しんでいる人も多いのでは? 例えば「屋上ビアガーデン」は日本独自の文化、「ビアホール」という言葉はとある日本人が作った造語。さっそく、その謎を紐解いてみよう。

■「ビアガーデン」の発祥はビール大国・ドイツ

「ビアガーデン」の明確な定義はないけれど、“屋外の開放感あふれる空間で、ビールを中心とした飲食を提供する酒場”のことを指すのが一般的。その起源は1800年代(19世紀)ドイツのバイエルン州ミュンヘンで、200年以上にもさかのぼる。
当時、醸造所の地下にビールの貯蔵庫があり、温度の上昇をなるべく避けるため、その上に大きな栗の木を植えて木陰を作ったそう。その木の下にテーブルや席を配置して、醸造所のビールを提供し始めたのが「ビアガーデン」の始まり。

日本で初めて「ビアガーデン」が誕生したのは、1875年(明治8年)。ノルウェー出身のウィリアム・コープランドが、横浜山手の外国人居留地に日本初のビール醸造所を開業し、その横に「スプリングバレー・ビアガーデン」をオープン。こぢんまりとした店だけど、外国船の船員でにぎわっていたそう。

200年経った現代では、ビール文化のある数々の国で親しまれるようになった「ビアガーデン」。日本では夜のイメージが強いけど、発祥の地・ドイツでは、日中から公園内にある「ビアガーデン」で、にぎやかにビールを楽しむ風景が5月から見られる。また、9月から10月にかけて開催される「オクトーバーフェスト」では、ビールを愛する猛者たちが世界中からミュンヘンへ集結。そのにぎわいはさすが、ビール大国!

■屋上で楽しむビアガーデンは日本独特の文化

百貨店や商業施設などビルの屋上で楽しむ「ビアガーデン」は、日本で独自に発展したスタイル。その由来は、1953年(昭和28年)に大阪の梅田で誕生した「ニユー・トーキヨー大阪第一生命ビル店」。「狭い室内」での大宴会では、ほかのお客さんの迷惑になるから、と屋上で開催したのがきっかけだとか。

1960年代になると、日本でも一般的に親しまれるようになったビール。都市部を中心にビアガーデンブームが巻き起こり、店舗数が急速に増加。しかし、エアコンの普及や「ビアガーデン」以外にビールを楽しめる場所が増えたため、「ビアガーデン」の人気は徐々に低迷。

ところが、1980年代になると、再び料理やシチュエーションなど、店舗ごとにさまざま工夫を凝らした新しいスタイルの「ビアガーデン」が登場し、人気が復活! 日本独特の屋上ビアガーデンを体験するために、海外からのツーリストも増えているとか。

ちなみに、日本最大級のビアガーデンは、「さっぽろ大通ビアガーデン」。13000席が用意されているというからびっくり。また、標高500m地点の展望台にある「高尾山ビアマウント」も人気。1000万ドルの夜景を堪能しながら味わうビールは格別で、デートにもおすすめ。

■「ビアホール」の始まりは恵比寿ビールの宣伝だった!?

「ビアホール」の定義は、ビールを提供する専門店と言われている。そんな日本初のビアホールは、1899年(明治32年)に、現在の銀座八丁目に登場した「恵比寿ビール BEER HALL」。日本麦酒の社長・馬越恭平氏が、ヱビスビールの宣伝を目的に、「工場直送のできたて生ビールを味わってもらい、そのよさを知ってもらうため」にオープンさせたそう。店内は、35坪の広さで1日の平均来客数は驚きの800人。都会的なこのスポットは、当時の人たちの憧れの場所だったみたい。

1934年(昭和9)創業当時の面影を残す「ビヤホールライオン銀座七丁目店」は、“ビヤホールの殿堂”。ビール麦を収穫する婦人たちを描いたガラスモザイク大壁画をはじめ、照明や柱、壁など店内各所は美しい装飾で彩られ、昭和初期のレトロな雰囲気を体験できる。歴史の趣を感じながら味わう1杯は格別なはず。

■時代とともに変化してきた「ビアガーデン」と「ビアホール」

屋外スペースのさまざまな場所にオープンする「ビアガーデン」は、ビールはもちろん、店鋪ごとに特徴ある料理と景色、開放感が味わえる夏の醍醐味。一方、屋内にあるビールを扱う専門店「ビアホール」は、ビールの徹底した管理や注ぎ方など、熟練の技による極上の1杯が味わえる場所。時代とともに変化してきた「ビアガーデン」と「ビアホール」に、今年もおいしいビールを楽しみに行こう。

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■お話を伺った方

ビール女子:福岡桃子さん

ビール女子編集部ライター(https://beergirl.net/)、フリーランスビアライター/コーディネーター(Fermentori)、JBSA認定ビアソムリエ。海外ツアーコンダクターやインテリア業界でのPR担当を経て、ライフワークである世界の共通言語「BEER」を通じて、人と文化とビールが交わる楽しさおいしさを共有すべくフリーランスの道へ。不定期で北欧ビールの魅力を伝えるイベントも開催。「ビール女子」(京橋ファクトリー)「ビール王国」(ワイン王国)「ビールの教科書」(宝島社)「Hanako」(マガジンハウス)ほか。

「ビール女子」とは?

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※記事は2023年6月27日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります