【テーブルマナー】フランス料理の知っておくべき基本マナー|服装は?ナイフとフォークの使い方は?

テーブルマナー - フランス料理の知っておくべき基本マナー|服装は?ナイフとフォークの使い方は?

憧れのフレンチレストランに出かけることになったとき、わくわくしつつも心配になるのがマナーでは? なんとなく知っているつもりでも、いざ席に着くと、テーブルの上にはナイフとフォークがずらり・・・。その光景に「どれを使ったらいいの?」と不安になってしまう人も多いはず。そこで、今回は知っておくべきフランス料理の基本マナーをご紹介。心置きなくフルコースを楽しむために、ぜひチェックして。

更新日:2023/07/11

目次

1.ナイフとフォークの使い方
 └1-1 ナイフとフォークを使う順番
 └1-2 食事中の置き方
 └1-3 食べ終えた後の置き方
  └POINT/マナーには2通りある?
2.ナプキンの正しい使い方
 └2-1 ナプキンを広げるタイミング・広げ方
 └2-2 口や手を拭く
  └POINT/食事中の中座について
 └2-3 食後に置く場所
3.フランス料理のコースの順番と正しい食べ方
 └3-1 ドリンクのグラスの持ち方
 └3-2 パンの食べ方
  └POINT/残ったソースを付けていい?
 └3-3 アミューズ、前菜の食べ方
 └3-4 スープの食べ方
 └3-5 魚料理の食べ方
 └3-6 肉料理の食べ方
  └POINT/肉の焼き加減
 └3-7 デザートの食べ方
 └3-8 コーヒー・紅茶の飲み方
4.【Q&A】気になるテーブルマナーのギモン
 └Q1 服装やドレスコードは?
 └Q2 フォークの裏にのせて食べていい?
 └Q3 手を使って食べていいものは?
 └Q4 “サプライズ演出”はマナー違反?
 └Q5 お会計や退店時のマナーは?
 └Q6 マスクはどうすればいい?
 └Q7 いちばん大切なことは?
└5.編集部のおすすめフレンチレストラン
└6.フレンチの後は上質なBARへ

※本記事では日本で主流とされるイギリス式マナーを中心にご紹介します

教えてくれた人

ホテル インターコンチネタル東京ベイ 庄司晃大さん

ホテル インターコンチネタル 東京ベイ 庄司晃大さん

2000年よりフランス料理やイタリア料理のレストランで勤務し、ギャルソン(ウエイター)やソムリエ、マネージャーなどを歴任。2017年よりホテル インターコンチネンタル 東京ベイ「ラ・プロヴァンス」でマネージャー兼ソムリエを勤め、テーブルマナーを学べる食事プランでは講師を担当する。ソムリエ資格のほか、シガーマネージャー、日本酒利き酒師の資格を持つ。

協力いただいたレストラン「La Provence(ラ・プロヴァンス)」

南フランスの伝統的な料理を現代風にアレンジしたモダン・フレンチを提供。フランスの星付きレストランで経験を積んだシェフ・木内和利氏の腕で、素材の味わいを最大限引き出したメニューが揃う。非日常を感じさせるロココ調の輝夜シャンデリアに彩られた優雅な店内には、テーブル席のほかにキッチンカウンター付きの個室も。

ナイフとフォークの使い方

ナイフとフォークを使う順番

ナイフとフォークを使う順番

テーブル上にあらかじめセットしてあるナイフとフォークは、1皿に対して外側から1本ずつ使い、いちばん内側がメイン料理用になる。ナイフ、フォークともに付け根の部分に人差し指を添えて持ち、左利きの場合は左右を持ち替えて使う。

食事中の置き方

食事中の置き方

食事中に料理が食べ終わっていないときにナイフとフォークから手を離す場合は、ハの字になるようにお皿の上へ。ナイフが4時、フォークが8時くらいの位置になるように置こう。

食べ終えた後の置き方

食べ終えた後の置き方

料理を食べ終えたら、ナイフとフォークを揃えてお皿の上に置くと食べ終わりの合図に。イギリス式のマナーでは4時の位置に置く。

POINT/マナーには2通りある?

フランス料理のマナーには、イギリス式とフランス式の2種類があり、それぞれ動作が異なるところも。例えば食べ終わりの合図は、フランス式ではナイフとフォークを3時の位置に置く。今回は日本で主流とされるイギリス式マナーを中心にご紹介。

ナプキンの正しい使い方

ナプキンを広げるタイミング・広げ方

ナプキンを広げるタイミング・広げ方

ナプキンは食事が始まる前、注文が終わってから広げる。半分もしくは片方を長くして折り、折り口がテーブル側、輪が手前になるように、膝の上へ。ウエイターが広げてくれることもある。

口や手の拭き方

口や手の拭き方

汚れた口や手を拭くときは内側を使い、汚れた部分が周りに見えないように配慮を。つい、きれいなナプキンを汚したくないと自分のハンカチなどを使いたくなってしまうかもしれないが、ナプキン以外のものを使うと「ナプキンが汚れていて使えない」という意思表示なってしまうので注意。

POINT/食事中の中座について

食事が始まってから離席するのは、相手への失礼にあたるので実はマナー違反。レストラン側は、料理をいちばんおいしく食べられるタイミングで提供しているため、中座することでそのタイミングがずれてしまう可能性も。お手洗いなどは事前に済ませるのがマストだが、もし中座するならウエイターにひと言声をかけよう。

食後に置く場所

食後に置く場所

すべての食事が済んだら、膝の上のナプキンを外し、見栄えよく簡単にたたんでテーブルの左側や椅子の上に置いて。角をそろえ、きれいにたたんでしまうと、レストランへ「料理がおいしくなかった」「不満がある」といったメッセージになってしまう。

フランス料理のコースの順番と正しい食べ方

ドリンクの注文方法

ドリンクのグラスの持ち方

フランス料理はワインとのマリアージュを楽しむのがスタンダード。ワイングラスを持つときは、手の温度がワインに伝わらないように、足の部分を親指、人差し指、中指の3本で持つこと。乾杯の際はグラス同士を当てずに、目線の高さに掲げるとスマート。

パンの食べ方

パンの食べ方

パンはそのままかじりつかずに、ひと口サイズにちぎって食べる。ちぎると気になるのがパンくずだが、テーブルにこぼれてもそのままにしておき、テーブルの下に落とすのは避けよう。本来はスープが出てきてから手をつけるものだが、コースにスープがない場合は前菜が提供された後、焼きたての場合はパンが提供されたら手をつけてOK。

POINT/残ったソースをパンに付けて食べる?

フランス料理は「ソースで食べる」と言われるほどソースがよく使われ、つい残ったソースをパンにつけて食べたくなるもの。しかし、ソースは基本的にそのお皿の食材につけて食べ、パンにソースを付けるのは正式にはNG。同じくスープもパンにつけずにいただくのが正しいマナー。

前菜、アミューズの食べ方

アミューズ、前菜の食べ方

まず提供されるアミューズは、シャンパンなど食前酒と楽しむアペリティフで、お店からのおもてなしの気持ちでもある。そのため、メニューを決める前に提供されることも。アミューズ用のカトラリーがない場合は手づかみでOK。また、前菜はひと口ずつ切り分けて食べると、上品にいただける。

スープの食べ方

スープの食べ方

イギリス式マナーでは手前から奥にスプーンを動かしスープをすくう。量が少なくなってきたら器を持って傾けて。器の手前を持ち奥に傾ける。口に入れるときは音をたてず、流し込むように。

※フランス式マナーでは奥から手前にスプーンを動かす。傾ける際は器の奥を手前に傾ける

魚料理の食べ方

魚料理の食べ方

左側から、ひと口サイズにナイフとフォークで切りいただく。このとき、すべて切り分けるのではなく、ひと口食べるごとに切るのがポイント。切り口から料理が乾燥するのを防ぎ、最後までおいしくいただける。また、切り口を人に見せないように気をつけ、断面が斜めになるようナイフを入れるといい。

肉料理の食べ方

肉料理の食べ方

肉料理も魚料理と同様に、ナイフとフォークで斜めにひと口サイズに切り分けて。特に肉料理は、まとめて切ってしまうとおいしい肉汁が出てしまい、冷めやすくもなるので注意しよう。付け合わせの野菜も同様に。切りにくい葉物類はナイフとフォークで丸めてひと口サイズにして。

POINT/肉の焼き加減

肉の焼き加減は好みに合わせてオーダー可能。肉は火を通しすぎると固くなることを考慮し、選んだ肉の種類や部位ごとに焼き加減を選ぶのがポイント。基本的にはレストランのおすすめがあるので、ぜひそちらでいただいて。もし好みの焼き加減にしたいのなら、肉料理の直前ではなく注文時に伝えよう。

※肉の焼き加減の伝え方
・レア:肉の表面だけを焼き、中心部は生の状態
・ミディアムレア:レアとミディアムの中間
・ミディアム:肉の中心部までほどよく火を通し、中に少し赤みを残す
・ウェルダン:肉の中心部まで十分に火を通し、中に赤みが残らない

デザートの食べ方

デザートの食べ方

デザート用のカトラリーは、あらかじめ飾り皿の上部にセットされていることもある。レストランでは提供時に配られることが多い。食べる順番などは決まっていないが、アイスは溶けてしまうので早めに食べるのがおすすめ。また、数種のデザートが出た場合は味が薄いものから食べたほうが、よりおいしくいただける。

コーヒー・紅茶の飲み方

コーヒー・紅茶の飲み方

左手でソーサー、右手でカップを持ちいただく。持ち手が左側にある場合は、持ち上げずに右手でくるりと回し、右側に持ってくる。角砂糖を使うときはトングで直接入れずに、スプーンにのせてからはねないようにゆっくりとドリンクの中へ。熱いときは息を吹きかけずに、スプーンでかき混ぜるか、表面をなぞり冷ますこと。

今回いただいたコースはこちら

※写真の料理およびメニューはあくまでも一例です

本格プロヴァンス料理を気軽に味わうカジュアルディナー

芸術性に富んだ前菜「パレット・アート・オードヴル」や選べるメインなど鮮やかな料理を気軽に楽しめるコースを用意。乾杯ロゼスパークリングワイン付きなのも嬉しいポイント。貴族の邸宅に訪れたようなエレガントな空間で、シェフの郷土料理を堪能して。

講師が回答!みんなが気になっている「テーブルマナー」の基本

ドレスコードやおすすめの服装について教えてください。

お店ごとにドレスコードは異なるので、予約時にホームページを確認するといいでしょう。スマートカジュアルなら女性はよそいきのワンピースやブラウスなどを選び、足もとはパンプスで。露出が多すぎたり香水をつけすぎたりするのは避けましょう。また、食事をするのでルージュは薄めにするのがベターです。男性はジャケットや襟付きのシャツがマスト。男女ともにジーンズやショートパンツ、サンダルはマナー違反になります(庄司さん)

ドレスコードやおすすめの服装について教えてください。

食べ物をフォークの裏にのせて食べるのはNGですか?

間違いではありません。これはイギリス式の作法で、食べ物をフォークの背にのせていただきます。ちなみにフランス式の場合は逆で、フォークの腹にのせます(庄司さん)

食べ物をフォークの裏にのせて食べるのはNGですか?

手を使って食べていいものはありますか?

ウエイターから特に指示がない場合、素手で食べていいのはパンだけになります。しかし、あえて「手で召し上がってください」とお声がけする料理もあるので、その場合はぜひ手を使ってください。代表的なのが、アミューズです。また、骨つきの肉料理もおいしい部分を余すところなく召し上がっていただきたいので、そのようにアナウンスすることがあります(庄司さん)

手を使って食べていいものはありますか?

記念日の“サプライズ演出”はマナー違反になりませんか?

もちろんマナー違反になりませんし、大歓迎です! 事前に誕生日や記念日などの情報をいただければ、食後のタイミングで花やプレゼントをお渡ししたり、デザートプレートを準備したりといったサプライズのご提案もしております。ただ、サプライズを行ったときや受けたときに、他のお客様のご迷惑になるような大きな声を出すことや、店内を動き回るなどのアクションはお控えください(庄司さん)

記念日の“サプライズ演出”はマナー違反になりませんか?

お会計や退店時のマナーはありますか?

ウエイターから、テーブルチェックか会計カウンターでの支払いか確かめますので、ご希望の方法で会計してください。接待などのシーンでは、会計の様子を見せないよう、食後に席を外して係のものに依頼してください。また、お客様それぞれで会計をする場合は、テーブルの上でお金のやり取りをすることは避け、入店前や退店後に済ませて、お店ではおひとりがまとめて会計するのがマナーです(庄司さん)

お会計や退店時のマナーはありますか?

マスクの扱いで気を付けることはありますか?

マスク会食が推奨されているなかでは、入店し注文するまではマスクをつけている方が多いです。そしてナプキンを膝におくタイミングで外します。マスクケースが用意されているお店なら、外したマスクはそこにいれ、食事中は目につかないところへ置いておきましょう。食事中の咳やくしゃみには気をつけ、どうして出てしまうときはナプキンで口もとを抑えることが大切です。

マスクの扱いで気を付けることはありますか?

テーブルマナーを守れているかが気になって、食事中に緊張してしまいます。

いろいろとご説明しましたが、最低限のマナーに気を付けて、その場にふさわしい行動を心がければ大丈夫です! テーブルマナーとは、食事を共にする方への配慮であり、食事を楽しむためにあるもの。つまり、楽しむことがいちばん大切です。おいしい料理を、ぜひ心ゆくまで味わってください!(庄司さん)

テーブルマナーを守れているかが気になって、食事中に緊張してしまいます。

編集部おすすめのフレンチレストラン

フレンチの後は上質なBARへ

PHOTO/KAZUHITO MIURA、WRITING/MARIA KAWASHIMA

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※記事は2023年7月11日(火)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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