【汗の臭い対策】汗の臭いの原因は?皮膚科の先生に聞いた体臭対策をご紹介

暑い日の外出時や運動の後に気になるのが汗の臭い。とくに汗ばむ時期になると、脇や頭皮の臭いに悩む人も多いのでは? そこで今回は、日本橋いろどり皮ふ科クリニックの院長である横井彩さんに、汗の臭いの原因と対策についてインタビュー。頭皮、脇、足など気になる部位別の対策も紹介するので、汗の臭いに悩んでいる人は参考にしてみて。

更新日:2023/04/03

今回お話を聞いたのは・・・日本橋いろどり皮ふ科クリニックの院長 横井彩さん

日本橋いろどり皮ふ科クリニック院長。皮膚科学会認定専門医・医学博士。2003年秋田大学医学部卒。同皮膚科・形成外科にて広範囲にわたる皮膚科学の診療や研究に従事、2015年助教。2017年藤田医科大学総合アレルギー科講師。2021年2月、日本橋いろどり皮ふ科クリニックを開院。ニキビやアトピー性皮膚炎など慢性皮膚疾患に対してスキンケア指導も含めた丁寧な診療を信条とする。また化粧品トラブルに関する皮膚アレルギー検査にも取り組んでいる。

1.汗の臭いを抑えるための基礎知識

汗の臭いを抑えるために、まずは汗をかく原因と臭いが起こる理由から知っておくことが大事。とくに汗をかきやすい人はチェックしてみて。

1-1.汗をかきやすくなる原因

ヒトは体温調節のために汗をかくが、それ以外にもいろいろな要素が深く関わっている。体温調節以外に汗をよくかく原因としては、次のようなことが挙げられる。

●ストレスによる自律神経の乱れ
極度のストレスや緊張により自律神経が乱れると、交感神経と副交感神経の切り替えがスムーズに行われなくなる。すると、交感神経がコントロールしている体温調節機能にも異常をきたし、たくさんの汗をかいてしまうことに。とくに緊張によるストレスの場合、手、足、脇などに汗をかきやすい。

●ホルモンバランスの乱れ
ホルモンバランスが崩れると、自律神経の乱れにつながり、汗をかきやすくなってしまう。とくに更年期の女性は女性ホルモンの急な変動により汗をかきやすくなることが多い。

●体重の増加
体重が増加し体表面積が広くなると、そのぶん汗の量が増える。女性より男性のほうが汗をかきやすいといわれるのも体の大きさの違いが理由のひとつ。

1-2.汗を出す汗腺は2種類

体内にある汗腺は、エクリン酸とアポクリン酸の2種類。それぞれの汗腺で分泌される汗の違いについて説明しよう。

●エクリン腺:
ほぼ全身に存在するのがエクリン腺。エクリン腺から分泌される汗は体温を一定に保つためのもので、無臭のさらさらとした水分が分泌される。普段の生活でも1日1Lの汗が分泌され、多いときには1日に3Lになることも。分泌されたばかりの汗には臭いがないが、汗と皮膚表面の垢、皮脂などが混ざり、細菌によって分解されることで臭いが発生する場合もある。

●アポクリン腺:
脇の下、耳、へそなどにあるのがアポクリン腺。アポクリン腺から分泌される汗は水分が少なめで黄色がかっており、べたつきがある。汗に含まれている少量のタンパク質、脂肪などが皮膚表面の細菌によって分解されることにより臭いが発生。もともと体質的にアポクリン腺が多かったり大きかったりして、特有の臭いを発することを「腋臭症」いわゆる「ワキガ」という。

1-3.汗のイヤな臭いの原因とは?

汗の臭いは細菌が垢や皮脂を分解することによって発生する。とはいえ、人によって汗の臭いの強さに差があるのはなぜなのだろうか。その原因として次のようなことが挙げられる。

● 汗腺機能の衰え
汗腺は血液中の血漿(けっしょう)から水分だけをろ過して取り出し、汗として排出している。汗腺の働きが正常な場合、しっかりとろ過されてサラサラの水分だけが汗になる。しかし、運動不足だったり、入浴せずにシャワーで済ませたりして汗をかくことが少ないと、汗腺のろ過機能が弱まって血漿の中に含まれるミネラルなどの成分がろ過されず、一緒に排出されて濃度の高いベタベタの汗に。ベタベタしている汗は蒸発しにくく皮膚に長くとどまるため、汗の中のタンパク質と皮膚の汚れなどが分解されて臭いが発生する。

● 疲労やストレス
疲労やストレスが溜まると、食べ物を消化するときに発生するアンモニアを分解する力が弱まってしまう。血液中にアンモニアが溜まり濃度が上昇するとガスになって皮膚からしみ出てくるようになり、汗と混ざり合うことでツンとした臭いが発生する。

● 皮膚の汚れや雑菌
体についたホコリ、皮脂、古い角質などが皮膚に長時間とどまったままだと雑菌が繁殖しやすい状態に。皮膚の上に雑菌が多くあると、汗をかいたときに酸化、分解されやすくなってしまう。とくに脇や足の裏など、蒸れやすい部位を清潔にしておかないと雑菌が増えやすくなる。

2.汗の臭い対策の基本

汗の臭い対策は毎日の生活習慣から見直すことが大事。規則正しい生活を心がけ、汗をかいてしまったときの対策をプラスしよう。

2-1.毎日体を洗って清潔にし、汗をかいたらすぐに拭き取る

毎日就寝前に入浴して体をきれいに洗い、常に清潔に保っておくことが大切。汗をかいたら細菌と混ざり合って分解してしまう前にすぐに拭き取るのがポイント。寝汗は起きたらすぐにしっかり拭き取り、余裕があればシャワーですっきり洗い流そう。

2-2.水分を十分に摂り、臭いの原因になりやすい食品を控える

水分が足りないとベタベタとした汗が作られてしまう。夏の暑いときや運動の後など、汗をたくさんかいたときは十分に水分を補給しよう。アンモニアなどに分解される肉類、チーズなどの動物性脂肪やタンパク質は摂り過ぎないように注意。汗に臭いが出やすいニンニク、ネギ類なども、できるだけ控えるとよいだろう。辛い食べ物を食べると汗をかきやすくなるので、汗の臭いが心配なときは控えるのがベター。

2-3.定期的に運動や入浴を行い、汗を出しやすい状態にしておく

汗腺の働きを正常に保つためには、定期的に運動を行って血液の循環をよくし、発汗しやすい状態にしておこう。また、できるだけシャワーで済ませずにしっかり湯船につかって体を温め、汗をかいて汗腺機能を高めるのも効果的。

2-4.十分な睡眠をとり、ストレスをため込まない

自律神経を乱さないようしっかり睡眠を取り、規則正しい生活を行うことが大事。疲れが溜まるのも汗の臭いの原因となりやすいので、1日6~8時間は睡眠をとって体をリセットしよう。散歩、運動、趣味など自分なりの発散方法を見つけて、ストレスをため込まないよう心がけて。

2-5.インナーを見直し、制汗剤も活用する

コットン、リネン、シルクなど通気性のよい天然素材のインナーを着用するのがおすすめ。風通しのよいデザインのものや、汗取りパッドなどの工夫が施されたインナーにしてみるのもGOOD。

汗をかきやすい季節には、制汗剤を併用するのもあり。塩化アルミニウムなどの有効成分が含まれている制汗剤を使えば、一時的に汗を抑えるのに役立つ。スプレー、クリーム、ロールオンなど種類が多いので、部位に合わせて上手に活用しよう。ただし、配合成分によっては肌が荒れてしまう可能性があるため、とくに肌がデリケートな人は注意して。

3.頭皮・髪の臭いの原因と対策

ここからは、部位別に汗の臭いの原因と対策をみていこう。まずは、頭皮や髪の臭いから。とくに頭皮がベタつきやすい人はしっかりチェックしよう。

3-1.頭皮・髪の臭いの原因

頭皮は、全身の中でも皮脂腺が最も多く、顔のTゾーンの2倍以上(※1)もある。また手のひらや足の裏に次いで汗腺が多くある(※2)ため、分泌量が多い。

毛穴に汚れや古い角質が溜まって頭皮環境が悪化しやすいのも原因のひとつ。毛髪が生えているので、しっかりケアを行わないと蒸れて雑菌が増えてしまうことも要因。頭皮から分泌される汗が皮脂や汚れに混じると、細菌がそれを分解して臭いを発生させてしまう。

※1 出典:山村雄一・久木田淳、他 現代皮膚科学大系第3巻A P335 1982年
※2 出典:上野賢一著 小皮膚科書 P29 1981年

3-2. 頭皮・髪の臭い対策

毎日しっかりシャンプーし、頭皮環境を整えて清潔にしておくことがなによりも大事。頭皮の汚れやベタつきがひどいときは、頭皮マッサージや頭皮クレンジングを取り入れて、頭皮の毛穴汚れをしっかりかき出そう。頭皮ケアに特化したスカルプシャンプーや、炭酸シャンプーなどを使ってスペシャルケアを取り入れてみるのもおすすめ。ただし、人によっては頭皮が荒れてしまう場合もあるので注意が必要。スペシャルケアに頼りすぎず、日々のケアをしっかり行おう。

洗髪後はすぐにドライヤーで髪を乾かし、濡れたままの状態にしておかないことも大切。スタイリング剤を使用した日はシャンプーでしっかり洗い流そう。外出先で頭に汗をかいたときは、ドライシャンプーを使って汗やベタつきを拭き取るのも効果的。頭皮が水分や汗で濡れたままだったり、皮脂や油汚れが溜まったままだったりすると雑菌が繁殖して臭いが発生しやすくなってしまう。枕カバーは定期的に交換して常に衛生的に。タオルを毎日交換することも忘れないで。

4.脇汗の臭いの原因と対策

次は、悩んでいる人も多い脇汗についてみていこう。

4-1.脇汗の臭いの原因

脇の下が臭うのは、脂肪やタンパク質を含む汗を分泌する、アポクリン腺が多いことが原因のひとつ。アポクリン腺は、脂肪やタンパク質を含む汗がたくさん分泌されやすい。また、体温を保つためにエクリン腺も混在しており、他の部位よりも汗で蒸れやすいので細菌が繁殖しやすい状態に。汗をかいたまま長く放置しておくと、必然的に汗が細菌によって分解されて酸化し、強い臭いを発するようになる。

4-2. 脇汗の臭い対策

脇の下は蒸れを防いで通気性をよくすることがポイント。天然素材のインナーや汗取りインナーを着用したり、湿気がこもらないような服装をして、脇の下の通気性を確保しよう。外出前は制汗剤を使って脇にしっかり有効成分を密着させ、外出時は汗拭きシートなどを使って、汗をこまめに拭き取るよう心がけて。制汗剤の効果が薄れてきたと思ったら塗り直せばOK。臭いが気になるときは、消臭成分が含まれたデオドラントスプレーなどをシュッとひと吹きしよう。

5.足の臭いの原因と対策

最後に、足の臭いについてみていこう。足に汗をかきやすい人は必見。

5-1.足の臭いの原因

足の臭いの原因は、エクリン腺からの汗によるものであることが多い。足の裏はエクリン腺が多く他の部位よりも汗が出やすいため、長時間靴を履き続けた状態で通気性が悪くなると足が蒸れて雑菌が繁殖しやすい状態に。汗に足の汚れなどが混ざり、それが細菌によって酸化分解されることにより臭いにつながる。

5-2. 足の臭い対策

足も脇の下と同様、蒸れを防いで清潔にしておくことが大事。毎日同じ靴を履かず、中をしっかり乾燥させるのがポイント。シュードライヤーなどを活用してみるのもよいだろう。靴下は吸湿速乾性の高い素材で作られているものを履くのがおすすめ。足によく汗をかく人は5本指ソックスも検討してみて。足用の制汗剤や消臭スプレーなどを活用してみるのも効果的。爪は短くし、角質ケアなどを行って表面をきれいにしておくことも忘れずに。入浴時は足の指の間までしっかり洗い、常に清潔な状態にしておこう。

6.編集部おすすめアイテムの汗の臭い対策【ドライシャンプー】

ダイアン

パーフェクトビューティー

40g 776円(Amazon)

独自の微粒子パウダーで頭皮すっきり。汗や皮脂によるベタつきを抑える

ダイアンのドライシャンプーは、独自の微粒子パウダーを配合しているのが特徴。頭皮の汚れや皮脂をしっかり吸着して、ふんわりとしたスタイリングを維持できる。スプレーした箇所が白くならず、ナチュラルに仕上がるところも魅力。

シュッと3秒スプレーするだけで、洗いたてのような心地よいすっきり感を得られる。朝のスタイリングの仕上げや、汗で髪がベタついたときにぴったり。爽やかな香りが付いているため、気になるニオイも抑えられる。

フレッシュシトラスペア、グレープフルーツ&ペパーミント、フレッシュマンゴー&ムスクの3つの香りをラインナップ。持ち歩きやすい携帯用サイズなので、外出先で使いたい人はチェックしてみて。

資生堂フレッシィ

ドライシャンプー ディスペンサータイプ

150mL 550円

水なしでどこでもシャンプーが可能。気になるフケやかゆみ対策にも

量の調節がしやすいディスペンサータイプのドライシャンプー。1プッシュごとに定量が出るので、1人でも扱いやすく出しすぎを防げる。

頭皮と髪にまんべんなくいきわたらせたら、軽くマッサージをしてからタオルで拭き取るだけと、使い方も簡単。不快なフケやかゆみを取り除き、頭皮をすっきりと洗い上げる。

忙しい朝はもちろん、徹夜明けで気分をリフレッシュしたいときや、タバコのニオイが気になるときにもおすすめ。入浴ができないときや飛行機のフライト中など、水が使えないシーンでも手軽にシャンプーできるのが嬉しい。

ルバンシュ

水のいらないボディ&ヘアウォッシュ

150mL 1320円

食用成分を100%使用。やさしい泡で全身を洗えるドライシャンプー

被災地支援のために開発し、無償提供していたドライシャンプーを正式に商品化。食用成分100%で作られており、植物性の抗菌成分を加えている。香料の代わりにグレープフルーツ果皮油を使用し、ナチュラルな香りを楽しめるのが魅力。

頭と体に使えるので、1本で全身を洗うことができるのも嬉しいポイント。時間がない朝や、入浴ができないときにおすすめ。ドライシャンプーのほか、手指の洗浄やペット用シャンプーとしても使える。

泡で出てくるタイプなので、液が垂れて周りを汚す心配はなし。やさしい泡が全身を包み込み、さっぱりと洗い上げる。サラッと軽い使用感で、拭き上げた後にベタつかない。

7.汗の臭いに関するQ&A

中学生男子です。毎日入浴し、制汗剤などを使っていても臭うときがあります。他によい方法がありますか。

まず汗をかいたらすぐに拭き取り、長く放置しないことが大事です。汗をかいたまま放っておくと、臭いが発生しやすくなります。汗をこまめに拭き取るよう心がけましょう。

ワキガかどうか心配です。皮膚科を受診したほうがよいですか。

臭いが強いと感じる、血縁者も同様の臭いがあるという場合は、腋臭症の可能性があります。どうしても気になるなら、皮膚科や形成外科を受診しましょう。

今回お話を聞いたのは・・・日本橋いろどり皮ふ科クリニックの院長 横井彩さん

日本橋いろどり皮ふ科クリニック院長。皮膚科学会認定専門医・医学博士。2003年秋田大学医学部卒。同皮膚科・形成外科にて広範囲にわたる皮膚科学の診療や研究に従事、2015年助教。2017年藤田医科大学総合アレルギー科講師。2021年2月、日本橋いろどり皮ふ科クリニックを開院。ニキビやアトピー性皮膚炎など慢性皮膚疾患に対してスキンケア指導も含めた丁寧な診療を信条とする。また化粧品トラブルに関する皮膚アレルギー検査にも取り組んでいる。

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※記事は2023年4月3日(月)時点の情報です。内容については、予告なく変更になる可能性があります

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